諸外国の人達はどの媒体でニュースを目にしているのだろうか(2022年公開版)
テレビ主流だが中国はインターネットのニュースサイト経由トップ
日々生じるさまざまな出来事の内容を迅速に取得し正しい判断をするために、人々は多様な手段を使ってニュースを確認する。インターネットの普及に伴い、ニュースの取得スタイルも大きな変化を遂げている。今回は新聞通信調査会が2022年2月に発表した、アメリカ合衆国やイギリス、フランス、中国、韓国、タイへのメディアに関する世論調査「諸外国における対日メディア世論調査」(※)の報告書の内容から、諸国におけるニュース取得の利用媒体の違いを確認する。
次に示すのは各国の人達がニュースを取得する際に、どのような媒体を用いているかを複数回答で尋ねた結果。インターネット経由調査ではないので媒体によるバイアスは生じない。ニュースを取得する意気込みなどにも左右されるが、各国の情報取得の方法論、実情を推し量るよい指標となる。
おおよその国でテレビが群を抜き高い値を示しており、今でも情報取得の普遍的なツールとしてテレビが有効であることを改めて認識させる結果となっている。それに続くのはインターネットのニュースサイトやSNS(ソーシャルメディア)のような、インターネットを用いたサービスで、インターネットによる情報取得が当たり前となりつつある状況がうかがい知れる。
そのインターネットサービスだが、アメリカ合衆国や韓国などではインターネットのニュースサイトの値の方が高く、SNSはそれと比べると低め。昨今のフェイクニュース問題が影響しているのかもしれない。他方フランスではインターネットのニュースサイトとSNSはさほど変わりない値となっており、イギリスやタイではむしろSNSの方が高い。タイではテレビの値すら抜き、媒体内では最大の値を示している。タイのインターネットへの傾注度の高さが見て取れる。そしてそのタイでは、インターネットのニュースサイトが低いのも特徴的ではある。また中国ではインターネットのニュースサイトやSNSがテレビを抜いているのも特徴的ではある。
新聞やラジオ、雑誌などは低めだが、フランスはそれらも他国と比べれば随分と高い値を示している。フランスではニュース取得の意欲は他国よりも高く、多方面で取得する傾向があるようだ。
テレビとインターネットニュースの詳しい実情
報告書ではそれぞれの媒体に関して属性別の値も公開している。そこでテレビとインターネットニュースに限るが、その内情を見ていく。
まずはテレビ。
タイが異様に高くどの属性も7割以上、10~20代を除けば8割以上の値を示している。フランスもそれに続く値を示しているが、20代ではやや値が落ちる。
男女別では男性よりも女性、年齢階層別では中年層以降が高めに出るのは多くの国に共通する傾向で、テレビの実情を推し量れるよい資料となる値の動きを示している。なお中国とタイでは70歳以上の回答値がごく少数だったため統計上の有意値とはならず、該当部分は空白となっている。これは次のインターネットのニュースサイトでも同様。
続いてインターネットのニュースサイト。
インターネットのニュースサイトではテレビとおおよそ逆の傾向が出ているのは注目に値する。男女別では男性が、年齢階層別では若年層が高い値を示している。一部の国で10代においてやや低めの値が出るのは、利用機会が得られていない、興味がわいていないからだろうか(テレビは多分に受動的に取得する機会があるが、ネットニュースでは原則的に能動的でないと取得は不可能)。
他方中国では男女・年齢階層を問わず高い値が維持されている(60代はやや落ちるが、それでも6割台)。今件は都市部限定とはいえ、インターネット経由ではなく面接調査で実施されており、メディアによるバイアスが存在しないことを思い返せば、大いに注目すべき結果には違いない。
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※諸外国における対日メディア世論調査
直近発表分はアメリカ合衆国、イギリス、フランス、中国、韓国、タイに対し、2021年11月から12月に行われたもので、アメリカ合衆国・フランス・韓国は電話調査、中国・タイでは面接調査で実施されている。調査地域は中国・タイは都市圏、それ以外は全国。回収サンプル数は各国約1000件。グラフの年数表記は調査結果の発表年で統一している。
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