桜香る日本茶「静7132」は茶葉そのものに桜の香り成分が含まれる不思議な品種
桜の開花が各地でニュースになる季節になりました!
桜が咲くと本格的な春の到来!とうきうきします。
そして、日本茶でも春を待って真打登場!と、この時期になると日本茶専門店での取り扱いが増える桜の香りのする日本茶「静7132」をご存じでしょうか?
茶葉100%で桜の葉が入っていないのに桜の香りがする、ブレンド茶ではないのにフレーバーティーのような雰囲気の緑茶なのです!
日本茶マニアの間では静岡の清水産のブランド茶「まちこ」としても有名な日本茶、今回は桜の時期にぴったりのお茶「静7132」の魅力をご紹介します。
「静7132」はなぜ桜の香りがするの?
「静7132」ってちょっと変わった名前ですよね。
日本茶の品種は100種類以上あるのですが、「やぶきた」「さえみどり」などのように品種名がついているものはそれほど多くなく、品種名が決まるまでの間、漢字と番号を組み合わせたような名前で呼ばれます。
「静7132」は「静岡で生まれた品種」のため「静」という漢字が使われ、管理番号が付いています。
「やぶきた」という品種を改良して生まれた「静7132」は桜の葉にも含まれる香りの成分「クマリン」が茶葉そのものに含まれる珍しい品種です。
そのため、緑茶として飲むと、ほのかに桜の香りがするのです。
静岡県の清水ではこちらをブランド茶「まちこ」として奨励、生産していますが、他の地域でも生産されています(他の地域で生産されたものは「まちこ」ではなく「静7132」という名称で呼ばれます)。
しかし、製造に関しては「この品種は葉が薄いわりに軸が固く、芯水を切る(茎の部分まで乾燥させる)のに手間がかかる。浅蒸し煎茶作りの中では形を整えるのに手ごわい品種の一つです」とも生産者の方から伺いました。
手間暇かけて作られたお茶、心して飲みたいと思います。
※静岡県のJAしみずの「まちこ」紹介サイトはこちら(外部リンク)
「静7132」はどんなお茶?
では、実際に茶葉を見てみましょう。
こちらは清水産の「静7132」の茶葉です。
普通煎茶なので、茶葉は大き目の部分も見えますが、見た目はいたって普通の煎茶の茶葉です。
茶葉からは桜の香りはほんのりと感じられる程度で、それほど強くはありません。
お茶をいれると、桜やシナモンのような香りがほのかに漂ってきます。
桜餅の香りほどは強くないので、桜の香りが苦手な人でも飲める繊細な香りです。
普段飲んでいる煎茶と比べてようやう「あ、桜の香りがする!」と違いが感じられるるかもしれません。そのくらいほのかな香りです。
温かいうちに飲むのも良いですが、少し冷ますとより桜の香りを感じます。
苦味渋味もありますが甘味も感じられるバランスの良い味で、日本茶好きの間では人気のお茶です。
「静7132」のお茶のいれ方
お茶のいれ方は普段通りの煎茶のいれ方と同じです。
香りを立たせたいので、お湯の温度は80度くらいを目安にするとよいでしょう(湯音が低すぎると香りが弱くなる傾向があります)。
茶葉の量は1人分2g程度、お湯の量は1人分60ml、浸出時間は1分(普通煎茶の場合)、を目安にいれてみて、もし苦味や渋味が強く感じられるようであれば、温度を下げたり浸出時間を短くしてみてください。
香りが弱いと感じる場合はお湯の温度を少し上げて調節します。
二煎目、三煎目は一煎目より温度を上げて浸出時間を短くし、よりすっきりした味をお楽しみください。少し苦味や渋味がある方が、甘いお菓子に合いますよ。
どんなお茶請けと合わせる?
香りはフレーバーティーほどは強くはないので、和菓子にもよく合います。
「静7132」自体の香りを大切に味わいたい場合は、和三盆の干菓子のような香りも味もシンプルなものがよいでしょう。
香りの強くないタイプの琥珀糖や、ねりきりなどの上生菓子、お団子、おはぎ(ぼた餅)、あられなど和菓子全般に合います。
一煎目はお茶そのものの香りを味わい、二煎目や三煎目のお茶を飲む際にお茶請けを召し上がることをおすすめします。
お花見の季節にぴったりのお茶!
お花見の季節に桜の香りの日本茶「静7132」はぴったりです。
茶摘みの時期は他の煎茶と同様に初夏ですが、生産者によっては香りを強く出すため少し萎凋(萎れされること)したものを煎茶にしたり、釜炒り製法や深蒸し煎茶にしたものもあり、最近はバリエーションも増えてきました。
日本茶専門店の店頭やオンラインショップで扱うお店も多いので、ぜひ一度飲んでみてください。
通年販売しているお店もありますので、桜の時期を過ぎても茶葉を手に入れることはできます。
いつもと違うお茶を飲んでみたいとき、ほのかな桜の香りでほっとひと息つきたいときに、リラックスできるお茶「静7132」。おすすめです!