ウクライナ軍、世界中からの寄付で購入したドローン458機を最前線へ:約8割が中国メーカーDJI製
中国メーカー依存のウクライナ軍のドローン
2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。また民用品ドローンも監視・偵察のために両軍によって多く使用されている。そして両軍でドローンの撃墜が繰り返されている。
ウクライナ政府はウクライナ軍が監視・偵察、攻撃で使用するためのドローンを調達するために、政府が運営しているメディアを通じて世界中に寄付を呼びかけている。「drone(ドローン)」と「donation(寄付)」を掛け合わせて「dronation(ドロネーション)」という造語も作っている。
2023年3月には世界中からの寄付金によって購入したドローン458機を最前線に送ったことをウクライナ政府は報告していた。そのうち300機は中国メーカーの民用品ドローンで監視・偵察を目的とした「DJI Mavic 3T Thermals」でサーマルカメラを搭載して夜間の監視・偵察に適している。
以下が今回調達したドローンでウクライナ製のドローンもある。だが市民からの寄付で購入されているドローンのほとんどが中国のDJI社製の監視・偵察ドローンである。今回も調達した458機のうち、約8割の343機が中国のDJI製のドローンである。
Phoenix 03 Heavy ucavs:100機
DJI MAVIC 3 Еs:41機
«SPYS-Е» complexes:6機
STEN-2 complexes:2機
2022年12月31日には調達したドローンが1577機に到達し、既に928機が戦場に投入されていた。2023年1月に入ってからも世界中からの支援金、募金が集まっており、ドローン以外にも救急車や衣料、医療品なども購入されている。そして2023年3月2日には世界70か国から63万ドル(約8500万円)の募金が集まり、中国製の監視・偵察ドローン「DJI Matrice RTK 300」を30機購入したことをウクライナのメディアU24が発表していた。
ロシア軍も中国製のドローンを多く使用している。ロシア軍はロシア製の監視・偵察ドローン「Orlan-10」で監視を行うことが多いが、ウクライナ軍は中国製のドローンがないと監視や偵察が行えないくらい中国製ドローンへの依存度は高い。中国政府がロシア軍に対して中国の西安冰果智能航空科技製の軍事ドローン「ZT-180」100機を提供する計画があるとドイツのメディア・シュピーゲルが報じていた。ウクライナ軍も中国製の民生品の監視・偵察ドローンに大きく依存している。
▼世界中からの寄付で458機のドローン購入を報告。そのうち343機が中国メーカーDJI製のドローン