これからのPCコネクタはUSB Type-Cに一本化
これからのスマホやタブレット、パソコンなどのコネクタはすべて1種類のUSB Type-Cと呼ばれる規格になりそうだ。USBでメモリやマウス、プリンタなどに接続していたことと同様、プロジェクタなどのディスプレイにもUSBで表示させることができるようになる(図1)。これまではプロジェクタに投影するVGA端子やHDMI端子もすべてUSBに代わり、使い勝手は良くなる。
Apple製品には、Lightningコネクタと呼ぶ、上下ひっくり返しても使えるコネクタが定着してきた。USBコネクタの最新版 Type-C(図2)も上下逆にしても差して使える規格になっている。最近、このようなコネクタがディスプレイにも登場している。USBコネクタがすべてType-Cに切り替わるだけではなく、ディスプレイ用のコネクタにも使えるようになる。
今のパソコンはUSBで、マウスやフラッシュメモリ、プリンタなどもUSBコネクタが使えるようになっているが、唯一ディスプレイ端子だけはまだVGAあるいはHDMIになっている。プロジェクタ側はいまだにVGA端子が多いため、変換コネクタも必要になっている。このような煩わしさから、私たちは間もなく解放されるだろう。
ディスプレイ用の端子にはこれまでのVGAに代わってDisplayPort(Apple製品に多い)とHDMI(パソコンやデジタルテレビ)が使われるようになってきたが、これからはUSB Type-C端子でこれまでのUSBとディスプレイ端子を兼用できるようになる。コネクタの種類が一つだけで済むような時代がやってくる。しかも上下を逆さに差しても使える。
DisplayPortビデオ信号は最新のバージョンは1レーンあたり8.1Gbpsと4K、さらに8Kまでカバーできる非常に高速のビデオインターフェースとなっている。この規格では合計4レーン、すなわち最大32.4Gbpsまで許容できる。このDisplayPort 1.4をUSB Type-Cのコネクタで使えるようにしようというモードがオールタネート(alternate)モードだ。そのバージョン1が2014年9月にリリースされ、USB Type-Cインターフェースで使えるようにする規格が設定された。
そして今、VESA(ビデオエレクトロニクス規格協会)は、DisplayPort Altモードに準拠するテストプログラムをUSBインターフェースとともに使えるように開発している。USB Type-C上で走るDisplayPort規格に準拠するテストがこれから行われようとしている。その準拠テスト仕様(CTS:Compliance Test Specification)はVESA会員の中で検討され、2016年中にはリリースされる予定だ。
最近、IntelのSkylakeリファレンスデザインやDell、H-PのタブレットとノートPC、LGとAsusのディスプレイ、StarTechのドックに最初の認定プログラムをパスしたことが発表された。今年の年末までには数十もの製品がDisplayPort AltモードがUSB Type-Cコネクタで使えるように認定されるはずだ。
VESA規格の認定機関として、GRL(Granite River Labs)がある。日本にも出先機関としてGRL Japan Labが横浜市に設立されている。GRLは、PCI ExpressやSATAをはじめとするデータバスのインターフェース、MIPIやMHL、SlimPortと言ったモバイルビデオ規格、HDMIやV-By-Oneのディスプレイ規格、さらにはDDR3/eMMCなどのメモリバスやカードなどのインターフェース規格をカバーしている。まさにインターフェース規格の認定機関である。
今後、PCIeとDisplayPortをそれぞれ搭載したThunderbolt規格さえもUSB Type-Cで使えるような準備を進めている。将来は、1本のコネクタでつなげられるデバイスが多数出てくるようになり、パソコン、スマホ、タブレット、テレビで全て同じ画面を楽しめるようになる日は近い。
(2016/06/26)