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[訃報]クラブ・ジャズに“魂“を吹き込んだギタリストのロニー・ジョーダンさん逝去

富澤えいち音楽ライター/ジャズ評論家

1990年代アシッド・ジャズのムーヴメントを牽引したギタリストのロニー・ジョーダンさんが亡くなられました。

Guitarist Ronny Jordan, one of the musicians who spearheaded the Acid Jazz movement in the early 1990s, has died at the age of 51.

出典:Jazz guitarist Ronny Jordan dies aged 51|BBC NEWS

ロニー・ジョーダン『アット・ラスト』
ロニー・ジョーダン『アット・ラスト』

とても好きなギタリストでした。

1962年ロンドン生まれの彼がシーンに登場したのは1990年代初頭。ウェス・モンゴメリーをリスペクトした打ち込み対応の“ニュー・タイプ”ギタリストの登場で、一気にアシッド・ジャズはアメリカ・ジャズのレジェンドを追い越して行きました。

彼が注目を浴びた要因は、ジャズから派生していったフュージョン、AOR、ブラック・コンテンポラリー、スムースといった細分化されたマテリアルを“アシッド”という強引な理由で重ねあわせ、ジャズという古い糸で縫い直して、みごとな流行最前線のオートクチュールに仕立てあげてしまったという“技術”と“センス”にあると思います。

♪Ronny Jordan- No Pay, No Play

ロニー・ジョーダンの曲を1つ挙げろ言われて、ボクならこれです。1960年代のファンキーなジャズ・ギターのサウンドを漂わせながら、70年代のソウル・フレーバーをパパッとふりかけて、80年代のスムースなフィルターを横目にすり抜け、90年代のクラブ・ジャズからの“過干渉”による弊害も織り込んで到達した“21世紀型のジャズ・バランス”を具現したものではないかとひとりごちているのですが……。

ご冥福をお祈りします。

音楽ライター/ジャズ評論家

東京生まれ。学生時代に専門誌「ジャズライフ」などでライター活動を開始、ミュージシャンのインタビューやライヴ取材に明け暮れる。専門誌以外にもファッション誌や一般情報誌のジャズ企画で構成や執筆を担当するなど、トレンドとしてのジャズの紹介や分析にも数多く関わる。2004年『ジャズを読む事典』(NHK出版生活人新書)、2012年『頑張らないジャズの聴き方』(ヤマハミュージックメディア)、を上梓。2012年からYahoo!ニュース個人のオーサーとして記事を提供中。2022年文庫版『ジャズの聴き方を見つける本』(ヤマハミュージックHD)。

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