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なでしこジャパン・海外組の近況【2】

松原渓スポーツジャーナリスト

★宇津木瑠美(モンペリエ/フランス)

2010年よりフランス・モンペリエHSCでプレーし、今年は4年目のシーズンを迎える宇津木瑠美。

フィジカルが強く、技術もあり器用なプレーも得意とする宇津木にはこれまでもリヨンやパリ・サンジェルマンなどからオファーが届いたが、合意には至っていない。

フランスリーグ(D1フェミナン)では4強(リヨン/PSG/ジュビジー/モンペリエ)の一角とされるモンペリエだが、昨シーズンは4位に終わっている。今シーズン、上位を目指すチームに彼女の存在は欠かせない。

1日に行われる予定だった第1節は延期となり、9/8に行われた開幕戦、アウェーのロデス戦に守備的MFでフル出場。先制点に絡み、後半には得点。1アシスト・1得点で勝利に貢献2-0の勝利に貢献した。

★安藤梢(フランクフルト/ドイツ)

昨シーズン、ポツダムとCL出場権を獲得できる2位の座をかけて激しい戦いを繰り広げたものの、最終節で敗れて3位となり、今季の出場権を獲得することはできなかったフランクフルト。

2009-10シーズンからデュイスブルクでプレーし、 2013年1月末にフランクフルトに移籍した安藤梢は、シーズン途中の加入にも関わらず、3月31日の試合でハットトリックを決めるなど、10試合で4ゴールの活躍を見せ、新たなシーズンも主力としての活躍が期待されている。

新たなシーズンは、日本から移籍してきた田中明日菜(元INAC)がチームメイトになった。代表でも共にプレーする田中の存在は心強くもあるだろう。

ドイツで5年目となる今シーズンは、ぜひ2桁得点をめざし、その活躍で日本に朗報を届けてほしい。

フランクフルト(昨季3位)は9月8日、昨季5位のフライブルク(Freiburg)との開幕戦を迎え、安藤は後半37分から出場。2−0の勝利に貢献した。

⇒公式ブログ「世界で戦うKOZUE」http://kozueingermany.blog.fc2.com

★田中明日菜(フランクフルト/ドイツ)元INAC神戸レオネッサ

2012/13年冬期準備期間にテスト生としてトレーニングに参加し、その実力を発揮し、見事念願の海外でのプレーを勝ち取った田中明日菜。

その人懐っこい人柄はドイツでも大いに愛されているようだ。本人のブログからは、チームメイトの中に溶け込んでいる様子が伝わってくる。

移籍を考えたのは、なでしこジャパンが銀メダルを獲得したロンドンオリンピック。世界の強豪と対峙し、自分がレベルアップするためには日本で得られないものが海外にはあるのではないかと感じたという。

INACではセンターバックとしてプレーしていたが、フランクフルトではボランチでも期待されている。フライブルクとの開幕戦は、ボランチでフル出場。ドイツでのデビュー戦を勝利で飾った。

⇒田中明日菜オフィシャルブログ「あすく4ぶれがす」http://asuna-tanaka.net

★岩渕真奈(20歳/ホッフェンハイム/ドイツ)

2012年の11月に女子サッカー・2. ブンデスリーガのTSG1899ホッフェンハイムに新天地を求めた岩渕真奈は、2部だったチームを1部に昇格させるという目標を見事達成した。昨シーズンの移籍後は足首のケガでリハビリを強いられるなど辛い時期もあったが、9試合に出場し4得点。チームは2部で優勝し、今季からは1部でプレーすることになる。白と青のユニフォームもしっくりと似合ってきた。

岩渕は2007年に14歳で年代別代表に選ばれた岩渕は、日本女子サッカー界の新星として10代のうちから大きな期待を集めてきた。2008年にはFIFA U-17女子ワールドカップで鮮烈な印象を残し、MVPにあたるゴールデンボール賞を受賞。同年のアジア年間最優秀女子ユース選手賞を受賞すると、2010年にはなでしこジャパンデビューを果たし、チームでも澤がつけていた背番号「10」番を継承した。だが、周囲からの大きすぎる期待が重圧となり、スランプに陥った時期もあった。

しかし、その後2011年のドイツワールドカップ、そして2012年のロンドン五輪を経て、岩渕は自らの課題と向き合い海外挑戦を決意。

ドイツでは肉体改造にも取り組み、6月の国際親善試合(ニュージーランド戦)では一回り(約5キロ増)大きくなって帰ってきた。

ドイツの女性の平均身長は平均身長は男性180cm、女性168cm。 日本とは約10cmも違う。長身で当たりに強いディフェンダーと155センチの岩渕が渡り合うためには当然、フィジカルも必要だ。

ドイツ人の体が強いのは、食とも深い関係がある。以前、安藤梢はドイツと日本の食の違いについて

・ドイツは日本に比べると乳製品が圧倒的に多く、バターやチーズが大きな塊でストックしてある。

・レストランで出てくるプレートが大きくて、1回の食事で食べる量が圧倒的に多い

と、その食文化の違いを話してくれた。

まだ20歳と育ち盛りの彼女にとって、身体作りはトレーニングと同じぐらい重要なことだろう。

ホッフェンハイムの新シーズンは、9月8日にジンデルフィンゲンと開幕戦を迎え、右MFでフル出場。試合終了間際に決勝ゴールを挙げ、1-0の勝利に貢献した。1部で戦う今シーズンは、フランクフルトの安藤・田中との日本人対決も見物だ。

⇒岩渕真奈 ブログ「Buch's Life」http://ameblo.jp/buchilife/

スポーツジャーナリスト

女子サッカーの最前線で取材し、国内のWEリーグはもちろん、なでしこジャパンが出場するワールドカップやオリンピック、海外遠征などにも精力的に足を運ぶ。自身も小学校からサッカー選手としてプレーした経験を活かして執筆活動を行い、様々な媒体に寄稿している。お仕事のご依頼やお問い合わせはkeichannnel0825@gmail.comまでお願いします。

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