【加古川市】ハリマ化成の加古川製造所で工場見学してきました!【会社見学企画】
加古川の野口町水足にあるハリマ化成の加古川製造所に行ってきました!
甲子園3個分に及ぶ広い敷地で、加古川市民の多くが名前は知っているハリマ化成。しかし、何を作っているかまで知っている人は実は少ないのではないでしょうか?
生活の至るところに使われているハリマ化成のロジン(松脂 まつやに)について、工場見学しながらいろいろと聞いてきました!
工場見学はカートで移動方式
ハリマ化成の工場見学は約2時間で、映像を交えて学ぶ時間と工場内をカートに乗って移動しながら見学する時間に分かれています。今回は少し急ぎ足で見学させていただきました!
工場見学は事前予約制で10名から受け付けています。
見学前にどういう工程で作られているのか解説があるので、実際の設備をより興味深く見られます。
小学生から町内会・高齢者大学のグループまで、幅広い年代の方が見学に訪れています。
ロジンの3つの取り出し方
松から化学物質を取り出すには3つのルートがあります。
松の木にキズをつけて採った生松脂から作るガムロジン、松の切り株をチップ状にしたものから得られるウッドロジン、そして、松からパルプを取り出すときに出る「粗トール油」から作るトールロジンです。
ハリマ化成ではガムロジンとトールロジンを使って、暮らしに役だつ化学素材を製造しています。トールロジンを作っているのは国内では、ここ加古川製造所だけだそうです。
いちばんの見所、トール油精留設備
加古川製造所の工場見学の一番の見所は、粗トール油からトールロジンを作る精留設備です! 年間約7万トンの処理能力があり、24時間稼働しています。
沸点の違いを利用して蒸留を繰り返し、輸入した粗トール油からトールロジン・トール油脂肪酸・蒸留トール油などを取り出します。
製品にならない成分はバイオマス発電設備で利用され、加古川製造所で使う電力をまかなっています。
もともとは紙を作るためにパルプを製造する段階で必ず出てくる副産物に含まれる粗トール油を、さらにムダなく使い切る、環境にやさしい生産システムです。
また、周囲の環境に配慮して、臭気などを取り除いた上で水蒸気を排出しています。
見学コース中に立ち寄るトール油ギャラリーでは精留プロセスの展示もあります。
暮らしを支えるロジン
生活のあらゆる場面にハリマ化成のロジン製品があります。ロジンの粘り気やはっ水性が素材の中で重要な役割を果たしています。
印刷用インキや塗料で使われていたり、意外なところでは車のタイヤに使われている合成ゴムにもハリマ化成のロジンが使われています。日本製タイヤの2本に1本は、ハリマ化成のロジン系合成ゴム用乳化剤が使われているそうです!
また、製紙用薬品として、段ボールや新聞紙などを作る上でもハリマ化成の製品が役立っています。
ロジンははんだ付け材料としても使われ、昨今では電子回路のプリント配線基板材料でも活躍しています。
車のタイヤや紙製品、パソコン・スマホの中で、ハリマ化成の製品が暮らしを支えているとは思ってもみませんでした。
地域に開かれたマリーゴールド園
ハリマ化成が2019年に開園したマリーゴールド園は地域の人に親しまれています。東播磨道に沿うように加古川製造所の北側に位置します。
6月から11月頃までオレンジ色のマリーゴールドが咲き誇り、遠くから楽しみに訪れる方も多いスポットです。
かこがわノートでも以前記事で取り上げました。
毎年ハロウィーンとクリスマスの時期にはライトアップも施されます。ライトアップイベント時はマリーゴールド園近くの駐車場も夜24時まで開放されています。
今後、マリーゴールドの花がない季節にも楽しめるよう、すいせんロードとして様々な種類の水仙が育てられています。
取材を終えて
「松やにを使っているらしい」くらいの予備知識がほとんどない状態で訪れましたが、丁寧な解説で興味深く見学ができました!
野口町水足の住宅地にも近い立地だからこそ、地域に配慮して事業を行っている点がたくさんありました。敷地内には戦時中の建物や史跡もあり、それらの保全や活用も図られています。
創業の地、加古川には今も中央研究所が置かれ、ハリマ化成の重要拠点です。マリーゴールド園を目当てに加古川に訪れる人が増えてほしいという想いもあるそうです。
なんとなく名前を知っている会社から、一歩踏み込むきっかけになったでしょうか?
ホームページには加古川製造所のバーチャルツアーもあるので、さらに知りたいという方はぜひ一度チェックしてみてください!