36%は「長いな」の自覚…アメリカ合衆国での子供の保護者の携帯電話などの利用時間への認識をさぐる
保護者が携帯電話(従来型携帯電話とスマートフォンの双方)に夢中になる子供の姿を見て心配になるのはどこの国でも変わらない。それではその保護者自身は、自分の携帯電話などへの利用時間をどのように認識しているのか。アメリカ合衆国での実情を同国の民間調査会社Pew Research Centerが2018年8月に発表した調査「How Teens and Parents Navigate Screen Time and Device Distractions」(※)の報告書から確認する。
次に示すのは保護者の立場にある人が、自分の携帯電話の利用状況についてどのような認識にあるのかを答えてもらったもの。参考に子供自身を回答者とする同様の設問の結果も併記する(「テレビゲームのプレイ時間」は保護者には質問していない)。
携帯電話の利用時間が長すぎると考えている保護者は36%、SNS(ソーシャルメディア)は23%。子供の自覚ではそれぞれ54%、41%であることから、保護者は子供と比べて少なくとも自覚に限れば携帯電話やSNSへの熱中度合いは制御できている、自制しているとの認識にある。とはいえ、携帯電話全体の利用時間では1/3超え、SNSに限っても1/4が「自分は利用時間が長すぎる」と自覚するほど利用していることもまた事実ではある。
携帯電話はプライベートな端末であるから、普段は保護者と子供それぞれが相手の利用状況を見る機会はあまり無いはずだが、直接対面している時に、相手の携帯電話への夢中度合いを感じ取る機会が生じることもあるだろう。例えば自分と話している最中に相手が携帯電話を操作していたり、視線を頻繁に携帯電話に向けたり、会話を中断して情報に目を留める仕草をするなどである。それぞれの夢中度合いの認識を示したのが次のグラフ。子供は14%が「自分の保護者は自分との会話の最中も携帯電話で気が散っている」ような情景をしばしば見受けると認識している。
子供は14%が保護者が自分の会話との間でも携帯電話のことで気が散っていることがよくあると考えており、保護者は30%もの人が子供は自分との会話との間でも携帯電話のことで気が散っていることがよくあるとしている。それぞれの基準が異なるので一概に比較するのはリスクがあるものの、保護者と子供との会話においては、子供の方がより携帯電話に気を取られていそうではある。
もっとも今件はあくまでも当事者間の認識。第三者の視点から確認すると、案外双方とも同程度の結果に終わるかもしれない。
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※How Teens and Parents Navigate Screen Time and Device Distractions
アメリカ合衆国に住む13~17歳の743人に対して2018年3月7日から4月10日にかけて電話による通話とオンライン経由で行われている。男女比は348対393、年齢構成比は13~14歳が301人、15~17歳が442人。国勢調査の結果に基づいたウェイトバックが行われている。保護者に該当する対象は1058人で同様の手法で調査されている。
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