Yahoo!ニュース

高齢者の普段の楽しみ、最多意見はテレビやラジオ(2019年公開版)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 高齢層にとって楽しみとしていることは多々あれど、やはり一番はテレビのようだ。(写真:アフロ)

8割強はテレビやラジオを楽しみにしている

多くの人は職から離れ、心身に衰えを覚える人も多い高齢層。どのようなことを普段楽しみにしているのだろうか。内閣府が2015年3月に発表した「平成26年度 高齢者の日常生活に関する意識調査」(※)の結果から確認する。

次に示すのは「普段の生活で楽しいと感じていること」との問いに同意を示せる回答率。見方を変えれば頻度はともあれ、高齢者が日常生活の上で親しんでいる娯楽の類と読み解くこともできる。

↑ 普段の楽しみ(複数回答)(2014年)
↑ 普段の楽しみ(複数回答)(2014年)

群を抜いて高い値を示しているのがテレビやラジオ。8割以上の高齢者が楽しみと認識している。新聞や雑誌も55.0%と高めだが、テレビやラジオにはかなわない。老眼による視力の低下に加え、受動的に利用できるか、能動的な行動でないと楽しめないかの違いが大きく表れているのだろう。

次いで多いのは仲間や親友、同じ趣味を持つ人との交流や、食事・飲食。意外なのはその後に続く家族との団らん・孫との遊びよりも、知人などとの交流の方が回答率は高いこと。身内よりも知り合いの方が、会話上の共通点が多いからかもしれない。あるいは接する機会が多いのだろう。

メディア視点で見ると、テレビやラジオ、新聞や雑誌に続き、ずっと下がってワープロやパソコン、インターネット、携帯電話などが続くが、値はわずかに16.1%。楽しみにしていなくとも利用している可能性はあるが、従来型のメディアと新メディアの類との間にはこれだけの差が生じているのが実態ではある。

男女別や年齢階層別

今件を男女別で区分し直して確認したのが次のグラフ。

↑ 普段の楽しみ(複数回答、男女別)(2014年)
↑ 普段の楽しみ(複数回答、男女別)(2014年)

テレビや新聞は男女の差異がほとんど無い。食事や旅行も男女ともに好まれている。他方、仲間との交友や買い物、室内の趣味(絵画、書道、裁縫、工芸など)は女性が大きく男性に差をつけている。男性が高いのはスポーツ活動やスポーツ観戦、ワープロやインターネット、野外活動、室内娯楽(囲碁や将棋など)。高齢に至るまでの趣向がそのまま多分に継続しているようだ。

続いて年齢階層別。

↑ 普段の楽しみ(複数回答、上位陣、年齢階層別)(2014年)
↑ 普段の楽しみ(複数回答、上位陣、年齢階層別)(2014年)

80歳以上になると視力などの問題もありいくぶん減少するが、テレビや新聞などは年を取るにつれて上昇する動きを示す。これが「世代」(生まれた時代での区分)によるものか、単純に年齢によるものかまでは判断が難しいが、少なくとも現状では「年を取るに連れてテレビや新聞がますます好きになる」と判断できる。

その他の趣味はおおよそ、年齢とともにその値を減らしていく。今件項目は複数回答形式であることから、身体の衰えなどを経て、テレビや新聞への関心が相対的に高まることになる。高齢者向けの旅行が注目を集めているが、それも70代ぐらいまでが限界のようだ。

余談ではあるが、各選択肢の回答率の累計を、年齢階層別に算出する。この値が高いほど、多数の楽しみを実感していることになる。

↑ 「普段の楽しみ」の累計値(2014年)
↑ 「普段の楽しみ」の累計値(2014年)

きれいな形で年を取るに連れて値は減少していく。気力の減少に加え、身体的な衰えに伴い、楽しみとして行えるものが減ってくると考えれば道理は通る次第ではある。

■関連記事:

【更新】お年寄りの日常生活での楽しみ、トップは「テレビ・ラジオ」だが……

【更新】夫婦で居ることが高齢者の趣味・娯楽をより楽しむ条件?

※平成26年度 高齢者の日常生活に関する意識調査

2014年12月4日から26日にかけて層化二段無作為抽出法によって選ばれた日本国内に住む60歳以上の男女に対し、郵送配布・郵送回収形式で行われたもので、有効回答数は3893件。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロで無いプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

不破雷蔵の最近の記事