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NY金7日:ドル高基調確認で反落

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト
(写真:アフロ)

COMEX金2月限 前日比8.90ドル安

始値 1,085.50ドル

高値 1,086.10ドル

安値 1,073.10ドル

終値 1,074.20ドル

為替相場がドル高方向に振れたことが嫌気され、反落した。

4日の取引では、11月米雇用統計を受けて一段と下値を試すことに失敗し、ショートカバー(買い戻し)主導で急伸する展開になった。しかし、為替相場がドル高傾向を維持する中、週明けはアジアタイムから戻り売り優勢の展開になり、断続的に値位置を切り下げた。1,080ドル水準でストップロスを巻き込むような動きもみられ、下げ幅を拡大している。

11月米雇用統計が年内利上げを支持する内容になったが、金市場では短期的な売り材料出尽くしとの評価もあり、売りポジションの整理が先行する展開になった。欧州中央銀行(ECB)の追加金融緩和策が市場予測に届かなかった余波もあり、為替相場は雇用統計をきっかっけに大きくドル高方向に振れることに失敗している。ただ、ドル高基調そのものに変化がみられない中、本日は素直に戻り売り優勢の展開になっている。大きく値崩れを起こすには至っていないが、引き続き金よりもドルに資金を滞留させておくことに魅力を感じている向きが多い模様だ。

セントルイス連銀のブラード総裁は、金利正常化プロセスは機械的にすべきではなく、柔軟な対応の必要性を訴えている。初回利上げ着手についてはコンセンサスが形成されているが、タカ派の当局者すらも必ずしも性急な利上げは支持していないことが確認できる。このために、急激な金利上昇局面入りまでは想定できないが、米国とそれ以外の国の金融政策環境の違いを考慮すれば、ドル高基調そのものが崩れることはないだろう。

特に現物需要主導で安値是正を進めるような動きもみられず、引き続き戻り売り対応が基本になる。4日の急伸で短期的な下げ過ぎ感が解消に向かう中、改めて1,050ドルの節目割れが打診されよう。米連邦公開市場委員会(FOMC)、クリスマス休暇に向けてボラティリティが高まり易いが、自立反発では1,100ドル水準まで戻るエネルギーがあるか否かの視点に留まる。年末に向けて更に下値切り下げを打診する可能性も十分にあろう。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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