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NY原油8日:需給緩和と株高の狭間で決め手を欠く

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト
(写真:アフロ)

NYMEX原油10月限 前日比0.11ドル安

始値 45.82ドル

高値 46.41ドル

安値 44.14ドル

終値 45.94ドル

期近安・期先高と小幅まちまちの展開になった。

世界的な株高傾向が下値を支えるも、供給超過見通しが崩れた訳ではなく、反発力も限定された。結果的に期近安・期先高と明確な方向性を打ち出せない強弱感が交錯した展開に留まっている。アジアタイムは44ドル台を中心に揉み合う展開になったが、中国株が引け際に急伸して欧米株が全面高の展開になる中、原油相場も45ドル台を回復する展開になった。引き続き、短期売買の指標として株価動向に注目している向きが多く、株高が原油価格を素直に刺激している。もっとも、株高で国際原油需給の緩和見通しが大きく変わる訳ではなく、反発力も限定されている。

中国税関統計によると、8月の中国の原油輸入量は2,659万トンとなった。7月の3,071万トンから大きく減少している。原油価格は大きく下落したものの、中国勢が大きな動きを見せなかったことが、原油市場ではネガティブ評価を受けている。この水準では、少なくとも大規模な備蓄積み増しなども行われなかった可能性が高く、8月の中国経済環境の悪さが再認識されている。

一方、ロシア政府が改めて石油輸出国機構(OPEC)との協調減産に否定的なスタンスを示していることもネガティブ。ベネズエラがロシアに対する働きかけを強化しているが、現時点では漠然として協力関係が確認されているのみであり、実効性のある市況対策を打ち出すには至っていない。S&Pが、OPECが減産対応に転換する可能性を示唆するなど、価格低下でも需給リバランスが遅れていることに対する警戒感は強い。ただ、価格が上昇すればシェールオイル生産は一段と拡大する可能性が高い中、OPEC主導の原油安是正が本格化するのかは疑問視される。

目先は株価次第の不安定な相場展開になり易いが、需給面からの支援がみられない状況に変化は生じていない。なお、株価が主導権を握った相場展開になっているが、需給リバランスの必要性がこれによって薄れた訳ではなく、今後は株価動向のインパクトが限定される動きと連動して、徐々に戻り売り優勢の地合に回帰する可能性が高い。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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