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Appleのデジタルフェス、9/19から10日間開催 - Apple Music Festival

松村太郎ジャーナリスト/iU 専任教員
9月19日から開催されるApple Musicのデジタルフェス

2015年9月19日からの10日間、AppleはロンドンRoundhouseを会場に「Apple Music Festival 2015」を開催します。定額制音楽ストリーミングサービスApple Musicの開始を記念して、iTunes Festivalから名前を変えての開催となります。

これまでiTunes Festivalは毎年9月にロンドンで開催されてきました。同種の音楽イベントは2014年3月のSXSWでも行われているほか、Appleの新製品発表イベントなどでも頻繁にアーティストによるライブが開催されてきました。

これまでの出演アーティストはADELE、ベック、コールドプレイ、エルトン・ジョン、フー・ファイターズ、ジャスティン・ティンバーレイク、Kings of Leon、レディ・ガガ、ケイティ・ペリー、マルーン5、ミューズ、ポール・マッカートニーなど、そうそうたるメンバー。

今年はPharrell Williams、One Direction、フローレンス・アンド・ザ・マシーン、Disclosureなどが予定されています。Apple Musicにアクセス可能なiPhone / iPad / iPod touch、MacとPCのiTunes、Apple TVからライブを楽しむ事ができるのは例年通りです。

Apple Musicの本領発揮、これがやりたかったのか

Apple Music Festivalと名前を変えた今回のイベント。既にApple Music上では、「Apple Music Festival」というキュレーターアカウントが稼動しており、特設ページが用意されています。

Apple Music Festivalに出演するアーティストのプレイリストやアルバムの紹介、過去のiTunes Festivalでのアーティストのパフォーマンスを集めたプレイリストが用意されています。

またキュレーターアカウントはConnectに新規投稿を行うこともでき、Appleではライブの生中継の他に、バックステージのレポートなどを楽しむ事ができるようになっています。

また、Apple Musicの生放送ラジオ「Beats 1」では、Apple Music出演アーティストの生出演なども予定されており、アーティスト自身のConnectも生かしながら、ファンとともに楽しむ「デジタルフェス」の実現を目指していこうとしています。

私はこれまで、Appleはレコードのセールスやライブパフォーマンスなどの体験を束ねた、全く新しい音楽市場を作ろうとしている、意欲的な取り組みになるのではないか、と予測してきました。

Apple Music Festivalでは、音楽というイベントが起きるとき、Apple Musicがどのように作用するのかを、機能を網羅しながらしかし分かりやすく理解することができる絶好のチャンスになると考えられます。なるほど、Appleはこれがやりたかったのか、という納得感を理解できるイベントになるかどうか、注目しています。

試用期間を終える購読ユーザーに、納得して継続してもらえるか?

Appleはこうした盛り上がりを、なんとしても9月中に起こし、ユーザーに体験してもらう必要があります。

Apple Musicは、6月30日に3ヶ月間の無料試用期間とともに開始されました。そのため初日に登録したユーザーは、9月30日でその試用期間が終わります。ちょうど、Apple Music Festivalが終わる翌日に、どれだけのユーザーが残って、月額利用料を支払うようになるのかが勝負の分かれ目です。

現在無料で試用しているユーザーは1100万人であると、Appleの担当役員Eddy Cue氏がUSA Todayのインタビューにこたえています。一方で、MusicWatchの調査結果を伝えたNew York Postの記事によると、48%のApple Musicユーザーが、無料期間終了後はサービスを継続しない、と答えているそうです。

この比率は多いようにも思えますが、Apple Music FestivalのようなApple Musicらしさが光るイベントをきっかけにしながら試用ユーザーを増やし、また納得して使い続けてもらえるよう魅力を伝え続けていかなければならないでしょう。

しかし、音楽は無料でしか聴いたことがない世代に対しての訴求は、どうにも難しいように思います。Apple Music Festivalは確かに好きなアーティストが登場すれば、ファンにとっては願ってもない一次ソースになります。ただ、10日間のライブではそのアーティスト数も限られますし、彼らを振り向かせるには弱いかもしれません。

ジャーナリスト/iU 専任教員

1980年東京生まれ。モバイル・ソーシャルを中心とした新しいメディアとライフスタイル・ワークスタイルの関係をテーマに取材・執筆を行う他、企業のアドバイザリーや企画を手がける。2020年よりiU 情報経営イノベーション専門職大学で、デザイン思考、ビジネスフレームワーク、ケーススタディ、クリエイティブの教鞭を執る。

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