新国立競技場 「かちわり氷」で暑さに対応できるのか
新国立競技場の建設費削減をめぐり、「暑さ対策なら、かちわり氷だってある」と安倍首相が、冷房施設の断念を指示したそうです。
甲子園より暑さ厳しい東京都心
平年の8月上旬の最高気温は、甲子園の最寄の観測所である神戸が32.2℃、東京都心が31.1℃で、差は大きくありません。
ただ、気温だけで決まらないのが暑さです。
海から1kmほどしか離れていない甲子園は、よく晴れた暑い日には、海からの「浜風」が吹きます。風速は5メートル前後。強い日はそれ以上で、球場の旗がバタバタと音を立てるほど吹くことも。
この風が体感温度を下げ、午前中に吹き始めると、すーっと暑さが落ち着くのが分かります。
高温対策は後回し?
一方、新国立競技場は、海から5km以上離れています。甲子園ほど海風による気温抑制は期待できず、風が都心の陸地を吹き抜けていくうちに熱風に変わっている可能性もあります。
浜風が高温を抑える夏の甲子園でも、観客が熱中症になることがあるくらいですから、新国立競技場はさらにリスクが高いと考えるべきでしょう。
新国立競技場の冷房施設が最終的にどうなるかは今後の推移を見守るしかありませんが、競技場にかぎらず、五輪中の高温対策が後回しになってはいないでしょうか。
時期を少しずらせば減る高温リスク
世界各地のメジャースポーツと重なるのを避けて、東京五輪の大会日程は7月24日~8月9日に決まったそうですが、まさに一年で最も暑い時期です。
せめて8月の半ば以降にできないものかと思ってしまいます。まだ厳しい暑さの日はあるものの、極端な高温が連続することはないですし、今年のように暑さの盛りを過ぎている可能性もあります。
国際オリンピック委員会(IOC)に理解して頂けないのであれば、一度、IOCの偉い方々に、来夏の最も暑い時期に東京を走ってもらってはいかがでしょうか。