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『一人のサッカー選手の人生の分岐点を見た夜』浦和vs鹿島【浦和レッズ川柳試合レビュー】

浦議浦和レッズサポーター(さいたま市)

■対戦相手が鹿島だと燃える

試合後、アントラーズサポの友人と待ち合わせて飲むことになって、自転車ではなく、ウチの近くを通る浦和美園駅行きのバスで行く。試合ギリギリだとバスも混むから早めに行っておこうと、なんと家を出たのは午後3時半。4時10分くらいに埼スタに着いたら、自由席側はまだ開門してなかった。

列に並んで待つこと15分くらい。さすがにきょうは観客は多そうだ。レッズが5試合続けて勝ってないのもあって、せいぜい4万5千かとみていたが、この調子なら5万超えもあるかも。なお、列に並んでわかったのが、こういう開門前に並ぶ人って、ほぼ若い層中心で、私みたいな年寄りはほとんどいないこと。スタンドでの年齢比率とはだいぶ違う。

さすがにその時間に入場すれば、南側自由席の、いつもの階段通路ぞいの席は取れる。ただし、試合開始まで2時間半近くあるので、席についてウトウト居眠りしていた。試合開始1時間前にはだいぶ埋まったスタンドで、賑やかなのはアントラーズサポの応援だ。アントラーズの時はメイン・アッパーのアントラーズ側にも、けっこう人が来てる。

アントラーズサポーターの様子
アントラーズサポーターの様子

先発メンバー発表で、どうってことないが、ある事実に気が付いた。今、アントラーズの先発って、全員日本人なんだな。MDP見ても、ブラジル人は一人しかいないし、ほとんど活躍してない。監督からしてセルビア人。なんかもう、「鹿島=ブラジル」みたいな私のアタマは完全に古くなっているのを改めて感じた。

我がアタマ  古さを感じる  鹿島戦

そうなのだ。どうしてもジーコ、アルシンドやレオナルドの時代のイメージから離れられないのだな、オジイサンは。

アントラーズのメンバー発表ではレッズサポのブーイングがさすがに強烈だったが、圧倒的に多いのは鈴木優磨。

選手入場
選手入場

■おかえり武田

試合が始まってからも、鈴木優磨はまさに「鹿島の王様」みたいに、彼を中心にゲームが組み立てられていく。そもそも試合開始の1点目も、ちょうど彼の前に、「さあ、決めてください」といわんばかりにボールが転がってきていた。

点にはならなかったものの、彼が放ったスルーパスも、けっこうバシバシ決まっていた。

あの独特の髪色も相まって、そんなに注目する気もなくても、よく目立つ。

2点目もまた、「どうぞ、決めてください」とばかりに来たパスからの優磨のシュート。

もう、レッズDFも「ごめんなさい」状態

立て続け  王様ユーマに  ごめんなさい

こりゃ、鈴木優磨にハットトリック決められ、5-0くらいでやられちゃうんじゃないかと心配になった後半。監督だって、動かないはずがない。次々にメンバーチェンジしていったが、あまり目立たなかったソルバッケンと、ほとんどボールが回ってこなかったサンタナを引っ込めて前田とリンセンを入れたあたりから、流れがグイッとレッズ側に傾き出した。

前のセレッソ戦で1点決めてるリンセンは、動きもリズミカルで、明らかに調子がいい。ソルバッケンよりこっちじゃないの、と見てる間に際どいシュート。

そのレッズに向いた流れをさらに大きくしたのが、武田の投入だ。まだJ1で1点もとってない選手かと思うくらいに、武田が入ってチーム全体の歯車が完全にかみ合ったみたい。

高校時代の栄光が甦ったというか。忘れていた昔の知り合いと偶然再会したみたいな気分。

忘れてた  タケダヒデトシ  おかえりな

1点入って押せ押せ状態。ショルツが相手との接触があってか、引っ込んだりはしたものの、レッズに傾いた流れは変わらない。しかしショルツ、中東への移籍話もあるとかだが、どうも全体としてちょっと投げやりというか、あんまり試合に集中してない感じがして、「どうしたんだ?」と不安になって来る。

それと相手チームながら、後半の、特に試合終盤の鈴木優磨。たぶん足がつったんだろうが、もうろくに走れなくて、ヨタヨタしていた。監督はなんで早めに替えなかったんだろう。そんなヨタヨタ状態でも、ちゃんとスルーパスとかは決めていたので、替えずらかったのだろうか。でも、優磨のペースダウンが明らかにチームの勢いを減速させていたのは、見ていた観客もみんな分かってた。

アディショナルタイムが7分と出た時、「あ、これは最低でも追い付けるんじゃないか」

チャンス来た 王様ユーマの  足がつり

しかし、まさかまさかではあるな。J1初得点を決めた武田が、今度はFKを直接叩き込むとは。まだ22歳なのに、オリンピックの代表候補にも呼ばれなかった武田の「サッカー人生の分岐点」になる瞬間を、私たちは見たのかもしれない。きょうをきっかけに得点を積み重ねて、ヨーロッパに雄飛していくとか、十分あり得る。そうなってほしくも、ある。

人生の  分岐点を見た  夏の夜

ただ冷静に考えてみたら、負け試合を何とか引き分けに持ち込んだだけで、勝ち点は1増えただけ。なかなか勝ち切れない試合が続く。

2点目ゴール直後
2点目ゴール直後

待ち合わせていた知り合いとA5出入口で合流して、溢れんばかりの人の中を歩き、浦和美園から東川口まで出て、ようやく東川口の居酒屋に入ったのが午後10時10分。残念ながら5万には達しなかったものの、4万8千人以上の人が集まると、まあ、埼スタから浦和美園までの道はやたらと遠い。

動画:今年もやります!浦和レッズ川柳2024【3月&4月編】

山中伊知郎
1954年生まれ。1992年に浦和に引っ越して来て、93年のJリーグ開幕
時にレッズのシーズンチケットを取得。以後31年間、ずっとシーズンチケットを持ち続け、駒場、ならびに埼スタに通う。2021年より、レッズ戦を観戦した後、「川柳」を詠むという「レッズ川柳」を始める。
代表を務める「ビンボーひとり出版社」山中企画では、昨年8月、テレビの夢グループCMで、石田社長の横で「社長~! 安くしてエ~!」の甘え声でお馴染の歌手・保科有里の『愛人!? 困っちゃう・・・』という本を出し、11月には『タブレット純の日本芸能イジン伝・その① おひとりさま芸能人 エド山口に訊く!』を出す。現在、どん底地下芸人から中野区議会議員に転身し、「中野区から日本を変える!」と宣言している井関源二さんの本と、元放浪少女で、今は群馬県・沼田の市会議員に転身している今成敦子さんの本の企画を進行中。

浦和レッズサポーター(さいたま市)

浦和レッズに関する情報をまとめたり、議論したりする『浦議』を1998年から運営しています。最近はYou Tube「浦議チャンネル」もやっています。浦議チャンネル:https://www.youtube.com/channel/UCAFN4-ne2gUkEl6xddW71hA

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