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ウクライナ軍「我々が毎日撮影しているテラバイトの動画がいつか世界中の軍事学校で研究されるでしょう」

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

「毎日ウクライナ軍は軍事での戦術と戦略の教科書を書き換えています」

2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。また民生用ドローンも監視・偵察のために両軍によって多く使用されている。そして両軍でドローンの撃墜が繰り返されている。

ウクライナ軍ではドローンで上空からロシア軍への攻撃の様子を撮影して、その動画や写真をSNSで公開して世界中にアピールしている。ここまで多くの動画や写真がSNSで世界中に公開された紛争は歴史上初めてだろう。ウクライナ軍はツイッターやFacebookといった西側諸国で多く利用されているSNSだけでなく、ロシアやウクライナで多く使用されているテレグラムでも撮影した動画や写真を公開して、ロシア人にも見せつけている。ウクライナ軍やロシア軍が撮影した動画の多くはファクトチェックされてから欧米や世界中のメディアでも報じられている(中にはプロパガンダ用に誇張されたり加工されたりしたフェイク動画もある)。

このように今まではあまり見ることがなかったような上空からのドローンによる戦場での攻撃シーンを世界中のどこにいてもテレビやネットで視聴することができるようになった。

そしてウクライナ軍は公式SNSで「毎日ウクライナ軍は軍事での戦術と戦略の教科書を書き換えています。我々ウクライナ軍が毎日撮影しているテラバイト級の動画コンテンツがいつの日か、世界中の最高の軍事学校で研究されるでしょう」と投稿していた。

ウクライナ軍だけでなくロシア軍もドローンを使用して監視や偵察、攻撃を行っている。ロシア軍のドローンはイラン政府が提供した攻撃ドローンばかりが目立っているが、ロシア製の監視偵察ドローンや攻撃ドローンも多く使用している。

そしてウクライナ軍では民生品ドローンを改造して爆弾や手りゅう弾を搭載してロシア軍に投下している。民生品ドローンと攻撃ドローンの境目がなくなったのもウクライナ紛争の特徴の1つである。

ウクライナ軍が語っているように、今回のウクライナ紛争でドローンによって撮影されSNSに投稿された多くの動画は後世の軍事技術の発展や戦争での戦術、戦略の研究にも大きく貢献していくことは間違いない。

▼【刺激的な動画が含まれています。閲覧注意】ウクライナ軍の公式SNS

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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