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<ガンバ大阪>残留争いのライバル、サガン鳥栖戦は渡邊千真の決勝点で白星。

高村美砂フリーランス・スポーツライター

ホームにサガン鳥栖を迎えてのJ1リーグ戦。前半はガンバが優勢に試合を運びながらチャンスを生かしきれず、スコアレスで折り返す。後半になると流れが一転、鳥栖に再三にゴールチャンスを作られたものの、危ないシーンも全員で体を張って凌ぎ、ゴールを許さない。その後もなかなか攻撃チャンスを見出せないガンバだったが、84分に途中出場のアデミウソンの絶妙なクロスを、同じく途中出場の渡邉千真が頭であわせて値千金のゴールを奪い、J1リーグでは7試合ぶりの白星を掴んだ。試合後のガンバ監督、選手のコメントをお届けする。

●宮本恒靖監督

ー前半と後半で違う展開になりましたが、後半はめられて押し込まれている中でどういうイメージで交代カードを切っていったのでしょうか。渡邊選手が期待に応えてくれたと思いますがその評価をお願いします。

後半は思った以上に相手の圧力をまともに受けてしまい、自分たちのボールにする時間が少なかった。それは、ハーフタイムの指示として、少し中盤がビルドアップに参加しすぎているというところで、肝心のペナルティエリア前に人がいないということもあったので、そういったことも関係していたと思います。相手の時間帯になっていく中で、こちらに流れを持ってくるためにもう少し早い交代も考えていましたが、今日は少し湿度がある中でどこに疲れがでるかわからない中で、少し引っ張ったところもあります。少し前線でボールがおさまらなかったので千真(渡邊千真)をいれたり、アデ(アデミウソン)にしても左サイドで最後アシストもしてくれましたけど、非常にいい働きをしてくれたと思います。千真は練習からよくて、シュート練習にしても、ゲーム形式の中でもたくさん鋭い動きをみせていたので、どこかの試合でゴールが生まれそうだという気配はありました。今日はああいう、らしいシュートを決めてくれてチームにとっても大きなものになりました。

ー結果的に最前線のFWを交代してハマった形になりましたが、パトリック選手はもう少し調子がいいと、バチバチやりあうというか、戦うイメージありますが、少し本調子から遠いように見えました。監督は、加入以降、パトリック選手にどんなことを期待していたのでしょうか?

パトリックに関しては、前線のファン・ウィジョが抜けたあと、サイズのあるゴール前におさめてくれたり、裏に抜けるっていうところを期待していました。今日の試合に関しても、ヤット(遠藤保仁)から裏に出されるボールを受けるとか、っていうタスクを与えていました。ルヴァンの中ではコンディションが上がって来ているように見えましたが、今日は少しボールがおさまらなかったり、ヘディングの競り合いの得意なところで少し後手を踏むシーンがあったので今日は早めに交代しました。

ー宇佐美選手が下がり気味になることも多い中で、前に一人残るパターンが多いんですけど、そういった中でどういったことを攻撃には期待しているのでしょうか。

展開にもよりますが、第一優先は相手の背後であると。でも少し相手を押し込んだ中で、もしくはランのボールをおさめたりすることで、我々の中盤の選手が前を向いてプレーできると、その間で時間を作りたいですし、そこのおさめるというプレーは求めているので、特にパトリックだったり、千真っていう高い選手は…貴史(宇佐美)に関してもそれはありますし…今日に関しては貴史は少しポジションを落とした中で使いましたが、背後に出るところも二番目のFWという役割も意識させています。ただ今日は中盤の小野瀬だったり倉田が、ダイヤモンドに走るようなシーンを作れると、前半からもう少し危険なシーンを作れたんじゃないかと思います。

ー藤春選手はこの間、U-23で45分プレーした後、今日はフル出場でした。予定通りの起用だったのかということと、パフォーマンスの評価について。またスサエタ選手のデビュー戦でしたが、短い時間でしたが評価を教えてください。

ハル(藤春廣輝)はU-23の試合を45分しかやっていない中で、今週一緒に練習をしてどれくらいあがってくるかを見極めた上での起用になりました。4バックをするにあたってサイドバックの攻め上がりは、不可欠だと思いますし、そこのタイミングや回数は、前半は特に多くみられたのかなと。後半少し押し込まれてそういったシーンは少なかったですけど、90分というのは難しいかなと思って送り出しました。ただ、最後倒れこむまで、気持ちのこもったプレーをみせてくれて、ここにきてくれたサポーターにも伝わるプレー、パフォーマンスだったと思います。彼の不在は今シーズンの我々の難しさにつながっているところも間違いなくあるので、結果的に、少し早い復帰になってしまったというか、もう1週間あれば、っていうのはコンディション面ではありましたが、うまく対応してくれたと思います。

スサエタはどの流れで起用するかを考えていましたが、スペースができてきた中で彼の持ち味であるスペースに出ていくところだったり、サイドの守備の部分の相手のクエンカをいかにおさえるか、というところで送り出しました。ほんの数日しか練習をやっていなかった中で、ゲームに入っていくのは簡単ではなかったと思いますが、またしっかり練習していけばもっともっと上がってくると思っています。

●DF藤春廣輝

復帰戦で勝てたというのが本当に違いますし、なんとか勝利に貢献できたというので、ここから1つずつ、次はダービーでまたしっかり結果を出せればいいなと思います。(左サイドでの倉田選手や遠藤選手との崩しも前半は多くみられました)秋(倉田)ややっとさん(遠藤保仁)とは長くやっていて一番わかりあっているっていう部分で、今日入ってみても、本当にボールがきますし、タイミングもばっちりですし、本当に楽しくできたので。絶妙のタイミングで出てくるので、走ればボールはくるって…本当にフリスビーみたいな感じでボールがくるので、秋とも楽しくできましたし、これを続けていければいいかなと思いました。(最後倒れこみましたがつりました?)はい、全身(笑)。もう自分の体の中に何も残っていないです。本当に出し切ったので。自分でも90分できるとは思っていなくて、昨日の夜は45分できるかも心配だったんですけど。(いけるところまでっていう話でした?)ツネさん(宮本恒靖監督)は「90分とか思わなくていいから」っていうのは言ってくれていたので、前半から飛ばしていこうと思って、結果、前半の最後の方に足がつってしまっていて…さすがにそれはいえないなと(苦笑)。ほんまにやばかったんですけど、よくもったなという感じです。

●FW渡邉千真

(悔しい思いをして来た中で存在感を示したゴールでした)自分にとっては非常に大事なゴールだったし、自分のゴールで勝てたというのはすごく嬉しい。こういう試合を続けていきたいです。アデがしっかり僕の方を向いていて、いいクロスをあげてくれたので、自分も無我夢中にいった感じで入ってよかったです。(監督からの指示は?)監督からは、前でボールがおさまっていなかったからおさめろっていうことと、結構いったりきたりの展開になっていたから全体的にコンパクトにっていうことは言われました。急ぎすぎているわけじゃないけど、もう少しボールを動かしたり、相手を剥がしてビルドアップするところが少しなくなっているなっていうのは見ていて思ったし、前半はチャンスを作れていたので自分が入った時もチャンスはくると思ったし、そこでしっかり決められてよかったです。

●MFスサエタ

(短い時間でしたがJリーグデビュー戦となりました)短い時間でしたがとても嬉しくて興奮しました。新しい環境で、後半は少し押され気味でしたが最後の最後でゴールを決めて、勝ち点3を手にすることができたのですごくよかったです。(あの時間帯で監督からはどんな指示を受けましたか?)戦術的なことがメインでしたが、相手の嫌なところにしっかり入っていけということでした。(初めてのJリーグの印象を聞かせてください)すごくいろんなことは聞いていましたが、この場にきてサポーターも本当に最高でしたし、すごく難しい試合でしたが、そこで勝利ができて最高の雰囲気を味わうことができました。

●FW宇佐美貴史

個人的にもだいぶいい感じでやれていたし、4バックになってすごくやりやすいし、あと少しかなって思います。(後半押し込まれる展開になった原因は?)前半少しいきながら、前への意識を持ってやれたのに対して、後半少し頭からふわっとした入りになった印象はあります。そういう中で相手のチャンス、相手の勢いが優っていたと思いますし、その時間帯にラッキーもありましたけど、ゼロで抑えられたのは大きかったなと思います。(最後までボールを追いかけまくって献身的にプレーしていた)チームとしても安定して守れたと思います。後半の真ん中くらいで相手の勢いは少し止まっていたので、恐怖心はなく、でもしっかりと最後までという意識ではやれました。(欲を言えば自分のゴールが欲しかったはず。再三シュートを狙いに行きましたね)打ちまくりましたけど、打てるところまでいけているのは上り調子にあるということなので、ポジティブに捉えていきたいと思います。

●GK東口順昭

ワンチャンスあると思っていた。これまでそれが相手に渡ることも多かったですが今日は勝ちきれてよかったです。今までは先制の後パワープレーでいかれて押し込まれるっていう展開が多かったですけど、今日は最後まで前からも、中盤もしっかりいけていましたし、チームとしての戦いというのが今までよりはすごくできていたので、成長しているなって思えた試合でした。(7試合ぶりの勝利について)ホームだし、相手が相手なので、この勝ち点3というのは自分たちに自信を与えてくれると思う。ここから連勝できるように、次はダービーだし、いい形で入れるかなって思います。(同学年の渡邉千真選手が決めてくれたのは嬉しかったのでは?)嬉しかったですね。僕の位置からは見えなかったんですけど、リプレイを見たら千真っぽかったので…家族が喜んでいるだろうなと。本人も苦しんでいたので、これを続けていければいいなと思います。

●MF遠藤保仁

(前後半で違う試合になりましたが)後半の方が中途半端なミスが増えましたし、ピンチはほとんどミスからでそこが前半との違いだったのかなと思います。もう少しミスを減らしてうまくやっていければ相手のいいところもうちのピンチも少なくなっていくはずなので、もう少し冷静に試合を運べるかなと思います。(藤春選手が戻った4バックについて。)攻撃では裏への走りが彼の持ち味ですし、何度かいい形を作れていましたし、守備の部分でも中に絞ったりもできる選手なので、4バックという選択をするのであればハル(藤春廣輝)の特徴はより生きるなと思います。(前半は再三遠藤選手や倉田選手も絡んで藤春選手を活かすシーンも多かったですが)長く一緒にやっていますし、コンビネーションの部分では特に大きな問題はないので、どういう相手でもチャンスが作れるようにしていければいいかなと思います。(残留を争う相手と直接対決で、勝ち点3は大きな意味を持つものだったと思います)勝つのと負けるのとでは全然違う試合だったと思いますし、中位までは連勝すればいける位置に十分にいけるところにいますが、ただ、連敗したらまた下も近いという立ち位置なので、気を引き締めてやっていきたいし、次はダービーで相手も調子がいいですが、次も勝ち点3を取れるようにやっていきたいです。

フリーランス・スポーツライター

雑誌社勤務を経て、98年よりフリーライターに。現在は、関西サッカー界を中心に活動する。ガンバ大阪やヴィッセル神戸の取材がメイン。著書『ガンバ大阪30年のものがたり』。

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