正規か非正規か…転職者の転職先での立場を探る
さまざまな理由で現職から離れ、新たな職に就くことを転職と呼んでいる。転職者の中には正(規)社員だったものが再就職の中で非正(規)社員としてしか再就職できない場合や、逆に非正社員から正社員への転職を果たす人もおり、雇用形態上の観点でも多様な人生の躍動感を垣間見ることができる。今回は総務省統計局が2017年2月に発表した、2016年分の労働力調査(詳細集計)の速報結果を基に、直近1年間に離職して新たな職についた人における、正規・非正規の雇用形態況の変化について確認をしていく。
次に示すのは前職を辞してから1年以内に再就職を果たした人のうち、雇用形態、具体的には正規社員と非正規社員の地位の変化を踏まえ、その動きを示したもの。公開値は万人単位までなので、前職と現職で合計人数が一致しない場合もある。
2016年に転職をした人(役員以外、過去1年間に前職を辞した人。以下同)は279万人。そのうち正規社員の立場を辞した人は117万人、非正規は162万人(転職をしていない人もいるので、辞めた人が279万人では無いことに注意)。元正規社員で再び正規社員になれた人は70万人だが、残りの47万人は非正規社員として再就職している。一方非正規社員だった162万人のうち正社員になれた人は34万人で、残りの128万人は再び非正規社員の地位で再就職している。例えばスーパーでパートをしている女性がもう少し良い条件で働ける別のスーパーに転職する場合など、一概に非正規社員の地位が正規社員よりも望まれていないとは限らないが、非正規社員の人が転職をする場合も、正規社員になれる可能性は(人数的に)少数の事例となることが分かる。
男女別に確認しても、男女共に正規から非正規組が、非正規から正規組を上回っている。これは多分に定年退職や早期退職者(壮齢・高齢層の離職者)が非正規として再雇用されるケースが多いため。実際、55歳以上に限定して(今調査項目の年齢区分ではこの切り分けが最高齢層。また絶対人数が少ないため数字上のぶれがいくぶん大きくなることに注意)確認すると、正社員だった人が非正規として転職している事例が極めて多い。
この転職における正規・非正規の雇用状況の移転について、正規社員から非正規社員、非正規社員から正規社員、つまり就業状況の変化が生じた人に限り、さらに男女別に動向を経年変化で見たのが次のグラフ。
2013年のようなイレギュラーな値を示すこともあるが、大よそ非正規社員は女性の方が圧倒的に多く、求人も非正規社員の職は女性が適している場合が多いこともあり、非正規社員から正規社員になれた人の数は男性よりも女性の方が多い。逆に正社員の数は男性の方が多いことから、正社員から非正規社員となる人の数は男性の方が多くなる。
一方、2013年、そして2015年から直近の2016年において、男性の正規社員から非正規社員への転職者の多さが目に留まるが、これは上記の通り高齢層の正規社員が早期退職・定年退職などで退職し、非正規社員として再就職した事例による結果である。
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