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芸人が惚れる芸人「ランジャタイ」!!

中西正男芸能記者
お笑いコンビ「ランジャタイ」。向かって左が伊藤幸司、右が国崎和也

テレビ東京系「ゴッドタン」で“芸人が選ぶ天才芸人”として話題になった「ランジャタイ」。伊藤幸司さんと国崎和也さんが2006年に結成したコンビですが、オーソドックスなスタイルからはかけ離れたオンリーワンの味で、芸人や関係者の中に熱狂的なファンを持つ存在なんです。そんな2人が、ニッポン放送「オールナイトニッポン」で単発ながらパーソナリティーを担当することになりました。22日に放送される「ランジャタイのオールナイトニッポンR」(深夜3時)で所属事務所・オフィス北野のトップ、ビートたけしさんも活躍した番組に挑みますが、これまでの道のりはまさに型破りでした。

貴重なチャンスをゲット!

国崎「『オールナイトニッポン』のパーソナリティーのオーディション、約700組が応募した中から『相席スタート』さん、吉澤エミリさん、高須クリニックの院長、そして僕たちという、なんともバラエティーに富んだ4組が選ばれまして。貴重なチャンスですからね。『22日に異常な執着を見せる』って書いておいてもらっても、何ら差し障りない心意気です(笑)」

伊藤「なんとかチャンスを活かして、今後、レギュラーのパーソナリティーの座を勝ち取れるように頑張らないといけませんからね。なんでしょう、全裸でラジオをやるとか、スタジオにたくさん犬を連れ込むとか…。何かしら、誰もやったことのないことを考えています」

「ヤバイやつが来た!」

国崎「今、僕らはオフィス北野に所属していて、トップはビートたけしさん。そのたけしさんもされていた『オールナイトニッポン』を単発でもできるなんて、本当にウソみたいな話だと思っています。そもそも、僕らは吉本興業の養成所・NSC東京校の同期として出会ったコンビなんですけど、NSCは3ヵ月でクビになりまして…。その頃は、この人(伊藤)がホントにトガりすぎてて」

伊藤「入学したその日から、同期一人一人のところににじり寄っていって、相手の目をジーッと見ながら『お前、おもしろいのか?』と尋ね続けるという(笑)。みんな『…ヤバイやつが来た!』という空気マンマンで無視ですよ。2日目で早くも完全に危険人物です…。同期には渡辺直美さんとか『ジャングルポケット』さんとかがいるんですけど、数十人に尋ねていって、初めてこの人(国崎)が『うん、おもしろいよ~』と答えたんです。そこから唯一、仲良くなりまして」

国崎「ちゃんと答えたのが僕だけだったみたいで(笑)」

伊藤「最終的にコンビを組む決め手になったのは、NSCに入って3ヵ月くらいの時期でしたかね。同期が集まっている場でいきなり僕が前に出て叫んだんです。売れるのは一握りだけなのに、みんな仲良しこよしに見えたので「お前ら、ここは仲良しクラブじゃないんだよ!!」って。スタッフさんが慌てて飛び込んできて、羽交い絞めにされて学長室に連れて行かれまして。結果、それがもとでNSCを退学することになるんですけど、この人も、一緒にNSCを出ることになって、そこから行動を共にしています」

国崎「NSCの授業料が40万円ほどだったんで、結局、2人合わせて80万円。それがパーになってしまいましたけど、ま、そのおかげで2人が出会えましたからね。十分に値打ちはありました」

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フリーの5年が一番ヤバい

伊藤「そこから、今はハリウッドザコシショウさんや『バイきんぐ』さん、アキラ100%さんがいるソニー・ミュージックアーティスツ内のお笑い部門・SMA NEET Projectというところに行きまして。今でこそ、いろいろな人が所属していますけど、僕らが行った当時は行き場のない芸人が集まる“芸人墓場”と言われてたんです(笑)。小学生でも女子高生でも履歴書を持って行ったら入れるという…。唯一、事務所から案内されて行ったオーディションが“子ども警備員”みたいな子役対象のオーディションでして、当時24、25歳だった僕らが7歳くらいの子役に混じってオーディションを受けると…。その帰り、どちらからともなく『もう、やめよう』となりました。ただ、本当に何も規制もされないし、何でもアリだったし、ソニーでは自由を学びました(笑)。そこからフリーで5年くらい。その時期が一番ヤバかったですね」

国崎「フリーだしライブの場もないですからね。ここからは、本当にヤバイというか、にわかには分かりにくい話だと思うんですけど(笑)、本当の話だから、しばらくお付き合いくださいね。自分たちの家で、自分たちがお客さんになって“ライブ”をやってたんです。分かりにくいですよね?まずネタを何本か作って、映像に収めて、日にちも決めて、『ランジャタイ単独ライブ』のチラシも作るんです。そして、僕らがたまたまチラシを見てライブ会場、といっても、自分たちの家なんですけど(笑)、ライブに来たお客さんということになって、ネタを見て、ライブが終わったらアンケートも書くんです。それを十数回、1年くらいやりましたかね」

伊藤「狂気です」

国崎「それを、十数回、1年くらいやった頃、ある先輩芸人の方が僕らの“ライブ”のことを知って、一言『お前ら、何をやってんだ…?』と。そこで初めて“ツッコミ”が入ったんです(笑)。そこから、その先輩がいわゆる通常のライブに出してくださるようになったんですけど、『ライブに出る』ということにたどり着くまで、5年くらいかかりました(笑)」

流れが変わったのは…

伊藤「そのあたりから、またどこかに所属すべく、いろいろまわるんですけど、ことごとくダメなんですよね。フツーのことがなかなかできないというか」

国崎「所属の流れになると、まずは、その事務所のライブのお手伝いみたいなことをするんです。裏方さんと言いますか。それをやる中でも、ネタを撮影してと言われてもビデオカメラの録画ボタンを押し忘れている。さらに、マセキ芸能社でライブのお手伝いをした時には、この人が照明をしてたんですけど、操作を間違ってコンビニのコントなのに、ステージがジュリアナ東京みたいになってましたからね(笑)。そうなると、そこにはいられずに、また別の事務所を探す。そうこうしているうちに、太田プロ、ケイダッシュ、浅井企画…とたくさんまわりました」

伊藤「ただ、流れが変わったのはテレビ東京系『ゴッドタン』の“芸人が選ぶ天才芸人ランキング”で2位に選んでいただいて、少し注目していただくようになった時ですね。オフィス北野の『マッハスピード豪速球』に誘ってもらって、オーディションを経て、2015年の11月にオフィス北野に入ることになったんです。本当に、周りの芸人さんに支えてもらっての今だなと」

国崎「周りが支えてくれなかったら、今でも、家でライブをしているかもしれません(笑)」

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天下を取りたい

伊藤「せっかくここまでやってきましたし、やっぱり、この仕事をしている以上は、天下を取りたいですね。たけしさんが天下を取られたように。時代を塗り替えるというか」

国崎「そうですよね。まずは自分たちの番組をやれるようになりたいですね。好きな企画ができるような。エッ、どんな企画かですか?一つ考えているのは、街で僕らが大きなパレードをやってるんです。たくさん芸能人もいて、ものすごく豪華で道行く人たちも足を止めて『すごいなぁ』って眺めているんです」

伊藤「だけど、結局、何のパレードかは分からないっていう(笑)。ものすごく壮大で、ものすごくお金もかかりますけど、この企画をスッとできるくらいの存在になれたらいいなと。だいぶ、だいぶ、道のりは遠いでしょうけど(笑)」

■ランジャタイ

1985年11月18日生まれで鳥取県出身の伊藤幸司と87年9月3日生まれで富山県出身の国崎和也のコンビ。2006年、ともに吉本興業の養成所・NSC東京校に12期生として入学し、コンビ結成。伊藤の奇行がもとでNSCを退学になってからは、SMA NEET Projectやフリーなどを経て、2015年11月からはオフィス北野に所属している。ベストネタを集めたDVD「ランジャタイのキャハハのハ!」が発売中。22日深夜3時からはニッポン放送「ランジャタイのオールナイトニッポンR」が放送される。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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