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久喜市の市役所でトイレがほぼ使用不能に トイレの詰まり、原因になりやすいものは?

藤原千秋ライター、住生活ジャーナリスト
(提供:イメージマート)

トイレが使用不能で市役所が非常事態 詰まりや漏水相次ぐも原因不明 朝日新聞デジタル3/23(木) 6:30配信

埼玉県の久喜市役所で、トイレの詰まりや漏水が相次いでいる、というニュースが報じられました。どこであれ「トイレが使えなくなること」は、「清潔な水が飲めなくなること」と同じくらいにシリアスで待ったなしのピンチです。

しかし水洗トイレというものに「詰まり」は、まれに生じます。

ただ詰まりに気づくのはたいてい用を足して水を流してしまった後のこと。汚水がいつものように流れ去ってくれず、便器内からまさか溢れるようなことにもなれば、普通の人なら狼狽してパニックになってしまいかねないでしょう。

トイレを詰まらせないためには、いったいどうしたらいいのでしょうか。

当たり前の暮らしの中にも盲点はあるものです。トイレを詰まらせる原因になりやすいものや、公共トイレでの注意点などをご紹介します。

トイレを詰まらせる原因になりやすいもの

提供:イメージマート

●トイレットペーパー

・「シングル」で多め多めに紙を巻き取る癖のある人が、「ダブル」でも同じことをするとトイレを詰まらせることがあります

・トイレットペーパーで拭き取り、そのまま流すタイプのトイレ用洗剤を使う場合には、ペーパーを多く使いすぎないようにしないと詰まらせることがあります。掃除に使用した紙は別に燃えるゴミとして捨てる方が安全です

●流せるトイレ掃除用シート

・商品によって水溶け具合が千差万別なうえ、使う人や場所によって使用量もまちまちで、これもしばしば詰まりの原因になります。基本的に一度に流せるのは1枚です。多量に使った場合はペーパー同様、別に燃えるゴミとして捨てる方が安全です

●除菌シート

・コロナ禍で使用する人が増えた市販の除菌シートの大半はトイレに流すことができません。布のようにしっかりした紙や不織布はてきめんに詰まりの原因になりますので必ず燃えるゴミとして捨てましょう

写真:イメージマート

●湿布

・整形外科などで処方される粘着力が弱いタイプの湿布剤腰に貼っている場合、お手洗いの際に落としやすく、落としてもたいてい気づくことができません。年配の方のお宅でトイレが詰まる原因の最たるものです

●使い捨てカイロ

・市販の「貼るカイロ」の多くは近年粘着力が増しているので落ちにくいのですが、普段「貼るカイロ」を使っている人が「貼らないカイロ」を腰部と服の間に挟んだことを忘れてドボン、という事故がまま起こります

●生理用ナプキン

・基本的に生理用ナプキンを故意に流す女性はいないと思いますが、誤って落としてしまった場合。また一部「流せるナプキン」と銘打たれたものを使用し、詰まらせることがあります

●食品

・一人暮らし初心者の方が、誤って腐らせたカレーや味噌汁などの食品をトイレに流して処分することがあるようです。気持ちはわかるのですが、必ずゴミ用ネットなどで水気を切ったのちに、古新聞などに包んでゴミ袋に密閉し生ゴミとして捨てるようにしましょう

湿布、カイロ、ナプキンなどを落としてしまったことに気付いたら、そのまま水洗せず絶対に取り出すようにしましょう。ただ素手で取り上げるのは嫌だと感じるのも衛生的に問題があるので致し方がないことです。

写真:イメージマート

家庭のトイレであれば、ゴミ拾いハサミ(火バサミ)や、そのようなものを常備しておくことで、誤って落としたものはそれで手を汚すことなく拾い上げることができます。

取り出したらトイレットペーパーに包んでからビニール袋に密閉して、ゴミとして捨てるようにしましょう。

公共のトイレでの注意

一方、家庭のトイレには決して流さないだろうものが、公共のトイレでは流されてしまう可能性があります。

●下着、衣類

・たとえば、失禁で汚れた下着(パンツなど)処分方法に出先で窮して、そのまま流してしまうことなども、あるかも知れません。これも気持ちのうえではわかるのですが、多くの人が使う公共施設のトイレを故障させることにつながり、あまりにも代償が大きくなります。後述の方法をお勧めします

●尿取りパッド

・使用済み尿取りパッドはアンモニア臭が強く出るため、基本的に生理用品等の通常の女性用汚物入れにも入れないことが推奨されています。誤って便器内に落としてしまった際には、必ず取り出すようにしてください

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サニタリーボックスと呼ばれる汚物用のゴミ箱バリアフリートイレ(誰でもトイレ)には常備されていることが多いので、困った時はそういうトイレを利用し、オムツなど含め汚れたものを一度ペーパーで包んで(できればビニール袋に入れられればいいのですが)捨てるようにしましょう。

しかしサニタリーボックスは設置者の管理負担が大きく、通常のゴミ箱と混同して使われるなど、あまりにマナーの悪い使われ方が増えると撤去されてしまいかねません。

”誰かのピンチは、いつかくる自分のピンチ”

ともすれば慌ただしく、自分勝手に使いがちな空間であるトイレですが、ほんの少しの注意と余裕で、無用な「詰まり」は予防できるかも知れません。

ライター、住生活ジャーナリスト

「家のなか」の事をテーマにウェブ、雑誌、新聞等で執筆。大手住宅メーカー営業職を経て2001年よりAllAboutガイド。主な著・監修書に『人生が整う 家事の習慣』(西東社)、『ズボラ主婦・フニワラさんの家事力アップでゆるゆるハッピー!!』(オレンジページ)、『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)等。2020年1月より東京中日新聞にてコラム『住箱のスミ』連載中。

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