愛犬・愛猫の【夏バテ対策】 獣医師が教える5つのポイント
気象庁は1日、向こう1カ月(8/3~9/2)の天候の見通しを発表しました。暖気が流れ込みやすいため、向こう1カ月の気温は全国的に高い見込みとweather mapが伝えています。
犬や猫は人間のように体にたくさんの汗腺がないため、熱中症になりやすいのです。特に日本の蒸し暑い夏は、犬や猫にとって過酷な環境です。夏バテ対策をしっかり行い、大切な家族であるペットの健康を守りましょう。今回は獣医師として、夏場にペットの健康を守るための5つのポイントを紹介します。
1. 適切な水分補給
暑い季節には水分補給が非常に重要です。
筆者の動物病院で飼い主に脱水について尋ねると、「ちゃんと飲んでいる」と答える方がほとんどです。
しかし、筆者が血液検査をするとアルブミンと総蛋白の値が高いことがあります。これらは血液中の蛋白質の量を示す指標で、脱水時に高値になることもあります。また、ヘモグロビンとヘマトクリットも脱水によって濃縮され、高値になることがあります。血液検査を行うことで脱水の有無がわかります。
猛暑が続いているため、飼い主は飲水量が大丈夫と思っていても、実際には脱水が進行している場合があります。
新鮮な水をいつでも飲めるようにし、特に外出時や散歩の後には水を持参して飲ませるように心がけましょう。冷たい水や氷を入れた水を用意するのも効果的です。ただし、冷たすぎる水はお腹を壊す原因になることもあるので注意が必要です。
2. 涼しい環境の提供
ペットが過ごす場所を涼しく保つことが大切です。エアコンを適切に使い、室温を管理しましょう。風通しの良い場所や涼しいタイルの床、冷却シートなども利用し、そこで休ませることをおすすめします。外で過ごす場合は、日陰を確保し、直射日光を避けるようにしましょう。
3. 散歩の時間を調整
散歩は朝早くか夕方の涼しい時間帯に行うようにしましょう。特に朝5時ぐらいでないとアスファルトやコンクリートが熱いので注意が必要です。ほとんどの犬は靴を履かせないため、足裏を火傷させる恐れがあります。手の甲を地面につけて熱さを確認し、熱すぎる場合は散歩を控えてください。
アスファルトが熱いときは、カートに入れて公園などに連れて行き、草が生えている場所で飼い主が手の甲で地面の温度を確認してから犬をおろしてください。
4. 食事の見直し
夏場は犬や猫がエアコンの利いている部屋にいても食欲が落ちることがありますが、栄養バランスを考えた食事を心がけることが重要です。食べないと体重が落ちるので、体重を目安のひとつにしてください。
特にチワワなどの超小型犬は、数百グラムの減少でも命にかかわることがあるので、3kg以下のペットなら、3,000gまで計れるキッチンスケールで体重を測ることをおすすめします。
湿度が高いと食べ物が傷みやすいので、出しっぱなしにせず、食べ残しを早めに片付けることが必要です。冷たいスナック(ペット用の氷菓など)を取り入れることも効果的ですが、あまり冷たいものを与えすぎると下痢をすることがあるので、注意が必要です。
5. 健康チェックの徹底
暑さで体調を崩すことがないよう、定期的に健康チェックを行いましょう。
・元気がない
・食欲がない
・異常に暑がる
・呼吸が早い
・嘔吐や下痢をする
・体重が減ってきた
・毛が異常に抜ける
などの症状が見られたらすぐに獣医師に相談してください。特に高齢のペットや持病のあるペットは注意が必要です。
まとめ
ペットの健康は飼い主の管理次第です。
夏場の適切なケアを行うことで、ペットも飼い主も快適に過ごせる夏を過ごしましょう。去年は大丈夫でも、年々暑さが厳しくなっています。そのうえ、諸説ありますが、人間の1年がペットには6年から7年といわれています。
つまり、去年の夏より6歳から7歳、年齢を重ねたということです。愛するペットが元気に夏を乗り切るための対策をしっかりと実践してください。