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最年長棋士・桐山清澄九段(72)生涯通算994勝目をあげる 史上10人目の1000勝達成まであと6勝

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 2月6日。東京・将棋会館においてC級2組順位戦9回戦▲桐山清澄九段(72歳)-△近藤正和六段戦がおこなわれました。10時に始まった対局は20時48分に終局。結果は102手で桐山九段の勝ちとなりました。

 勝った桐山九段は1勝8敗。敗れた近藤六段は3勝6敗となりました。

 桐山九段の生涯通算成績はこれで994勝950敗(勝率0.5113)。通算1000勝まであと6勝と迫りました。

 将棋界では通算1000勝を達成した棋士に「特別将棋栄誉賞」が贈られます。その受賞者は、過去にはわずかに9人しかいません。桐山九段は史上10人目の通算1000勝を達成できるでしょうか。

桐山九段、堂々の完勝

 桐山九段はC級2組8回戦終了時点で3回目の降級点を取ることが決まり、残念ながら既に降級が決まっています。

 残る2戦で勝ち星をあげても、規定により、桐山九段は今期をもって順位戦からは引退となります。しかし他棋戦ではまだ対局が残っており、通算1000勝の可能性は依然残されています。

 先手の近藤六段は得意の中飛車に振りました。対して桐山九段は向かい飛車の位置に飛車を振って、戦型は相振り飛車となりました。

 玉の囲いは近藤六段が穴熊なのに対して、桐山九段は金無双。桐山九段は近藤陣の穴熊上部に飛桂香の攻め駒を配置して、端から攻め込みます。桐山九段の攻めは急所をついて厳しく、桐山九段が大きく優位に立ちました。

 近藤六段も懸命にしのぎますが、飛車交換の後、今度は下から追い立てる攻めが厳しい。桐山九段は最後まで着実な攻めで、近藤六段の玉を寄せきりました。

 桐山九段はこれで通算994勝目。通算1000勝まであと6勝です。

 C級2組はいま現在、熾烈な昇級争いが繰り広げられています。また本局と同じ東京・将棋会館では叡王戦挑戦者決定戦第1局▲豊島将之竜王・名人-△渡辺明三冠戦もおこなわれています。

 桐山九段の弟子であり、現在の将棋界の頂点に立つ豊島竜王・名人の対局が気になりつつも、桐山九段の対局をドキドキしながら見ていた、という将棋ファンの方も多いのかもしれません。桐山九段の勝利が決まった瞬間、ネット上では、桐山九段に対する賞賛の声であふれていました。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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