ガソリン価格、2週連続の160円台乗せ ~ガソリン高は一服も値下がりは期待薄~
資源エネルギー庁が8月7日に発表した石油製品価格調査によると、8月12日時点でのレギュラーガソリン店頭小売価格(全国平均)は前週比+0.1円の1リットル=160.2円となった。
これで店頭価格は6週連続の値上がりとなり、過去1ヶ月半の累計で8.3円(5.5%)の急伸となる。ただ、週間の上昇幅は7月15日の週の2.5円をピークに縮小傾向にあり、漸くガソリン価格の急騰地合に一服感も浮上し始めている。
ちなみに、今回の価格水準は前週同様に08年10月14日の週以来の高値であり、2週連続で160円台に乗せたのもその時以来のことになる。
■熱波でガソリン需要の拡大期待も強いが
問題はこうしたガソリン価格の高騰が今後も続くか否かだが、現在の値位置から更に大きく値上がりする可能性は低いと考えている。
夏場のドライブシーズンに伴うガソリン需要の増加期待を背景とした価格高騰は、既に業者転売市場や先物市場では一服しており、小売価格のみが一本調子の上昇を続けるような地合にはない。原料コストの転嫁は十分に進んでおり、ここから原油高や円安を理由に急騰相場が続く必然性は乏しい。
足元では予想以上の熱波によって、エアコン使用によるガソリン需要の増加期待は根強い。実際、お盆休み前半のガソリン販売は好調だったとの報告も聞かれる。ただ、9月後半の連休までは行楽需要はピークアウトするのが毎年の傾向であり、今年も需要の一服と連動して徐々に調整圧力が強まる流れになるだろう。
特に在庫の余剰感は見られないが、来週以降は行楽需要に備えた末端在庫の圧縮が可能になることで、ガソリン価格に対する過熱感が強くなり始めている。このまま165円、170円といった具合に値上がりが続くことはないだろう。
■上昇が止まったとしても、値崩れの可能性は低い
もっとも、海外のドル建て原油価格は、依然として1バレル=105ドル近辺の高値水準を維持している。月間平均価格でみても5月の94.8ドル、6月の95.8ドルに対して、7月は104.7ドル、8月(13日現在)は105.9ドルと大幅な値上がり状態が続いている。1~6月期との比較では概ね10~15%程度の値上がりになっており、原料コスト面でガソリン店頭価格が急落するような環境にはない。
為替市場でも急激な円安傾向が一服しているとは言え、こちらも1ドル=100円前後の円安・ドル高水準にあり、年初との比較では13%程度の値上がりプレッシャーになっている。円安圧力が緩和していることは間違いないが、特に円高が進行している訳でもないことが重要である。
ガソリン価格に占める原料費は現在の値位置で55~60円のレンジ内と見ており、円安と原油高の合計でコストが今年上期との比較で20%程度上昇していることに伴う、ガソリン価格全体への影響は10円を若干上回る程度である。
その意味では、ここから原油価格が更に急落するか、円高が加速するような事態にならない限りは、現在の値位置は適正レベルと見ている。季節要因から若干調整圧力が強まり150円台後半まで値位置を切り下げるとみるも、そこから更に大きく値崩れを起こすような環境にもないだろう。当面は、現行価格に近いレベルの高値が続く可能性を想定しておきたい。