【佐久市】佐久市のごちそう。鯉のうま煮の作り方
【素材お借りしました:イラストレーター bonbonさんとイラストレーター DARさん】
年末年始が近づいてくると、祖母の「お歳とりやお正月は佐久鯉を食べていた」という言葉を思い出します。佐久鯉と言えば、佐久市の郷土料理として有名です。
海がない長野県では、昔から川魚を食べることが多く、佐久鯉は高級魚として知られているとか。浅間山や蓼科山などから流れてくる水で育った佐久鯉は、川魚にしては泥臭さがないうえに、身が引き締まったおいしい肉質を持っていると言われています。
そのため、佐久市では、人が集まるお歳とりやお正月、誕生日の時などに食べられていたごちそうです。
ですが、見た目がおいしそうに見えなかった私は今まで半信半疑でした。
祖母や母、叔母たちは口を揃えて「佐久鯉はおいしいよ」と言うけれど、私vs親族で意見がぶつかり合っていました(バチバチですね)
【写真お借りしました:FRANK211さん】
ですが、食わず嫌いはよくないと思い、「一度は食べてみよう」と決めました。
折角だから手作りをしてみたいとなんだかんだノリノリになって、鯉のうま煮を作ってみることにしました。
【佐久市のごちそう】鯉のうま煮
今回のレシピは、有限会社齋藤幸太郎商店さんからお借りしました。
作り方はシンプルで、砂糖や醤油、酒、水を入れて煮込むのみ。
作り方を知った当初は「すぐ終わってしまう」と軽く考えていましたが、実際に作ってみるとひと手間が必要な料理でした。
▼材料は以下のものを使います。
・鯉の切り身(5~6切れ)
※鯉の切り身は、ツルヤや西友、ヘルシーテラス佐久南などで売っています。もしくは吉澤鯉店 - 佐久市桜井や◆信州佐久 鯉専門店 うすだ鯉店などの鯉屋さんにも置いてあります。
・水・・・500cc
・醤油・・・20cc
・日本酒・・・30cc
・砂糖・・・300g
・みりん100cc
※みりんは、照りを出すために重要な役割を持っているので、一番最後の工程に入れます。
▼作り方
①鍋に水・醤油・日本酒・砂糖を入れて、強火で沸騰させる。
②均等に煮汁が染み込むように、鯉の輪切りを重ならないように並べ、落とし蓋をする。
③沸騰したら中火にし、煮汁が落とし蓋の縁まで上がるように火加減を調整する。(落とし蓋に触れるくらいの沸騰状態)
④そのまま15分から20分ほど待つ。その間、鯉が鍋底にひっつかないように鍋の取ってを持って、鍋を左右に揺らしながら鯉を動かす。鯉の切り身は崩れやすいので、ひっくり返したり菜箸などで動かさない。
⑤最後にみりんを入れて、照り出し作業をする。
おたまで煮汁をすくい、照りが出るまで(1時間ほど)上から煮汁をかけ続ける。このひと手間で、美しく仕上がるかどうかが決まる。
⑥煮汁がとろとろになって、色が染み込んだら出来上がり。フライ返しを使って慎重に取り出す。
心弾みながら実食です。
まずタレを箸の先に付けて味見します。甘うまい。タレはご飯の上にかけて食べてもおいしい。(食に貪欲)
作り始める前は「川魚だから身はパサパサになるのかな?」なんて思っていましたが、いやいや、ふわふわになりました。ふっくらとした白身に甘みがしっかりと染み込み、ご飯が進みます。タレもよく絡まっていて、ウナギを食べているような気分になりました。
また、食べてみてわかったのは鯉には小骨が多いということです。
なので、骨を取り出すのが苦手な方には、骨が少ない首の部位をあげると良いでしょう。逆にしっぽにはたくさんの骨があることがわかりました。骨を取る自信がある方は、率先してしっぽを選んでみてくださいね。
実際に作ってよかったです。知らなかった佐久市の食事情や、佐久鯉がごちそうと言われている理由などを、上澄みだけでなく深く勉強することができました。
何より、家族が昔の思い出を語る機会を作れたこと、聞けたことが1番嬉しかったです。(いい年末)
残った頭としっぽはアラ汁にしました。そちらもぜひ作ってみてください。