都道府県別に節分の日の恵方巻きの購入性向をさぐる(2023年公開版)
節分の日に恵方を向き、無言で食べ切るとよいことが起きる、願い事がかなうとして、風習化の傾向がある恵方巻き。一方でスーパーやコンビニの過剰入荷と売れ残り品の廃棄問題も社会問題化している。今回は総務省統計局の定点調査「家計調査」の公開値を用い、節分の日における恵方巻きの地域別における購入性向の実情を確認する。
最初は実際に、どれほどまでに節分の日に恵方巻きが買われているかを、家計調査から確認する。日次支出金額が確認できる二人以上世帯における、2022年の節分の日である2月3日を含む1~2月の動向が次のグラフ(性質上長期間の買い置きはしないものと思われるが、念のために1月も精査対象としている)。対象品目は「すし(弁当)」。飲食店以外の持ち帰りのすし類が該当し、冷凍品は含まない。具体的にはにぎりずし、まきずし、いなりずし、ちらしずし、折詰ずしが例に挙げられているが、恵方巻きはこの品目に該当すると考えられる。
節分の日当日の2月3日は言葉通りけた違いの値となる647.49円が出ている。節分の日における恵方巻きは、得てして当日購入するのが一般的のようだ。
続いて都道府県別。こちらは総世帯における年間支出金額を用いている(年間データは現時点でまだ2022年分は公開されていないので2021年分が最新のものとなる)。
全国平均では12277円。最低値は宮崎県の7668円。最高値は奈良県の16182円。地域属性はさほど影響を与えていないように思われる。他方、都道府県別の人口を考えれば、各地の支出金額総額のランキングは別のようになるのは容易に想像できる(試算では東京都の値がトップとなっている)。
すし(弁当)が恵方巻きに限ったものではないので断定はできないが、恵方巻きは節分の日当日に集中に購入され、一般の世帯で消費されているものと思われる。地域別では近畿地方で多く買われているようだが、都道府県別の地域全体としての消費量を勘案すると東京都が一番となる。
元々半ば作られた形での風習ではあるが、皆が楽しむ分には恵方巻きを節分に食べるのは一向に構わない。ただ、過剰入荷のような問題は避けてほしいものではある。
余談ではあるが最近は夏の恵方巻きと称し、立秋に節分の日同様の恵方巻きを食べようとの動きがある。実際、立秋(2022年は8月7日)に恵方巻きの消費がそれなりに活発化するような動きがみられた。
むしろお盆休みにかけて増えている支出金額の方が大きい。これは帰省してきた子供や孫などのために、恵方巻きではなく他のすしを振る舞っているのが値となって表れているのだろう。
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