浅からぬ因縁の大阪桐蔭-報徳学園 センバツ準決勝は近畿決勝の再戦に!
打線の不調に苦しみながらも、エース・前田悠伍(タイトル写真=3年・主将)の活躍で2度目のセンバツ連覇へあと2勝とした大阪桐蔭は、準決勝で報徳学園(兵庫)と対戦することになった。両校は昨秋の近畿大会決勝で当たり、大阪桐蔭が1-0で勝っている。
近畿大会では前田の完封で大阪桐蔭が優勝
まずは近畿大会の試合を振り返る(学年は現在)。先発は大阪桐蔭が前田で、報徳は右腕の間木歩(2年)。4回に大阪桐蔭が、村本勇海(3年)の二塁打を足掛かりに内野ゴロで1点を先制する。続く追加点機に報徳はエース・盛田智矢(3年)を救援させ、1点で食い止めるが、打線が前田をとらえきれない。9回表、報徳は2死1塁から4番・石野蓮授(3年)の三ゴロを、大阪桐蔭三塁手が一塁へ悪送球。一塁走者が本塁を狙ったが、間一髪でタッチアウトになり、1-0で大阪桐蔭が逃げ切った。前田は3安打9奪三振の完封。報徳も間木、盛田、今朝丸裕喜(2年)のリレーで被安打7の1失点にまとめ、僅差の好試合になった。
リベンジに燃える報徳には願ってもない機会
この試合は幕切れが本塁上のクロスプレーで、走者と捕手が激突したように見えた(コリジョンであれば走塁妨害でセーフ)ことから、同点を信じた報徳の選手たちがなかなか試合後の整列に出て来ず、場内も騒然となった。今大会前に取材した時も、報徳の堀柊那(3年=主将)が「同じ相手に2回も負けるわけにはいかない」と、甲子園での再戦を熱望していた。あれから5か月。最高峰の甲子園の舞台、それも準決勝という高いステージでの再戦は、リベンジに燃える報徳にとっては願ってもないチャンスだ。
報徳投手陣の出来が秋とはかなり違う
報徳は準々決勝では、仙台育英(宮城)をタイブレークの末にサヨナラで破り、夏春連覇の夢を打ち砕いた。大阪桐蔭のセンバツ連覇阻止も大きなモチベーションになるだろう。また大阪桐蔭の西谷浩一監督(53)は報徳OBで、母校の大角健二監督(42)は後輩に当たる。力が拮抗している上、勝ちたい思いは他校よりも強いはず。熱戦は必至だろう。今大会を見る限り、秋との違いは報徳投手陣の調子で、特にエースの盛田は仙台育英戦でも二人目で登板し、2四球を与えるなど、制球に苦しんでいる。逆に2年生の両投手は好調で、特に今朝丸が大きく成長していて、仙台育英戦の勝因は彼の力投にあった。
前田は救援待機が現実的か?
一方の大阪桐蔭は打線が上向きで、近畿大会で報徳の3投手とも相対しているのが大きい。報徳は前田としか対戦しておらず、前日の原稿で筆者が「前田を救援待機させた方が現実的」と分析した根拠でもある。ちなみに神宮大会の仙台育英戦も前田が完投勝ちしているが、実際に対戦すれば、当時と比較して、状況に応じた策を立てやすいものだ。試合はお互い、誰が先発しても1-0というような試合にはならないだろう。
前田の旧友が報徳で絶好調
報徳は初戦から打線が好調をキープしているが、得点機をモノにし切れず、終盤で追いつかれる試合が続いた。結果的にタイブレークをサヨナラで連勝していて、追いかける展開の方が、意外に勝機をつかめるかもしれない。8番を打つ林純司(3年)が東邦(愛知)戦で本塁打を放ち、仙台育英戦も3安打で打率.600と絶好調。林は前田と滋賀・湖北ボーイズ時代にはバッテリーを組んでいて、選手間にも浅からぬ因縁がある。4~5点勝負で、前田の登板に際し、報徳打線がどう対応するかが勝敗の分かれ目になるだろう。
山梨学院が県勢初の決勝狙う
準決勝のもう1試合は、山梨勢初の甲子園決勝進出を狙う山梨学院が、投打とも好調の広陵(広島)に挑む。山梨学院はエース・林謙吾(3年)が抜群の制球力と球のキレで安定した投球を披露している。1回戦からの登場で5戦目というハンディはあるが、打線もしぶとくつなぎ、足を絡めた多彩な攻めを見せる。広陵の主砲・真鍋慧(3年)をマークして打線を分断できれば、勝機も出てくるだろう。
タイブレーク決着だけはやめて
報徳が2試合連続のタイブレークを制したが、大会前の危惧通り、今大会3試合のタイブレークは後攻チームが全てサヨナラ勝ちしている。明らかに先攻後攻での有利不利があり、3試合とも先攻チームが追いついてサヨナラ負けするパターンで、敗れたチームの精神的ダメージが大きい。こうした後味の悪い決着にならないことを祈っている。