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NY金2日:ドル急落でショートカバーが先行、ギリシャ合意を楽観視

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

COMEX金6月限 前日比比5.70ドル高

始値 1,189.50ドル

高値 1,196.40ドル

安値 1,185.80ドル

終値 1,194.40ドル

為替相場がドル安方向に振れたことが好感され、反発した。

週末に米雇用統計の発表を控える中、アジアタイムは1,186~1,190ドル水準で方向性に乏しい展開になった。ただ、欧州タイム入り後はドル安連動で地合いを引き締め、1,192~1,196ドル水準までレンジを切り上げている。ドルサイドには特に目立ったネガティブ材料がなかったものの、ギリシャ協議での合意に楽観ムードが広がったことが、ユーロの買い戻しを促していることが、ドル相場安、そしてドル建て金相場高を促した。ユーログループ議長はギリシャと債権者との合意は程遠いとの見方を示すも、それと同時に膠着状態を打破するための計画を取りまとめ中と発言したことが、先行きに対する楽観ムードにつながった模様。また、5月のユーロ圏インフレ率が昨年11月以来で初めてプラス圏に転じたことも、ユーロ圏のデフレリスク後退の思惑からユーロにポジティブ(ドルにネガティブ)に機能している。

引き続きギリシャ情勢の進展状況が注目されるが、ギリシャと債券団との合意形成が進めば金相場の急伸シナリオの一つが破綻することになり、相場の押し上げ効果は限定されよう。断続的な上昇トレンドを形成するシナリオとしては、改めて米経済の減速懸念が強まる展開の方を警戒すべきである。今週は、3日と5日に5月分の雇用統計発表が控えており、ここで改めて米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げが支持されるか否かの方に注目すべきと考えている。

現時点での市場予測は、特に強くもなく悪くもない数値になっているが、ここで米経済に対する信認を取り戻す動きを見せることができれば、改めて下値模索の展開となろう。一方、雇用者数で前月比+20万人前後の中途半端な数値に終わった際には、、6月16~17日の米連邦公開市場委員会(FOMC)に新たな手掛かりを求めることになる。イエレンFRB議長は年内に利上げが実施される可能性が高いことを確認しているが、本当に年内利上げが可能なのか、確信を持てる材料が要求されるステージが続くことになる。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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