巣ごもり正月の「韓流ドラマ鑑賞」 重要なのは「観る順番」! 知っておくべきたった一つのこと
さて、大掃除も終え、いよいよ「年末年始・まったり時間のスタート」という方も多いのでは?
そして今年はコロナのせいで再び「巣ごもり生活」を決め込む方もまた、多いのでは。
そんな折に、ぜひ韓流ドラマを。およそ16話前後のストーリーを見進めていけば、「時間を持て余す」ということはあまりない。「なんか周りで噂になってるみたいだから、観ておこうか」というのにもピッタリの時間だ。
2020年に流行した「4大作」がある。いずれもコロナ禍によって生じた「第4次韓流ブーム」の牽引役となった。およそ知名度・認知度順に並べるとこういったところか。
愛の不時着
梨泰院クラス
サイコだけど大丈夫
椿の花咲く頃
これを観ていくにあたり、意外と重要なポイントがある。
「どういう順番で観るのか」ということだ。
筆者自身(40代男)、この5月からそれぞれの作品鑑賞を進めていき、「しくったなー」と思うところがある。なんのことはない、上の順序通りに何も考えず「周囲の噂でよく聴くもの順」に見てしまったがためのことだ。
男性読者なら、子供の頃に戦隊シリーズあたりで「前作が好きすぎて、新しいシリーズにハマれない!」といった思い出はないだろうか。
まさに年末年始の韓流ドラマライフにはその問題が再び立ちはだかる。ネタバレに極力注意しながら(少し漏れたらごめんなさい)この点の整理を。
(本稿、韓流ドラマ初心者&やや男性向けのガイドです。あしからず)
「ファンタジー系」か「日常系」か
考えるべき点はたった一つだ。
4大作は「ファンタジー系(2作)」と「日常生活描写系(2作)」に分かれるということ。
何故これが重要かというと、前者を観終えて、後者に移ることになった際に「挫折」が起きやすいのだ。途中で観るのを止めてしまう、という。
特に男性で、「ドラマを観ることに慣れていないけど、流行ってるから観てみるっぺか」という方は要注意だ。
まず韓流ドラマの「ファンタジー系」は、映画を見終えたような爽快な後味が残る。
いっぽうで、NHKの朝のテレビ小説などをあまり観てこなかった、というような方は「日常生活描写系」では序盤で少し退屈してしまうだろう。
この落差は視聴者を大いに苦しめる。要は「ファンタジー→日常」の順で観てしまうと、地味すぎてなかなかストーリーに没頭できなくなるのだ。
「椿」だけは別物として!
では具体的にどう分類できるのか。作品を紹介しつつ説明していこう。
愛の不時着(ファンタジー)
梨泰院クラス(日常)
サイコだけど大丈夫(ファンタジー)
椿の花咲く頃(日常)
愛の不時着は、韓国でのジャンルは「ロマンティック・コメディ」(実はそう定義されている!)。日本のおじさん世代で「ドラマといえば、『毎度おさわがせします』とか『東京ラブストーリー』かな~」という方は衝撃を受けるのではないか。韓国と北朝鮮、2つの国を行ったり来たりするストーリーはかなりスケールがデカい。日本の「のだめカンタービレ」も後半で世界に飛び出していくが、「不時着」の方がシリアスで、同時にクスッと笑える要素も入っている。
梨泰院クラスは「ロマンス」(現地メディア韓国日報による)。舞台はソウルの繁華街、梨泰院がメイン。この街を巡る若者たちの姿が描かれており、「日常描写系」といえる。とはいえ、ストーリーは決して地味ではない。原作者とドラマ脚本家が同一、という珍しさもあるこの作品は「登場人物のキャラを立てることを一番に考えた」というもの。筆者が周囲にリサーチしていく限りでは、男性に「不時着よりも梨泰院派」という人が多い。「戦う男」が描かれているからだろう。
サイコだけど大丈夫は「ロマンティックコメディ」。これもまた地方の港町が主な舞台だが…主人公の女性絵本作家がファンタジー。衣装・美術関係がまたファンタジー。さらに絵本のストーリーと重ねて話が進んでいく点もそう。ラストシーンでも上手く絵本を重ね、「ドラマ全編を通して言いたかったこと」が示されており大感動。個人的には超オススメ作。中だるみ、みたいなものがほとんどない。よく出来ている。家族向けとしてはほんの少し過激なシーンもあるが。
ここまでを「人気3部作」と観てもいいだろう。実際に今年の秋には韓国で「梨泰院に不時着しても大丈夫」という韓流ドラマファン向けのオンラインイベントがあったというし。
椿の花咲く頃は、ちょっと長いが「ロマンティックラブサスペンスコメディドラマ」というジャンルとされる。じつは上記3作よりも「韓国で評価が高かった作品」だ。2019年の9月から11月に放映され、最高視聴率23.8%を記録。昨年から今年にかけ26もの賞を受賞した。日本でも本当の韓流ドラマ好きのツウな女性の評価が非常に高い。地方の小さな港町に移住した、シングルマザーを巡る物語。サスペンス要素もあるが、他の3作と比べ特に序盤はおとなしい展開だ。この作品、じつは韓国の公営放送「KBS」で放映されたもの。他の3作はいずれも地上波以外での作品だ。つまりは最初から「NHKドラマ的に観る」という心構えがあればより楽しめる作品でもある。
「不時着」を最初にするか、次にするか…
では、この4つをどういう順序で観るべきなのか。結論を。
どうしたって「流行っているもの」「噂で聴いたもの」を先に観たい! という心情はあるだろう。また、いくら時間のある正月休みとはいえ、時間的な制限もある。そのなかで「ドラマ自体を楽しみ」、かつ「観た人同士のコミュニケーションを楽しむ」という目的を果たすには… ずばりこういう提案をしたい。
プラン1
- 梨泰院クラス(日常)
- 愛の不時着(ファンタジー)
- サイコだけど大丈夫(ファンタジー)
- 椿の花咲く頃(日常)
「愛の不時着」を2番めに回すという点は大胆だが、じつは筆者の周りでは「不時着から梨泰院に移った後の序盤」でつまづく人が多い。国際舞台から一気にソウルの街角にステージが移ることに適応できないのだ。この順番だと「ソウルから世界へ飛び出す」という順序で見られる。さらに「不時着」と「サイコ」はファンタジー系が続くため上手くつながるはずだ。そして最後に「椿」は“完全別モノ”と決め込んで観る。この作戦だ。ただし難点は、3番めの「サイコ」での重要な役割の俳優が、4番めの「椿」では完全にキャラクターの違う役で出ているという点。すわネタバレか? いえいえ「事前のアラート」として。もちろん「椿」も本当に楽しんでいただきたい作品なのだ。
プラン2
- 愛の不時着(ファンタジー)
- サイコだけど大丈夫(ファンタジー)
- 梨泰院クラス(日常)
- 椿の花咲く頃(日常)
とはいえやっぱり「まずは不時着を」という方のためのプラン。4作を2:2に分けて考えるものだ。前半ファンタジー、後半日常。重ね「サイコ」は、周囲の噂で聞くことは相対的に少ないかもしれないが、ホントに「優先順位を上げ、早めに見ておいても損はない」というもの。ボーッと見ていたって、衣装・美術もまた美しすぎる。主演の女優の声までも素敵すぎる(推しすぎ)。
サイコ→梨泰院のつながりでは、男性主人公の年齢が近い(というイメージ)のため、序盤に没頭しにくいという点を避けられるはず。ここでも「椿」は完全に別物として楽しむことをオススメしたい。
いずれの作品でも、登場人物の自己主張が日本よりも強い傾向がある。韓国の文化がそうだからだ。多少のハレーションが起きても伝えなきゃいけない。そう考えているので。感情をガーッと表現する人たちを観て、スカッと気分転換。よいお年を。
(了)