中国、北朝鮮国境に難民施設を建設…大量流出を想定か
中国当局が朝鮮半島有事に備え、北朝鮮との国境に面した吉林省長白朝鮮族自治県に、5カ所の難民収容施設の建設を計画中であることが明らかになった。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)や台湾の中央通信社が7日から8日にかけて報道。読売新聞も9日付で後追い記事を出している。
中国当局は、北朝鮮から逃げ出した脱北者を強制送還する政策を取っており、そのための一時収容施設を運営している。
(参考記事:中国で「アダルトビデオチャット」を強いられる脱北女性たち)
今回、建設計画が明らかになった収容施設はこれとは異なり、北朝鮮国内に混乱が生じ、より大規模な難民流出が起きることを想定したものと思われる。
中央通信社は中国のSNS上で、中国移動通信吉林省白山支社から流出した内部文書を発見。それによると、中国共産党長白県委員会と長白自治県政府は中朝国境情勢の緊張を受けて、国境沿いに5カ所の難民収容所の建設を計画中だという。中国移動通信はこれら当局からの要請で、今月2日、建設予定地の携帯電話の電波の強さを計測した。
RFAによれば、自治県政府は収容施設の建設計画の存在を否定している。しかし読売新聞は、自治県政府に近い関係筋が「候補地選定が終わった段階」と認めたとしている。
状況から見て、建設計画が進められているのは事実のようだ。中国当局の、朝鮮半島情勢に対する厳しい認識を示すものと言える。
(参考記事:「在韓米軍の家族の帰国がすでに決定」との情報…北朝鮮との衝突に備え)
長白県は人口が10万に満たない山間の小都市だが、鴨緑江を挟んで北朝鮮の貿易都市の一つである恵山(ヘサン)と向かい合っており、脱北や密輸のための越境地点となっている。また、県内の国境線の長さは260キロに達することもあり、有事の際には北朝鮮から多くの難民が流入することが懸念されている。