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ヤマハがバイク未経験者に楽しみを伝えるための「超ビギナー向けスクール」を開催!

佐川健太郎モーターサイクルジャーナリスト

ヤマハのユニークな試み 「免許をもっていない人を、将来のライダーに!」

去る2016年7月23日にヤマハ主催の「超初心者向けライディングスクール」が開催された。

ヤマハ初の試みでもあるこの企画がユニークなのは、2輪免許をもっていない人を対象としていること。通常のスクールはすでに免許所持者であるライダーが安全運転スキルを磨くために参加する場合がほとんどだか、これは免許はおろかバイクに触ったことすらない人に、バイクへの興味・関心を持っていただくことを目的としたもの。

つまり、ゼロベースから”バイク好き”を増やし、将来のライダーを育てていこうというプログラムなのだ。

デイトナのテストコースを一日貸し切り!

今回の参加者は2輪免許を持っていない個人ブロガーの方々。バイクを「自分でも操れる!」を実感していただき、その楽しさを幅広い層へ伝えていただくのが狙いだ。

場所はヤマハ本社からもほど近い静岡県・森町にあるバイク用品メーカー「デイトナ」のテストコースを一日貸し切り、安全なクローズドエリアでの講習を実施。インストラクターはモーターサイクルジャーナリストでライディングスクール講師としても経験豊富な佐川健太郎氏を中心とする講師陣が務めた。

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早朝から現地に集まった参加者は10名。男性2名に対し女性8名、と意外にもバイクに対する女性の潜在的な関心の高さをうかがわせる。全員2輪免許は持っていないが、クルマの免許所持者がほとんどということで、元々乗り物への関心は高いようだ。ちなみにスクーターに乗った経験有りが1名だった。

講習では最初に2輪の運転特性などを分かりやすく解説。実車を教室に入れて、スロットルやブレーキ、クラッチ、シフトなどの基本操作のレクチャーが行われた。参加者たちはこれから自分たちが乗るバイクに興味津々といった感じで、ギヤチェンジの方法など積極的な質問が相次いだ。

いよいよコースで緊張のライディング。次第に笑顔も

ランチを挟んで、午後はいよいよコースに出て実際にバイクライディングにトライ。皆さんちょっと緊張気味だ。講習用の車両としては、男性用として250ccクラスのトリッカーと女性用には国内未発売モデルのYBR125がそれぞれ用意された。

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実技ではまずライディングフォームのチェックや取り回し、センタースタンド掛けなどの基本をマスター。自転車のような感覚でいた人は、バイクの意外な重さにちょっと驚く場面も。続いて安全なエンジン始動の手順を学んだ後は、発進と停止を繰り返し反復しつつ、バイクのアクセルワークとブレーキ操作に慣れていった。

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最終的には個人の進捗度を見ながら、個別にギヤチェンジの方法や曲がり方などをマンツーマンでアドバイス。徐々に参加からも笑顔を出るようになっていった。

見ていると、やはり体格的に余裕があり機械への理解もある男性は、初めてのバイクにも順応するのが速く、クルマの免許を持っていない人はやはりクラッチやシフト機構の理解にやや時間がかかるようだ。

それでも半日のトレーニングで、全員が「ギヤチェンジしながらコースを1周する」という本日の目標をクリア。満面の笑みがこぼれた。

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ヤマハが始めた「バイク業界の底上げ活動」の意義

参加者に感想を聞いてみたが、「バイクがこんなに楽しい乗り物だなんて知らなかった!」「操っている実感が出できて、自分の手足のような感じがしてきた!」「すぐにでも免許を取って、北海道にツーリングに行ってみた~い!」と皆さん、興奮気味に初めてのバイク体験を語ってくれた。少なくとも今回の参加者たちは、バイクの素晴らしさをリアルに体感し、ファンになってくれたはずだ。

小さな一歩ではあるが、ヤマハという車両メーカーがバイク業界の底上げに本腰を入れて取り組み始めた意義は大きい。今後の活動にも期待したい。

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出典:Webikeバイクニュース

モーターサイクルジャーナリスト

63年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、RECRUITグループ、販促コンサルタント会社を経て独立。趣味が高じてモータージャーナルの世界へ。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。㈱モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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