プジョーによるペッパーミル特許について(19世紀版および21世紀版)
「仏プジョー、侍ジャパン応援キャンペーン ”ペッパーミル"認知拡大へ」という記事を読みました。ヌートバー選手のパフォーマンス(ムーブ)で一躍有名になったペッパーミルの特許を、フランスの自動車メーカーのプジョーが取得していたという話です。もう少し詳しく調べてみました(参考文献)。
まず、ペッパーミル(ペッパーグラインダー)は1842年にプジョー(当時は家庭用器具のメーカー)が発明したものだそうです。これに関する特許文献や画像は見つかりませんでした(「いかがでしたか」系の記事みたいですみません)。
しかし、現在広く使われている構造のペッパーミルの改良特許は1878年12月に米国で登録されており、こちらは公報が見付かりました(US210837A)。これの元になったフランスの特許出願もあると思うのですが発見できていません。
この特許の最大のポイントは、回転部分を容器と一体化したことで、それ以前のペッパーミルにあったクランクハンドル(コーヒーミルに付いているような物)を不要にしたことです(タイトル画像参照)。これによりテーブル上でかさばらないというメリットが得られます。また、テーブルに置く際に逆さに置けるようにできるというメリットもあります(クランクハンドルが付いているとこれは困難でしょう)。これにより、使用していない時に、刃にくっ付いていた挽いた胡椒がこぼれてしまうという問題を解決できます。
そして、前述の参考文献によると、そこから136年を経過した2014年にプジョーはフランスで新たなペッパーミルの特許を取得しているそうです(FR2995514B1)。この特許のポイントは、水平構造(下画像参照)にすることにより、挽いた胡椒をいったん受け部に置くことができるようにすることです。これにより、料理にかける量を調整しやすい、また、使用していない時に胡椒がこぼれることを防ぐことができるというメリットが得られます。
フランス以外の国では特許化されていないようです。なお、出願人はPeugeut Citoroen Automobile S.Aです。冒頭の引用記事にあるように、プジョーの家庭用品は自動車部門とは別会社になっているのですが、知財関係は親会社がぜんぶまとめて管理しているのかもしれません(よくあるパターンです)。
商品化はされていないように思えますが、Peugeut Design Labがコンセプトデザインを公表しています(Instagram)。なかなかカッコイイです。