9歳以下のインターネット利用機器の利用状況をさぐる(2019年公開版)
世の中に深く浸透するインターネット。そのような世の中で、幼い子供達はどれほどインターネットを使える機器に触れているのか。その実情を内閣府が2019年5月に発表した「青少年のインターネット利用環境実態調査報告書」(※)の内容から確認する。
調査結果によると、今調査対象母集団に何らかの機器で9歳以下の子供のうちインターネットを利用しているのは56.9%となった。
設問では「あなたのお子様は、インターネットを利用していますか」「サイトやコンテンツを見たり、文章を書きこんだりすることです。インターネットには、WEBサービスおよびアプリケーションを含みます」とあるため、当人の意志によるものでなくとも保護者が子供に利用をうながしたりサービスを楽しませていれば、利用したと判断されることになる。0歳の子供が自発的にウェブブラウジングやソーシャルメディアの書き込みをするとは考えにくいが、動画投稿サイトの動画の閲覧や、インターネットサービスによる子供向けの絵本サイトの閲読を保護者が手ほどきすることはあるだろう。
今調査の限りでは、2歳の時点ですでに4割台後半、4歳では過半数の子供が、何らかの形でインターネットを利用していることになる。小学校に上がる時点で7割近い値に達している。
それでは具体的にどのような機種でインターネットを利用しているのか。
もっとも多いのはスマートフォンで33.1%。次いでタブレット型端末の26.7%。携帯ゲーム機は15.2%、据置型ゲーム機は7.5%でしかない。これらの値はあくまでもインターネット利用機器としてのものなので、インターネットへ接続をせずに利用をしているケースは多々あることに注意が必要となる。
子供向けのインターネット利用機器としては、パソコンや従来型携帯電話はごくわずかで、スマートフォンやタブレット型端末、ゲーム機が主軸のようだ。
これを年齢階層別に見たのが次のグラフ。
幼い時からスマートフォンの値が一定率を示しているが、これは多分に保護者所有の機器を共有する形で利用しているからなのだろう(詳しくは別の機会で解説するが、実際にその通りの結果が出ている)。
タブレット型端末も似たような動きをしているが、スマートフォンと比べれば子供の年齢が多少上になってから値が積み増しされる形となり、また上乗せ度合いもスマートフォンよりは低め。タブレット型端末そのものの保護者における普及率が影響していると見てよい。保護者が所有していなければ、子供と共有することは不可能。
ゲーム機、特に携帯ゲーム機は小学校に上がる前後から利用率が伸びていく。これは主に子供自身の専有として、あるいは兄弟姉妹との共有で利用するようになるからに他ならない。この点がスマートフォンやタブレット型端末とは異なる動きである。
今件調査は保護者による回答だが、該当年齢においては保護者の下で各種機器でインターネットを利用するケースがほとんどであり、自分で端末を調達して保護者に隠れて利用する状況は想定し難いため、ほぼ利用実情との差異は無いものとみて間違いはない。特に小学校に上がる前の子供におけるインターネット利用状況は調査機会があまりないため、今件結果は非常に有意義なものに違いない。
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※青少年のインターネット利用環境実態調査報告書
今件は「青少年のインターネット利用環境実態調査報告書」内の「低年齢層のインターネットに関する利用実情」の報告部分が該当する。同調査は2018年11月1日時点で日本全国の0歳から9歳の子供を持つ保護者を対象に、同年11月8日から12月9日にかけて行われたもので、保護者による子供の実情などを問う形となっている。調査標本数は3000人、有効回答数は2274人。調査方法は原則調査員による訪問配布・訪問回収法だが、訪問時間などの調整ができない場合に限り、ウェブ調査法や郵送回収法が併用されている(それぞれ4人、41人が該当)。標本抽出方法は層化二段無作為抽出法。
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