6月利上げへの警戒感で円安(ドル高)進行、110円台乗せ
為替市場でドルが買われている(=円が売られている)。5月18日(日本時間19日 03:00)に公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録(4月26、27日開催分)が、6月14、15日に開催される次回FOMCで追加利上げが実施される可能性を示唆したためだ。
米連邦準備制度理事会(FRB)は昨年12月に約10年ぶりの利上げに踏み切ったものの、その後は世界経済の減速や国際金融市場の不安定化から、5か月にわたって追加利上げに踏み切れない状況が続いていた。イエレンFRB議長は「追加利上げは慎重に進めることが適切」として、利上げを急がないスタンスを確認していた。3月のFOMCでは当局者が年内2回の利上げを想定していることが明らかにされていたが、マーケットは実際に利上げが可能なのかは慎重姿勢を崩さず、それが年初からのドル安(円高)圧力を支持していた。
しかし、今回公表されたFOMC議事録では、「多くの参加者は、今後入ってくるデータが、第2四半期(4~6月期)に経済成長が上向き、労働市場が引き続き力強さを増 し、インフレが委員会の目標2%に向けて進展している状況と一致すれ ば、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標のレンジを6月に引き上 げるのが適切になる可能性が高いと判断した」と記しており、6月利上げに向けてFOMC内でのコンセンサス形成が進んでいることを示唆した。
Most participants judged that if incoming data were consistent with economic growth picking up in the second quarter, labor market conditions continuing to strengthen, and inflation making progress toward the Committee’s 2 percent objective, then it likely would be appropriate for the Committee to increase the target range for the federal funds rate in June
このままFOMC開催まで大きな混乱状況がもたらされないのであれば、FRBは6月に追加利上げに踏み切る可能性が高い情勢になる。議事録では、一部の参加者から「市場参加者が6月利上げの可能性を正当に評価してない」ことに懸念が表明されていたが、まさにその反動がドル高(円安)、そしてドル建て金相場の下落圧力に直結している。ドル/円相場の場合だと、4月28日以来の1ドル=110円台回復になっている。ドル建て金相場も、議事録公表直前の1オンス=1,170ドルドル台前半に対して、足元では1,160ドル割れを打診する展開になっている。