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13戦全勝11KOvs.16戦全勝12KOのミドル級10回戦

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
Esther Lin/SHOWTIME

 13戦全勝11KOvs.16戦全勝12KOのミドル級10回戦は、 第4ラウンド2分17秒で決着した。

 前座ながら注目のカードだった。アリゾナ州フィニックス出身のサウスポー、イライジャ・ガルシア(19)とウルグアイ出身で、現在はラスベガスの住民であるミルカル・ビダル・ジュニア(27)。

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 開始のゴングから、ガルシアはアグレッシブな攻撃を見せる。ビダルも怯まず、両者は血みどろの打ち合いを続けた。

 4回に右を受けたビダルが意識を飛ばし、ロープを背にしたところで、突然の幕切れが訪れる。このチャンスにガルシアが襲いかかり、連打でビダルを倒した。その刹那、レフェリーがウルグアイ人ファイターを救うように試合を止めた。

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 試合後、ガルシアは言った。

 「これは誰もが夢見ることで、驚くようなことではない。プロになってから、チャンピオンになるために努力してきたのだから、一歩ずつ前進していきたい。

 最初の2、3ラウンドは負けていたかもしれない。が、私は彼を崩した。序盤の彼の攻撃を凌いだら、ビダルは後退し始めた。彼は素晴らしい選手だ。けれど、自分は彼を捕まえ、仕留めることができた。僕は19歳だが、相手が怪我をしているかどうかを見極める成熟度を持っているんだ。そして、精神力の強さもある」

 わずか3ラウンド半の一進一退の攻防を経て、両者は血みどろになりながら、パンチの着弾数は189回、投擲数は593回に達した。ガルシアのパワーパンチは54%、ビダルのパワーパンチは46%で、パワーパンチが試合の明暗を分けた。4ラウンド、ガルシアは最後の一撃を含め、62%のパワーパンチを放った。

 「準備万端、精神的にも強い」とガルシアは続けた。

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 全国放送でのデビュー戦で、ボクシング界に己をアピールしたガルシアは、新たに獲得したファンに、これからも自分を見せると話し、「21歳か22歳の誕生日を迎える前にチャンピオンになれるかもしれない、予定より早いかもね」と結んだ。

 イライジャ・ガルシア。確かに面白い存在である。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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