NY金30日:月末を控えてのポジション調整で反発
COMEX金2月限 前日比9.10ドル高
始値 1,056.00ドル
高値 1,066.50ドル
安値 1,052.20ドル
終値 1,065.30ドル
月末を控えたファンドが売りポジションの利益確定を進めたことを受けて、反発した。
アジアタイムは1,050ドル台を中心に上値の重い展開になったが、そこから1,050ドルの節目を割り込む動きには発展しなかったことで、欧米タイムはショートカバー(買戻し)が先行する展開になった。ニューヨークタイム入り後は1,060ドル台を回復しており、そのまま引けにかけてほぼ一本調子で安値是正の動きが優勢になっている。
為替相場は、本日もドル高気味に推移している。ドルサイドに目立った材料は見当たらないが、欧州中央銀行(ECB)の追加緩和観測が根強く、主に対ユーロで強力なドル高圧力が観測されている。12月には米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ着手がほぼ確実視されている一方、ECBや更にはフランス中央銀行の追加緩和観測もくすぶる中、ドル高基調が確立している。ただ、本日はこうしたドル高圧力よりも月末要因が重視され、当面の利益確定を進めたいとのニーズを消化する形で、金相場は底固く推移した。
国際通貨基金(IMF)は特別引き出し権(SDR)の構成通貨に中国人民元を加えることを承認した。これで人民元はドル、ユーロ、円、英ポンドに次ぐSDR構成通貨になるも、自由取引の観点から直ちにドルに対する代替通貨としての地位を獲得するとは考えづらく、金相場に対する影響は限定されている。
今後は感謝祭期間中の小売統計なども注目されるが、ドル高圧力が継続する中で、ドル建て金相場の上昇余地は乏しい。米国とそれ以外の主要国の金融政策環境が正反対の方向に展開される中、ドル高基調に修正を迫るのは難しい。目先は12月3日のECB理事会で短期スパンのユーロ売り・ドル買い材料出尽くしと評価されれば、ドル安連動で若干のリバウンドリスクもある。ただ、改めてユーロ買い・ドル売りが膨らむ必然性は乏しく、金相場のダウントレンドは維持されよう。11月は1,050ドルの節目を攻略できなかったが、月間の下げ幅は7月の76.70ドルに次ぐ76.10ドルと今年二番目の水準に達している。下落率では今年最大であり、なお金価格はボトムが見えない状況にある。1,050ドル割れの次は、1,000ドルの節目割れが打診されよう。