東京タワーを赤く染めるeスポーツ施設「RED゜TOKYO TOWER」を先行見学!
行動成長のシンボルタワー東京タワーとその思い出
日比谷線・神谷町から徒歩5分、東京タワー前交差点を芝公園方面に左折すると、赤くそびえる鉄塔が見える、皆さんも良くご存じの東京タワーである。
東京タワーは、1958年12月23日に竣工、高さ333メートル、長らく日本の電波放送を行う電波塔(正式名称は日本電波塔)として機能したもので、2012年2月29日に墨田区押上に634メートルの東京スカイツリーが竣工するまでは日本で一番高い建造物だった。高度成長期、日本が成長するしかなかった時代に、空を見上げ、上を向いて歩こうという前向きな気持ちを鼓舞したクラシックタワーである。
かつて、筆者は2015年に開業したアミューズメント商業施設「東京ワンピ-スタワー」の導入プロモーションに携わったことがある。
「東京ワンピースタワー」は東京タワーの足元にある「東京タワー・フットタウン」の3階から5階までに展開され、ネーミングの通り人気漫画「ONE PIECE」をモチーフにしたテーマパークだ。2015年3月13日に開園、当時は海外からのインバウンド需要もあり、開業当初から賑わいを見せた施設で「ONE PIECE」に登場するキャラクターにちなんだ各種のアトラクションやミュージカルなどが手軽に体験できることからデートスポットとしても人気を博した場所だった。しかし、2020年7月31日に惜しまれつつ閉館。
今回、見学したeスポーツ施設「RED゜TOKYO TOWER」はその「東京ワンピ-スタワー」が撤退したあとのスペースをスケルトン状態にして、eスポーツ施設として再構築したものだ。
4月20日開業「RED゜TOKYO TOWER」は東京を代表するeスポーツ施設になるか?!
今回の「RED゜TOKYO TOWER」の運営は東京eスポーツゲート株式会社、創業は2020年12月、創業時のプレスリリースに依れば、今回のフットタウンにおけるeスポーツ施設を運営するために創業した企業だ。東京eスポーツゲート株式会社はこのeスポーツ施設を中心に他にも施設関係を手がけるという。
さて肝心のeスポーツ施設「RED゜TOKYO TOWER」だが、内覧会に参加したことを踏まえて少し紹介したい。3階から赤い照明に飾られたエスカレーターを上がるが、やはり赤い照明は気分を高揚させてくれる効果もあり、何かが始まる期待感が高まる。(3階・4階は現在も工事中)
「RED゜TOKYO TOWER」のメインフロアは5階にある「ULTIMATE ZONE」に集約される。エスカレーターを降りてすぐのスペースには…
RED゜E-MOTOR SPORTS ARENA(レッド イーモーター アリーナ)がある。ここは人気の「グランツーリスモ」を中心にモータースポーツ系のeスポーツゲームの世界が楽しめる。スペースの奥には本物のF1マシンから模(かたど)った筐体に乗ってレースシミュレーションを楽しむことのできるコーナーもある。
館内を右回りに紹介していくが、隣は、RED゜MIND SPORTS AREA(レッド マインドスポーツエリア)、としてRED゜ROYALE(レッド ロイヤル)ではポーカーの「テキサスホールデム」を楽しめるスペースになっている。壁面にデジタル画面が移植されており、いわゆる一般的なポーカールームとは趣が異なり、デジタル=eスポーツ的な雰囲気に浸りながら旧来のカードゲームが楽しめるという趣向だ。
続くRED゜ARENA(レッド アリーナ)はゲーミングPCが32台配置されたプレイルーム・プレイアリーナ。eスポーツ大会の開催はもちろんのこと、配信イベントなどがダイナミックなスケールで展開できる。ちなみに床面積も広く、他の都内施設と比較しても開放感も十分にある。
eスポーツだけでなく、従来からのレトロなボードゲームが楽しめるRED゜BODOGE(レッド ボドゲ)も十分なスペースがある。これらのボードゲームも先に紹介したポーカーの「テキサスホールデム」を楽しめるマインドスポーツとして位置付けており、eスポーツのみならず多様なプレイヤーを呼びこむことができそうだ。
すこし遊ぶのに疲れたらRED゜STAND(レッド スタンド)がある。ここではドリンクや軽食が供される。パーティーも開催可能かもしれない。
そして、最後にこの「RED゜TOKYO TOWER」の一番のウリと思えるスペースを紹介しておこう。それが、RED゜TOKYO TOWER SKY STADIUM(レッド トーキョータワー スカイスタジアム)だ。eスポーツ大会のみならず、音楽ライブ、映像ライブなどにも使用可能なもので、最新のXR映像技術、サラウンドシステムが導入され、床、壁に映像が映し出される。バーチャルな立体物もそこにはちゃんと存在していて、あたかもセットがそこにあるような感じを演出してくれるスタジアムの施設として最先端のものではないだろうか。また併設された配信スタジオRED゜STUDIO(レッド スタジオ)は配信などに対応したコントロールルームもあり、その懐の深さと新技術をふんだんに盛り込んでおり、今までのeスポーツ施設を超えた新体験が待っているに違いない。なお、アパレルグッズなどの物販もあり、一日そこにいても十分楽しめる施設になる予感がする。
なお、現在も準備中の3階、4階部分にはVR(バーチャル・リアリティ)やAR(オーギュメンテッド・リアリティ)技術関連の施設やアトラクションが導入されるとのことで、こちらも相乗効果をもたらすものになることだろう。
RED゜TOKYO TOWERの死角?
ご紹介したように、都内にこれだけの規模のスケールでeスポーツ施設ができることは素晴らしい。この開業でeスポーツへさらに注目が集まることだろう。
しかし、新型コロナ禍からオミクロン株の亜種の発生で、リアルにeスポーツプレイヤーが集結できない、大会が開催運営できないことは開業からのスタートダッシュに影響があると思われる。それはRED゜TOKYO TOWERにとっては大きなハンデキャップになることだろう。にも拘わらず開業を決断した経営判断、プロジェクト実現には敬意を表したい。
今後、新型コロナ禍がどのようになるかは依然として予断を許さないところだが、RED゜TOKYO TOWERのようなハコ物はその場所に来てもらうために、常にモチベーション喚起と魅力の創造が必要だ。仏作って魂入れず…ではないが、そこでは何ができて、何があって、何が起こるのか…そのためには電車やクルマに乗っていく価値があるというものが4月20日以降求められることだろう。eスポーツとエンタテインメントとコミュニケーションの未来のために、個人的にも成功を楽しみにしている。
(了)