「憂うつだけではない」意外と知らないうつ病の症状や種類について解説
こんにちは、精神科医しょうです。
うつ病を患う原因ははっきりとは分かっておらず、遺伝的要因や脳の機能的要因、ストレスなどが複雑に絡み合って発症すると言われています。
原因を特定することは難しい場合が多く、多方面で注意が必要だと言えます。
また、病前の性格との関連性も指摘されており、発症しやすい性格として「メランコリー親和型」がよく知られています。
メランコリー親和型とは秩序を重視し、他者に尽くす傾向が強いなどと言った性格タイプを示します。
その他にも統合失調症やアルコール依存症などに伴って発症することもあるため、何らかの病を抱えている場合には、併発に注意しなければなりません。
今回はうつ病の症状と気分のリズム、さまざまなうつ病の種類について、知見を深めたいと思います。
うつ病の症状は憂うつだけではない?
うつ病の基本症状は「気分の落ち込み」「気が滅入る」「物悲しい」などといった抑うつ気分が表れます。
また、あらゆることに対して興味や関心が無くなり、何をするのも億劫になります。
さらに睡眠障害や全身のだるさ、食欲不振、頭痛などといった身体症状も表れるため、患っている本人をかなり苦しめてしまいます。
うつ病を患うと「ただの落ち込み」では済まされず、抑うつ感が長期間、四六時中つきまとい、気分転換もできず生活にも支障をきたし、最悪の場合には命にもかかわることもあります。
もちろん、適切に治療を受ければ症状は改善し、元気に過ごせる人も多くいます。
抑うつ症状を一定期間感じた場合には、早期に医療機関を受診し治療を受け、まずはゆっくりと休息するようにしましょう。
気分の起伏にはリズムがある?
うつ病の人はどちらかと言うと、症状が強い傾向が見受けられます。
身体症状、精神症状ともに目を覚ました直後に最も悪いことが多く、昼過ぎや夕方にかけて、徐々に良くなってきます。
また、うつ病による不眠は、寝付けないタイプの不眠より、早朝に目が覚めてしまい、それ以降眠れなくなるという「早朝覚醒」をはじめ、途中で目がさめる「中途覚醒」などのタイプの不眠があるのです。
しかし、症状が重症化すると体調がコロコロと変わることが多くなり、予測もコントロールも難しくなります。
本人にはどうすることもできず、また迷惑を掛けてしまった…と、自分を責めてしまうことも多いため、周囲の人の理解が必要になります。
周囲ができることとしては、「心配しなくていい」「ゆっくり過ごそう」という言葉がけが本人をホッとさせます。
くれぐれも無理に強要したり、責め立てることを言ったりするなど、無理解な行動は慎みましょう。
本人ができることとしては、体調の変化が激しいことについて、事前に周囲に伝え理解してもらうよう努めるようにしましょう。
うつ病にはさまざまな種類がある
うつ病にも発症しやすい時期や年代、タイミングなどがあります。
うつ病とひとくくりで言っても、表れる症状や要因となったことについては、それぞれです。
では、どのような種類のものがあるのでしょうか?
・季節性うつ病
決まった季節に症状が表れ、毎年その時季になると発症しやすくなります。
特に冬が多く、日照時間が短くなると発症すると考えられています。
春になって再び日照時間が増えると、自然に治ることが多いようです。
・笑顔うつ病
内面的にはうつ病を患っていても、表面的には深刻さが見られず、人付き合いも容易にできているように見えます。
しかし、必ずしもうつ状態が軽いというわけではなく、周囲に迷惑がかからないよう何でもないように無理をして装っている状態と言えます。
自分も周囲もうつ病を発症していることに気が付かないことも多く、治療が遅れてしまうこともあるため、注意が必要です。
・産後うつ病
出産後におちいりやすく、特に初産の場合に多く見られます。
慣れない育児への不安、授乳や夜泣きなどによる不眠が重なり、ホルモンバランスが乱れるなど、産後の身体的変化、精神的変化がきっかけとなり発症します。
・荷おろしうつ病
長年抱えてきた重荷をおろした後に、症状が表れます。
たとえば、ローンの完済、裁判の決着、病気の完治、目標の達成などホッとしたと同時に発症してしまうことがあるようです。
まとめ
今回はうつ病の症状やリズム、さまざまなうつ病について取り上げました。
うつ病と言っても表れる症状やタイミング、何がきっかけになるかは人によって大きく異なります。
また、発症の原因は分からないことも多く、そのことで悩んでいる方もいるため、本人に対して「なぜ」「どうして」という問いかけは決してしないようにしましょう。
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