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40代からの健康習慣。野菜不足が深刻?野菜を効率よく量とるコツは、味噌汁にアリ!

水野雅浩/健康マネジメント健康マネジメント専門家

『ビジネスパーソンの健康マネジメント』を中心に本の執筆、企業、行政、大学などで講師をしています。特に40代からは、ストレスも増え、年齢差が大きくなるステージ。ぜひフォローして、「攻めの健康マネジメント」にお役立てください。

野菜の三大メリット。脳にいい!ダイエットにいい!死亡リスクを下げる!

「野菜を食べなさい!」

子供の頃、親からさとされた経験は誰しもあるだろう。「健康によいから」というのが理由だが、ふと立ち止まると、次のような疑問が起こらないだろうか?

「一体、何によいのだろうか?」

この理由が腹に落ちれば、野菜を食べるモチベーションも上がりそうだ。野菜を健康によい理由は数々あるが、ここでは、ビジネスパーソン向けに、野菜が持つメリットを絞って紹介する。

1、認知機能の衰えを抑えられる。

「葉物野菜」を食べると認知能力の衰えを抑えられることが、分かっている。

ホウレンソウやキャベツ、レタス、ケール、コラードグリーン、コマツナ、ハクサイ、ミズナ、チンゲンサイなどの葉物野菜には、ビタミンK、ビタミンE、ルテイン、β-カロチン、葉酸、フラボノイドなどの、抗酸化作用のある栄養素が豊富に含まれるためだ。

私達の脳は、PCやスマホなどのブルーライト、日々飛び込んでくるニュース、仕事の期日などで、猛烈にストレスを感じている。このストレスが脳を老化させる。脳機能を高く安定させるためにも抗酸化力を持つ野菜は欠かせない。

2,ダイエットに効果的

野菜の1日の摂取量が増えると、体重が減ることが、分かっている。とくに、黄・赤色野菜や、ネギ類野菜が効果が高い。繊維質が多く、満腹感や食事の満足感を感じやすくなる。また、糖質の吸収を抑え、中性脂肪の生成を抑えるからだ。

ビジネスパーソンで、太っている人は、自己管理ができていない象徴だ。本人は「人は見た目じゃない」「仕事はちゃんとしている」と主張したとしても、周りが受ける印象は違う。「健康管理や健康投資はしていないんでしょ?」と無言のメッセージを受け取ってしまう。

選択肢が多くなっている今の時代、「選ばれない要素」を減らし、「選ばれる要素」を増やすことは重要だ。その一つに体形も入っていると心がけよう。

3、野菜をよく食べている人は全死亡リスクが低下

野菜を食べる量が多い人は、呼吸器、心疾患、脳疾患、ガン(食道がん、大腸がんなど)などすべてにおいて死亡リスクが減ることがわかっている。ここでもやはり、野菜が持つ栄養素、ビタミン、ミネラル、食物繊維、カロテノイド、ポリフェノールなどが健康に寄与することがわかっている。

特に今の時代は、熱々の食べ物を、短時間で勢いよくかっ込む食事のスタイルが主流だ。ラーメン、うどん、そば、カレー、シチューなどがそれにあたるかもしれない。しかし、そう言った食事は、のどを火傷させ食道がんを誘発する。熱々の茶がゆを食べる文化がある奈良県に食道がんが多いのも同じ理由だ。

しかし、野菜の摂取量が多いと抗酸化作用で食道がんのリスクを含め、先に述べた呼吸器、心疾患、脳疾患などの死亡リスクも軽減する。急いで食事をするスタイルが定着しているビジネスパーソンこそ、野菜を重視してほしい。

■野菜離れが深刻・・・!

これだけ、様々な健康効果を持つ野菜だが、野菜離れが深刻だ。

日本の野菜摂取目標は、350g。WHOの野菜摂取目標は、400g。となっている。しかし、2016年の「国民栄養調査」をみると、男性で平均283.7g、女性228.6gと目標量を下回っている。特に、未来を担う20代の野菜の平均摂取量は男性で、236.2g、女性228.6gと世代全体で最も少ない。ついで、30代、40代の働き盛り世代。野菜が体によいことを知っているシニア世代でも、男性309.9g、女性300.3g。全世代で野菜不足が深刻なのだ。

では、明日からサラダで、350gを取ろうとするとどうなるだろうか?生野菜で、350gを摂取しようとすると、なんと1食あたり「両手で山盛り一杯」の生野菜を、3食食べる必要がある

これは、どう考えても、現実的ではない。

■お野菜の量を増やすコツは、味噌汁にあり!

では、どうやったらお野菜の量を増やすことができるだろうか?

1日350g以上の野菜を取るには食べ方や調理法に工夫が必要だ。いくつかあるが、ここでは味噌汁を作る際に、お野菜をもう一品入れて「具だくさん味噌汁」にすることを提案する。味噌汁に入れることのメリットは3つある。

1)「量」をとることができる。

野菜は質よりも、摂取量不足のほうが問題は深刻だ。量にこだわろう。野菜は加熱するとカサをへらすことができる。加熱調理の方法には、蒸したり、上げたり、炒めたりなど様々な方法がある。しかし、毎日、様々な料理を考えるのは大変だ。そこで、定番中の定番、味噌汁に野菜をアドオンしよう。

中には、ビタミンCは、熱に弱いのではないか?ビタミンCを取りこぼしているのではないか?と主張するひともいるだろう。しかし、そんな小さなことにこだわる必要はない。そもそも、あなたは野菜の絶対量が足りていないのだ。

まずは野菜の量をとることにこだわろう。

2)栄養素を「効率よく」取り込むことができる

野菜を味噌汁で取り入れることを進める理由の2つ目は、野菜の栄養を効率よく

野菜は、動物と違い、骨がない。骨がないのに、なぜ、地上からまっすぐ天に向って伸びることができるか、考えたことがあるだろうか。それは、細胞が細胞壁という「固い殻」に守られているからだ。野菜の栄養素の多くは、細胞壁に守られた細胞の中にある。生で野菜を食べるよりも、火を通したほうが細胞壁は壊れやすい。結果として、生野菜を食べるよりも火を通したほうが効率よく野菜の栄養素を取り込むことができるのだ。

さらに、ビタミンは1種類のものをとるよりも、複数種類のビタミンを摂取したほうが、相乗交互効果がたかいことがわかっている。例えば、βカロチンだけをサプリメントで多くとるとかえってがんの発生を促進するという報告や、ビタミンEの錠剤を単体で飲んでいても心臓病のリスクは低くならないといった報告までみられるようになっている。医師の指導によって治療目的でひとつのビタミンを大量にとる場合は別として、日常生活では複数の野菜から複数のビタミンを上手にとることでその効果を高め、病気の予防につながるといえる。

ちなみに、我が家では、3種類の野菜を入れるようにしている。玉ねぎ、ぶなしめじを基本として、あとは、冷蔵庫に余っている野菜(人参、ほうれん草、白菜、大根など、何でも!)を入れている。野菜の出汁がたっぷりで、しかも、栄養満点だ。

3)栄養素を「余すことなく」取り入れることができる。

野菜の栄養素には水溶性で、野菜から流出してしまう成分がある。しかし、味噌汁であれば、汁ごと頂くので余すことなく頂くことができる。これは、カレーやシチューにも同じことが言える。しかし、カレーやシチューはいかんせん糖質と脂質が多い。市販で売っているルーの裏面の「栄養表示」を見るとその糖質量に驚くはずだ。

味噌汁であれば、味噌そのものに、大豆が入っている。大豆はイソフラボンという強烈な抗酸化作用を持つ野菜だし、発酵食品なので細胞壁も壊れていて栄養も吸収しやすい。そこに複数の栄養素が溶け込むため、スーパーアンチエイジングスープになるわけだ。これほど効率が良い栄養食はないだろう。

健康投資で最も効率が良いのは、食事から

健康マネジメントには4つの分野がある。食事、睡眠、運動、ストレスケアだ。オセロの四つ角を抑えるように、この4分野を高く安定させることが好ましい。しかし、いっぺんに取り組むのは至難の業だ。

また、新しい習慣を取り入れるには、毎日継続していることに、アドオンするのが成功確率が高い。そこで、活用したいのが今回提案した「味噌汁・具だくさん習慣」だ。料理を作る主体があなたであれば、味噌汁を作る際に、野菜室の余っている野菜たちをフル活用させよう。また、料理をつくる主体がパートナーであれば、味噌汁を具だくさんにすることのメリットを伝えよう。「いつまでも幸せでいるために、一緒に健康になろうよ」と伝えたら、きっと喜んで協力してくれるはずだ。

私たちの人生は長い。どうせなら、幸せで充実したものにしたい。そのためには、健康あってこそ。その健康ケアで絶対に外せないのが、野菜の摂取だ。ぜひ、今夜から具だくさん味噌汁生活を始めよう。

健康マネジメントスクール

水野雅浩

【出典】
・Daily Leafy Greens May Slow Cognitive Decline(ラッシュ大学 2017年12月20日)・Nutrients and bioactives in green leafy vegetables and cognitive decline Prospective study(Neurology 2017年12月20日)・多目的コホート研究「JPHC Study」(国立がん研究センター がん対策研究所 予防関連プロジェクト)・Inverse Association between Fruit and Vegetable Intake and All-Cause Mortality: Japan Public Health Center-Based Prospective Study (Journal of Nutrition 2022年6月28日)


■プロフィール
健康マネジメントスクール 水野雅浩
https://healthylifepj.com/
1975年生まれ 福岡県在住 予防医学の専門家。健康経営アドバイザー。講師・作家。『グローバルで勝つ!太らない疲れない7つの習慣』はAmazon総合ランキング1位。香港の勤務時代に、食事・睡眠・運動・ストレスケア・サプリメントに気を使い仕事のパフォーマンスを上げるビジネスパーソンを目の当たりにして、日本のメタボサラリーマンとの差に愕然とする。その後、某大手外資系企業のサプリメント商品開発責任者として10年歴任。しかし、サプリメント以前に、日本では健康習慣の基礎の啓蒙が必要と痛感。健康マネジメントの専門家として、企業・大学・行政で講師として啓蒙に力を入れている。

■講演実績
【企業】富士通株式会社、東レ株式会社、株式会社麻生グループ、株式会社中外製薬、アクサ生命保険株式会社、三菱商事株式会社、JR西日本グループ、株式会社大日本印刷、コカ・コーラボトリング株式会社、大塚製薬株式会社、ネスレ日本株式会社、Huawei Technologies Co., Ltd.北日本銀行、鳥取銀行、日本海新聞社、岩手日日新聞社、京都ホテルオークラ、とりねつ株式会社、ソルネット経営コンサルティング、税理士法人中央総合会計事務所、北斗工業エンジニアリング、一般社団法人日本パーソナルブランド協会、株式会社ホーマス・キリンヤ【労働組合】全トヨタ労働組合連合会(119社)、豊田自動織機労働組合 【行政】鳥取県、宮崎県、福岡県、岩手県など 【大学】台湾大学 【塾】公文など多数
■保有資格
日本成人予防協会一級健康管理指導員(認定番号H35366)/健康経営アドバイザー 認定番号3000092)東京商工会議所/健康マスター検定エキスパート・普及認定講師 認定番号E1400471/健康美容情報認定協議会 健康美容アドバイザー認定講師/日本ダイエット協会 ダイエットプロフェッショナルアドバイザー/JADP認定 生活習慣病予防アドバイザー/サプリメントアドバイザー(認定番号H35366)/米国NLPコーチング研究所 NLPプロフェッショナルコーチ

健康マネジメント専門家

健康マネジメントスクール代表。作家・講師。予防医学の専門家。健康経営アドバイザ-。『グローバルで勝つ!30代の太らない疲れない7つの習慣』はアマゾン総合1位。企業・行政・大学で「仕事のパフォーマンスを上げる健康マネジメント」、学習塾で「子供の成績を上げる食事・睡眠習慣」をテーマに講師。著書に『親子で作る健康習慣「本番力」で受験に勝つ』がある。中央大学法学部卒業後、介護サービスに携わり10年間、人の老化と向き合う。その後の香港勤務では海外のビジネスパーソンらが実践する健康投資を目の当たりにする。日本に帰国後、12年、外資系ヘルスケア企業で商品開発の責任者を担う。1975年生まれ。福岡在住。

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