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全仏オープンテニス:かつて跳ね返された“壁”をロブで超え、穂積/二宮組がいざ決勝の舞台へ!

内田暁フリーランスライター
(写真:アフロ)

 お互いに、乗り越えたい“壁”として挑んだ準決勝の一戦は、結果的には今大会で、最も圧勝した試合だったかもしれません。

 試合前から、取るべき策は明確だったと二人は声を揃えます。

「これまでとそんなに変わらず、ロブを使って相手の陣形を崩すことを考えていた」と二宮が言えば、穂積は「相手は二人ともネットにベタ詰めなので、ロブは通しやすい。私達のやりたいことができた」と、試合後に納得の笑みをこぼしました。

 二宮にとり、全仏準決勝で戦うチャン・ハオチンは、パートナーこそ違えども昨年のウインブルドン準決勝で敗れた相手。それだけに今回はリベンジを期した一戦であり、長身でネットプレーを得意とする相手には、ロブが有効であると試合前から考えていたのです。

 果たしてロブは、準決勝の行方を決するキラーショットとなります。第1セットのセットポイントでは、二宮のクロスのロブがコーナーギリギリに決まり相手のラケットをかすめました。さらにはマッチポイントでも、二宮が放ったクロスのロブが、前衛のヤンを超え、後衛のチャンが追うことすらできぬほどに絶妙な軌道で、コーナーに刺さります。その行方を見届け「ホッとした」二宮のもとに、穂積が飛び跳ねながら飛びつきました。

 穂積にとってもグランドスラムのベスト4は、昨年の全豪で跳ね返された壁。そこを超える鍵となったのは、コート上の動きの向上です。練習時から、どんなボールにも細かいステップで入るよう意識づけてきたことが、クレーでの戦いでは特に生きました。

 決勝の舞台は、今大会が始まった頃から、二人ともに口にしていた目的地。同時に二人は「決勝まで行ったら勝ちたいよね」と、笑いながら未来の心境を想像していました。

 有言実行でその地点に至り、想像通りの心境を胸にした今、最後の一勝を二人でつかみ取りにいきます。

※テニス専門誌『スマッシュ』のFacebookより転載

フリーランスライター

編集プロダクション勤務を経て、2004年にフリーランスのライターに。ロサンゼルス在住時代に、テニスや総合格闘技、アメリカンフットボール等の取材を開始。2008年に帰国後はテニスを中心に取材し、テニス専門誌『スマッシュ』や、『スポーツナビ』『スポルティーバ』等のネット媒体に寄稿。その他、科学情報の取材/執筆も行う。近著に、錦織圭の幼少期から2015年全米OPまでの足跡をつづった『錦織圭 リターンゲーム:世界に挑む9387日の軌跡』(学研プラス)や、アスリートのパフォーマンスを神経科学(脳科学)の見地から分析する『勝てる脳、負ける脳 一流アスリートの脳内で起きていること』(集英社)がある。

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