全仏オープンテニス:かつて跳ね返された“壁”をロブで超え、穂積/二宮組がいざ決勝の舞台へ!
お互いに、乗り越えたい“壁”として挑んだ準決勝の一戦は、結果的には今大会で、最も圧勝した試合だったかもしれません。
試合前から、取るべき策は明確だったと二人は声を揃えます。
「これまでとそんなに変わらず、ロブを使って相手の陣形を崩すことを考えていた」と二宮が言えば、穂積は「相手は二人ともネットにベタ詰めなので、ロブは通しやすい。私達のやりたいことができた」と、試合後に納得の笑みをこぼしました。
二宮にとり、全仏準決勝で戦うチャン・ハオチンは、パートナーこそ違えども昨年のウインブルドン準決勝で敗れた相手。それだけに今回はリベンジを期した一戦であり、長身でネットプレーを得意とする相手には、ロブが有効であると試合前から考えていたのです。
果たしてロブは、準決勝の行方を決するキラーショットとなります。第1セットのセットポイントでは、二宮のクロスのロブがコーナーギリギリに決まり相手のラケットをかすめました。さらにはマッチポイントでも、二宮が放ったクロスのロブが、前衛のヤンを超え、後衛のチャンが追うことすらできぬほどに絶妙な軌道で、コーナーに刺さります。その行方を見届け「ホッとした」二宮のもとに、穂積が飛び跳ねながら飛びつきました。
穂積にとってもグランドスラムのベスト4は、昨年の全豪で跳ね返された壁。そこを超える鍵となったのは、コート上の動きの向上です。練習時から、どんなボールにも細かいステップで入るよう意識づけてきたことが、クレーでの戦いでは特に生きました。
決勝の舞台は、今大会が始まった頃から、二人ともに口にしていた目的地。同時に二人は「決勝まで行ったら勝ちたいよね」と、笑いながら未来の心境を想像していました。
有言実行でその地点に至り、想像通りの心境を胸にした今、最後の一勝を二人でつかみ取りにいきます。
※テニス専門誌『スマッシュ』のFacebookより転載