『聖地駒場もチームも課題が浮き彫りになってしまった1日』浦和vs湘南【浦和レッズ川柳試合レビュー】
■雷雨で駒場の課題が浮き彫りへ
これはどうも、近来、まれに見るヒサンな一日になってしまった。
湘南戦というと、どうも手こずるイメージがある上に、夕方からの雷雨予報、年一回の駒場開催と、なんか始まる前から特別な日、それも悪い意味で特別になる予感がしてしかなかった。
で、16時を過ぎた頃には雨もポツポツ来だしていたので、自転車はやめて、路線バスで駒場に向かうのを決める。しかし、あんまり早く出ても、埼スタと違い、デカいコンコースもない駒場では居場所がないので、ゆっくりめにでようと、家を試合開始1時間前の午後5時半近くに出る。さっそくこれが大失敗。バス停で待ってる時に、すさまじい雨に遭遇。カサをさしても全身ビチャビチャになってしまった。
道路も渋滞で、ようやく駒場に着いたのは18時15分くらいで、そこで試合開始が30分遅れるのを知る。
で、スタンドに行ったはいいが、西側の立見席、もはや最後列の後ろ、壁際のところ「そんなところで試合見られるの?」といったあたりまで人でいっぱい。
そら、年一回、レッズの故郷ともいえる駒場で試合をする意義はあるだろう。ただ、リーグ戦で使うのは、ちょっと考えものかな。自由席なんて、人であふれて落ち着いて試合見る状況ではなくなってしまう。天皇杯やルヴァンカップで使えばいいんじゃないか。それならある程度は余裕のあるスペースで、Jリーグ創設期のノスタルジーを十分に感じられる。
土砂降りの あとはぎゅう詰め 立見席
いったいどこなら見られるのか彷徨っているうちに、一階の、バックスタンドに出るための通用口のスペースに人がたまっていて、そこなら、前の人たちのアタマ越しながら、ピッチが割合近い距離で見られるのがわかった。
場内スタッフも、他に見る場所がないのをわかっているためか、観客を排除しない。
だが、前半終了のちょっと前くらいか、私の後ろでちょっとしたトラブルもあった。体を左右に思いっきりゆすって見る観客がいて、その後ろにいたある観客が、
「なんでそんな動くんだ。見えないじゃないか。みんな、ここで仕方なく見てるんだから、勝手なことするな」
怒りまくって、「警察呼ぶか」みたいなことまで言ってる。まあ、それ以上の大事にならないうちに、体ゆすってた観客がいなくなっちゃったけど。ストレスたまる。ちょっとノスタルジーだけではすまない。ストレートに言おう。
リーグ戦 駒場でやるには 無理がある
■こんな悲惨なことが続くとは
ビジョンもよく見えないし、場内放送もよく聞こえない。先発メンバーに武田とパンヤが入っているのだけはわかったので、ぜひこの2人に活躍してもらいたくて、なるべく2人を中心に見ていこうと思った。ちょうどパンヤは右サイドの「27」で、私のいた位置からは見やすいポジションだったし、武田の「47」も、前線で、動き回っているのがある程度はわかった。ただ、それ以上に運動量を感じたいのは「13」だね。渡邊凌磨はよく動く。
残念ながらパンヤも、必死で結果を残そうとしているのはわかるし、シュートを放つシーンもあったものの、なかなかパスは来ないのと、来ても、結局、横パスやバックパスが多くなってしまうのもあって、「Jリーグの先発」をつとめるのは荷が重い。「微笑みの国」タイは私も何回か行ってて、好きな国なんで、パンヤにも得点してほしいんだけどね。
武田も、あのアントラーズ戦のあとの、二の矢がなかなか決まんないな。パンヤは前半で引っ込み、武田も後半15分で交替で、どちらも結果を残せなかった。
湘南に1点取られたシーンは、どんな状況だったか、ほぼわからず。
必死さも どこかが足りぬ エカニット
後半も、やはり同じ場所で見るしかない。前田が入り、チアゴ・サンタナが入ってからサビかかっていた歯車にアブラをさしたみたいにレッズ攻撃陣の滑りが良くなり、まずはサンタナが1点返す。そのあと、(結果はオフサイドだったが)西川が抜かれて絶体絶命のゴールを、石原がファインセーブで跳ね返したりもあって、これは完璧に勝ちパターンだなと思っていたらサンタナの2点目。ここで、勝ちを確信し、あとはサンタナのハットトリックを待つのみだった。
途中出場でここまでやる選手がいたら、確かに武田やパンヤは立場苦しい。しかし、渡邊凌磨はよく動く。
サンタナと 動くリョーマで 大逆転
土砂降りの雨、入る余地のない立見席、良く聞こえない場内放送など、ヒサンな数々がここで終止符を打つかと思いきや、ラストにさらに思いっきりヒサンな出来事が待っていた。
まさかまさかの、さらなる大逆転とは。
確かにこの試合に限らず、レッズのDF陣は、相手に取られるんじゃないかと心配になるくらいヒヤヒヤするようなバックパスを多用するし、柱だったショルツや酒井もいなくなっちゃうで、足元がグラグラ安定してない脚立に乗ってるみたいで、ずっと不安を抱えている感じではあったのだ。だがここまで脆かったとは。
アディショナル 脚立の足は 折れたよう
残留争いのチームにこんな負けでは、「優勝」を目指すのはおこがましい。
かくしてヒサンな一日は、ヒサンなまま幕を閉じた。
動画:今年もやります!浦和レッズ川柳2024【3月&4月編】
山中伊知郎
1954年生まれ。1992年に浦和に引っ越して来て、93年のJリーグ開幕時にレッズのシーズンチケットを取得。以後31年間、ずっとシーズンチケットを持ち続け、駒場、ならびに埼スタに通う。2021年より、レッズ戦を観戦した後、「川柳」を詠むという「レッズ川柳」を始める。
代表を務める「ビンボーひとり出版社」山中企画では、現在、どん底地下芸人から中野区議会議員に転身している井関源二さんの単行本『井関が、中野区から日本を変える』と、元放浪少女で、今は群馬県・沼田の市会議員に転身している今成あつこさんの『日本の洗濯は沼田から!』を進行中。どちらも7月中には出来る予定。