ごみで農業を ノルウェーのサーキュラーエコノミー工場
持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けて、各国が様々な対策をしている。北欧ノルウェーにある「魔法の工場」(Den Magiske Fabrikken)では、自治体や企業が期待を寄せる取り組みが行われている。
ここでは、ごみから作られた肥料を使い、グリーンハウスでトマトを栽培。「気候トマト」という名前で、地元のスーパーでの販売も開始された。
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「バイオガス工場」、「国家の試験工場」とも呼ばれている施設は、サステイナブルな農業や商品開発の実験場ともいえる。
グリーンな二酸化炭素の貯留、CCS技術における世界的な先駆者になることが目標だ。
ノルウェー人口の五分の一を占める約100万人の生ごみと、34か所の農場の家畜から出る排せつ物。これらはリサイクルされ、乗り物用の気候に優しいバイオガス、食物生産のためのバイオ肥料として生まれ変わる。
2017年には、4万3千トンの生ごみ、6万3千トンの家畜排せつ物、4千トンの液状産業廃棄物から、530万リットルのディーゼル量に相当するバイオガス、11万2千トンのバイオ肥料が生産された。
ノルウェー流サーキュラーエコノミー
ごみという資源を捨てずに、どのように私たちの生活でもう一度使うことができるか?
多くの教育・研究機関、スーパーなどの産業施設、エネルギー企業が協働して運営している。
子どもたちの社会科見学の場ともなっている。2016年のオープニングには首相も駆けつけ、今も農業・食糧大臣が視察に訪れる。
生産と消費の在り方を変えようとする試み、業界の垣根を超えた連携は、SDGs達成を目指すノルウェーに明るい未来を見せているようだ。
Photo&Text: Asaki Abumi