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ウクライナ領土防衛隊、移動式ドローン迎撃車でキーウ奇襲のロシア軍のイラン製軍事ドローン13機全て破壊

佐藤仁学術研究員・著述家
移動式地対空ミサイル(ウクライナ領土防衛隊提供)

ゼレンスキー大統領「よくやりました。誇りに思います」

2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。また民生用ドローンも監視・偵察のために両軍によって多く使用されている。

2022年10月にはロシア軍はミサイルとイラン政府が提供した標的に向かって突っ込んで行き爆発する、いわゆる神風ドローンの「シャハド136(Shahed136)」、「シャハド131(Shahed131)」で首都キーウを攻撃して、国際人道法(武力紛争法)の軍事目標主義を無視して軍事施設ではない民間の建物に攻撃を行っている。一般市民の犠牲者も出ていた。11月に入ってからはイラン製軍事ドローンでの攻撃が激減したことから、英国国防省はイラン製軍事ドローンの在庫が枯渇したのではないかとの見解を示していた。だが12月に入ってからはロシア軍はイラン製軍事ドローンで電力施設にも攻撃を行いオデーサ近郊の150万人以上の市民生活に打撃を与えている。

2022年12月14日にはロシア軍は首都キーウにイラン製軍事ドローン「シャハド136」と「シャハド131」13機が攻撃をしかけようとしてきた。それら13機のイラン製軍事ドローンはウクライナ領土防衛隊の移動式迎撃部隊によって、全て破壊されたとウクライナ領土防衛隊の公式SNSで発表していた。キーウ市民に犠牲者はなかったようだ。

ゼレンスキ―大統領は13機のイラン製軍事ドローンを撃破したことについて「ロシアのテロリスト集団が今朝13機のシャハドドローンで攻撃をしてきたが全て破壊したと聞きました。よくやりました。誇り高いです。市民の皆さん、防空は喜ばしいですが、これからも警報(サイレン)には気を付けてください」と語っていた。

▼キーウへのイラン製軍事ドローンによる攻撃を報道

▼ウクライナ領土防衛隊の公式SNSでの報告

ウクライナ軍「移動できることは現代の戦争における成功の基盤です」

ウクライナ軍には自動車やトラックの後方部にライフル銃や地対空ミサイルを設置した自作の「移動式ドローン迎撃車」があり、上空のドローンを迎撃して破壊している。ドローン以外の標的への攻撃にも使用できる。

ロシア軍のドローン攻撃に対抗して、ウクライナ軍では手作りのドローン迎撃銃を作って、ロシア軍の攻撃ドローンを迎撃して破壊している。いわゆる「DIY(Do It Yourself)」だ。既存の銃を用いてドローンを迎撃しやすいように設計している。さらにトラックやバンなどの後方部に搭載することが可能で、簡単に移動しながらロシア軍のドローンを迎撃できる。

「移動式ドローン迎撃車」を報道している動画の中でウクライナ兵は「毎日様々な指令を受けて、あちこちに移動しています。敵の攻撃ドローンのルートに合わせてトラックで移動して上空のドローンを迎撃して撃墜しています」と語っていた。さらに別の兵士は「我々は80%の確率で敵のドローンを迎撃して破壊することができます。これは非常に高い確率です。100%の迎撃率は難しいですから」とコメントしていた。

今回のキーウでの13機のイラン製ドローンを撃破したことについてウクライナ軍の公式SNSでも「移動できることは現代の戦争における成功の基盤です」と語っていた。

▼ウクライナ軍が自ら作った移動式ドローン迎撃車

▼ウクライナ軍「移動できることは現代の戦争における成功の基盤です」

▼キーウへのイラン製軍事ドローンによる攻撃を報道するCNN

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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