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海岸に出てはいけない時間軸 台風5号のうねりによると思われる水難事故が多発 #専門家のまとめ

斎藤秀俊水難学者/工学者 長岡技術科学大学大学院教授
(写真:イメージマート)

 台風5号のうねりによると思われる水難事故が東日本を中心に多発しています。うねりとは台風直下で放出された強力なエネルギーが海を伝わって遠くに波として襲来するもの。台風の進路を注視し、その周辺の海域にかかる海岸での海水浴はおろか、海岸の散歩も中止することをご検討ください。砂浜海岸は人が集まる分、さらに危険です。

ココがポイント

▼この事故が台風5号の接近によるうねりの影響の始まりだったと警戒すべきだった。近くの鹿島港で観測された有義波高は3メートルを超えていた

茨城県鉾田市の海岸で潮干狩り中の男性、波に流され死亡…離岸流で溺れたか(讀賣新聞オンライン 8/10(土) 15:39配信)

▼鹿島港では、事故が発生した時刻に2.5メートルの有義波高を観測していた。少し波が弱まったとは言え、まだまだ人が泳ぐような状況ではない

海水浴場で20代男性2人が流され行方不明 茨城・鹿嶋市(日テレNEWS NNN 8/11(日) 9:01配信)

▼事故現場付近だろうか、離岸堤が写っており、もしかしたらその内側なら波が少し穏やかで近づいてしまったかもしれない

【速報】子どもを助けにいった男性が波に流され行方不明 茨城・鉾田市(TBS NEWS DIG Powered by JNN 8/11(日) 15:46配信)

▼北海道の事故だが、発生時刻に台風5号による東向きのうねりが津軽海峡を通過するようにして直接砂浜海岸に入っていた

【速報】「妻が沖に流された」散歩中の女性が死亡 子供を波から離そうとしたか 北海道・木古内(STVニュース北海道 8/11(日) 14:03配信)

エキスパートの補足・見解

 台風5号の直下の風のエネルギーが海面にて風波を起こし、それがうねりとなって遠くまでそれを伝えます。うねりは、時には1000 kmも離れた海岸の船を転覆させるほどの威力を示します。

 茨城県の3件の水難事故の発生時には、それぞれ東向き(東から押し寄せる)の高い波が直接海岸に襲来していました。その様子はナウファス(全国港湾海洋波浪情報網)で知ることができます。これからお出かけの海岸の様子はここを見て、有義波高が1メートルをきるまでは海岸で遊ばないようにしなければなりません。

 北海道・木古内での水難事故は台風のうねりの影響により発生したかどうかは確定できませんが、海岸がほぼ東を向いており津軽海峡を通じて太平洋を見通せること、当時東向きの波が入り込んでいたことから、危険性は高かったと判断できます。「波が高くても砂浜なら」と散歩に人が集まります。人が集まる分、発生確率が高くなるのが水難事故と言うもの。

 台風の進路により、東日本、北日本の太平洋側ばかりでなく、日本海側でも海岸にうねりの襲来が考えられます。この時間軸では、各地に出される波浪警報や波浪注意報には特段の留意のもと、海岸の遊泳はおろか散歩の是非もご検討ください。

水難学者/工学者 長岡技術科学大学大学院教授

ういてまて。救助技術がどんなに優れていても、要救助者が浮いて呼吸を確保できなければ水難からの生還は難しい。要救助側の命を守る考え方が「ういてまて」です。浮き輪を使おうが救命胴衣を着装してようが単純な背浮きであろうが、浮いて呼吸を確保し救助を待てた人が水難事故から生還できます。水難学者であると同時に工学者(材料工学)です。水難事故・偽装事件の解析実績多数。風呂から海まで水や雪氷にまつわる事故・事件、津波大雨災害、船舶事故、工学的要素があればなおさらのこのような話題を実験・現場第一主義に徹し提供していきます。オーサー大賞2021受賞。講演会・取材承ります。連絡先 jimu@uitemate.jp

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