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NY金29日:FOMC後はドル高も、金相場は反応薄

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト
(写真:アフロ)

COMEX金8月限 前日比3.60ドル安

始値 1,094.50ドル

高値 1,098.50ドル

安値 1,088.90ドル

終値 1,092.60ドル

引け後に米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明文発表を控える中、前日同様にポジション調整中心の小動きに終始した。FOMC後はやや底固さをみせ、1,097ドル水準まで上昇している。

為替相場はアジアタイムからドル高気味の展開になったが、金相場に対する影響は限定された。やや戻り売り優勢の展開になるも、FOMC声明の内容を見てからでも遅くはないとの見方が強く、一段と下値攻略を試すような動きまでは見られなかった。引き続き短期的な下げ過ぎ感が強いことも、改めて売り込む動きを躊躇させている模様。

引け後のFOMC声明に関しては、総じて利上げ着手時期の接近をイメージさせるタカ派の内容と評価できる。利上げ時期の特定については引き続き明言が避けられているが、「労働力の活用不足の度合いが今年の早い段階以降に縮小してきた」と報告されており、前回声明にあった「幾分か」の文言が削除されている。また、経済全体についても「緩やかに拡大していることが示唆された」と前回と同じ表現で、堅調な状態にあることが示されている。なお企業設備投資と純輸出にネガティブな報告が見られるが、全体としては利上げ着手の条件整備が進んでいることを強く印象付ける内容になっており、為替相場ではドルが買いで反応している。

本来であればこれで金相場も下落して然るべき所だが、本日の金相場はFOMC前後で特に目立った動きを見せなかった。FOMC声明の発表は引け後だったため、30日の取引では何らかのネガティブな反応が出てくるとみている。ただ、ドル急伸に反応できなかったのも事実であり、短期スパンでの下げ過ぎ感が強いことが窺える。なお中期トレンドを大きく下回った水準にあり、日柄・値柄調整が要求される可能性がある。基調はあくまでも下向きとの判断であり戻り売り対応が基本になるが、チャートでは1,075ドル近辺で長い下髭が形成されており、更に下値を攻略していくのに躊躇が見受けられる。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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