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名子役から恋愛ドラマのヒロインでかわいさ爆発。『君が死ぬまであと100日』で豊嶋花がきらめく背景

斉藤貴志芸能ライター/編集者
(C)右腹/集英社・「君が死ぬまであと100日」製作委員会

やっと恋人になれた幼なじみの余命が100日。伸ばす方法は彼女をときめかせること。髙橋優斗(HiHi Jets)が主演するドラマ『君が死ぬまであと100日』で、相手役を豊嶋花が演じている。朝ドラや大河ドラマなどで名子役と呼ばれてきたが、現在は16歳の高校生で、恋愛ドラマでは初ヒロインとなる。定評ある演技力に加え、今回は天真爛漫なかわいらしさも全開で引き付ける。

学校ではどれだけ普通にいるかを目標に

――高校の文化祭に、バンドのボーカル&ギターで出演したそうですね。

豊嶋 ベースの子が「花がギターを始めたなら、歌もうまいし、一緒にバンドをやろうよ」と誘ってくれたんです。同じクラスで仲良い4人組が本当にたまたま、ベース、ドラム、キーボードと全員楽器をやっていて。そんなことある? って感じでメンバーが揃いました。

――豊嶋さんは歌がうまいと、学校で知れ渡っているんですか?

豊嶋 カラオケに4人で行ったりしたときに、歌ったのを覚えてくれていました。文化祭では椎名林檎さんの『丸ノ内サディスティック』をやりました。

――『ばらかもん』の五島列島ロケから帰ってきたあと、練習してたんですか?

豊嶋 東京での撮影の合間や終わったあとに、個人練習をしてました。でも、全員で合わせる時間がまったくなくて。ほぼぶっつけ本番でした。

――体育祭で応援団をやった写真もインスタに上がっていました。高校では普通のイチ生徒として、学校生活を送っているわけですか?

豊嶋 仕事と両立させながら、どれだけ学校で普通にいるかを目標にしているところがあります。親友とかには、たまに仕事で学校を休むと「そう言えば、花は女優をやっていたね」と言われたり(笑)。

――小学生の頃から、ずっとそういう形でやってきたんでしょうけど、うまく切り替えはできていて?

豊嶋 基本、学校では仕事のことは考えないようにしています。クランクイン直前だと、iPadに台本のデータを入れて持ち歩いて、休み時間に覚えたりもしますけど、友だちと話している間は本当に普通の女子高生という感じです。

早朝でもテンションのギアが入るように

――そういう意味では、『君が死ぬまであと100日』で繰り広げられる恋愛模様に、学校で見覚えがあったりもします?

豊嶋 あります。あの子はこの子が好きで……みたいなことが重なったり、登場人物の雰囲気があの子に似ているな、とか。

――前回の取材では「自分が恋愛ものをやるイメージが湧かない」とのことでしたが、今回は余命の要素もありつつ、青春恋愛もののヒロイン。この役が来たのは、意外に思いました?

豊嶋 私も元気な部分はありますけど、声のトーンから落ち着いていたり、男勝りなところが多い気がしていて。ガッツリ胸キュンもので、うみちゃんみたいな天真爛漫なヒロインを演じるのは、楽しみでしたけど不安もありました。

――でも、ティザー映像での両手をペンギンみたいにして「たろー」と呼び掛けるところから、かわいさが爆発していて。

豊嶋 1、2話を観たプロデューサーさんにも「うみちゃん、かわいい!」と言っていただきました。本読みのときに監督から細かめのアドバイスをいただいて、自分の中に落とし込んで演じています。早朝の撮影だと調子が出なかったりもしますけど、一発目からテンションのギアをギュインと入れられるようにしたいと思っています。

落ち着いて見えないように声のトーンを上げて

――監督からはどんなアドバイスがあったんですか?

豊嶋 うみは考えてから、行動に移すスピードが速いんです。テンションが高いと受け答えもすぐ出てくる。たろーを「よしよし、大丈夫だよ」と元気づける場面も多くて、そこがどうしても落ち着いて見えてしまうと言われました。それでもっと幼く、天真爛漫に……と意識しました。

――かわいさも心掛けていて?

豊嶋 声のトーンは上げています。ただ、無理やりな感じが出ないように、声そのものよりテンションに気をつけていて。たろーはうみの余命を伸ばすために、頑張ってキュンとさせようとしますけど、うみは意図的にたろーをキュンとさせる子ではないので、あざとく見えないように。かわいらしくても嫌味がなく、純粋な感じを表現できたらと思っています。

――鏡を見て表情を練習するわけではなくて。

豊嶋 そういうのはないですね。私は普段から台本を覚えるとき、あまり感情を入れずに口に出しています。台詞だけ落とし込んで、感情を入れるのは現場でテストから。だから、練習はあまりしないかもしれません。

役が染み付いて休憩中もうるさいくらいに

――ツインテールのウィッグは違和感ありませんでした?

豊嶋 長い髪は小学生以来ですけど、童顔なのでツインテールは浮かないかなと思います。本当に伸ばしてみるのもアリかなと。

――そうした外見から、原作漫画に寄せている部分もありますか?

豊嶋 うみちゃんは感情がパーッと表情に出る子で、目をギュッと細めてニカーッとした笑顔が原作で印象的だったので、そういう顔ができるようにイメージしています。

――テンションは素の豊嶋さんより上げているんですよね?

豊嶋 まったくの素よりは意識して上げています。不思議なのは、メイクしてウィッグを付けて制服を着て、うみの姿で現場に入ると、撮影の合間もいつもより明るくなるんです。髙橋(優斗)さんや井上(瑞稀)さんとお話していく中で、うみがどんどん自分に染み付いているのが嬉しくて。ただ、休憩時間もうるさくないかなという心配はあります(笑)。

ラフすぎず、あざとくもないラインで

――先ほど出たように、髙橋さんが演じるたろーこと林太郎はうみをときめかそうとしては、うみに「たろーもかわいいよ」と耳元でささやかれたりで、自分が逆にときめいています。そういうシーンも、自然体でやっている感じですか?

豊嶋 うみちゃんはキュンとさせようとしなくても、自然にできちゃう子なんです。だから、あざとく見えないようにしたいというのはあります。

――そこはサジ加減が難しそうですね。

豊嶋 そうなんです。ラフすぎても、たろーがキュンとしない。やりすぎると、あざとく見えてしまう。結構絶妙なラインです。でも、監督に「こうしたほうがいいんじゃない?」とアドバイスを受けると、わりとすんなり呑み込めて。最初は私にできるか不安もあったのが、やってみたら、そんなに自分と掛け離れた役ではないのかなと、ちょっと思っています。

――学校での豊嶋さんと重なるとか?

豊嶋 素でのテンションMAXの状態が、ずっと続いている感じですかね。

「こっちがいい」と恋人繋ぎにしてキュンと

――公式サイトでは「最近ときめいたこと」について、「小学生の子たちとずっと一緒で、毎日かわいさに癒されていました」とありました。『ばらかもん』でのことだと思いますが、「男の子にこういうことをされたらときめく」というものはありますか?

豊嶋 ドラマに出てきたことでいえば、普通に手を繋いでいて「こっちがいい」と恋人繋ぎになるところですね。あっさり恋人繋ぎにするより「こっちがいい」と言われたら、絶対キュンとすると思いました。

――演技でもリアルにときめく感じに?

豊嶋 私が末端冷え性だからか、髙橋さんの手がすごく温かいんです。キュンというよりホッコリしました(笑)。実際は髙橋さん、井上さんを始め共演の皆さんがお兄さん、お姉さんなんです。

――23歳とかで豊嶋さんより7歳上ですか。

豊嶋 私には兄が2人いるので、この現場の空気感は落ち着きます。

バンドのライブを観て手の震えが止まらなくて

――食べ物とか音楽とか場所で、ときめくものはありますか?

豊嶋 邦ロックのガッツリしたバンドが好きで、聴いていると心が安らぎます。ライブに行ったら最高ですね。

――リュックと添い寝ごはんのライブに行ったそうですね。

豊嶋 行きました! 超ときめきました! 好きすぎて、始まる前から手の震えが止まらなくて、涙が出るくらい嬉しかったです。ずっと口パクで一緒に歌っていて、終わったあとにお会いすることができました。全然そんなつもりはなかったんですけど、写真も撮らせていただいて。「ギターを練習中なので」とピックをおねだりしたら、実際に使ってらっしゃるものをくださったんです。これはもうギターをやめられないと思いました。

趣味を共有できるデートが楽しいと思います

――食べ物でときめくものはないですか?

豊嶋 高1までは食べることが大好きで、食べたいけど痩せたいというのが悩みだったんです。それが最近、食に執着がなくなってきて。正直、空腹が満たされればいい感じ。もちろん食べるのが嫌いになったわけではなくて、お米とお肉が好きです。炭水化物の王様とたんぱく質の王様。一番元気が出ます。あとはチョコと、その三つがあれば生きていける気がします(笑)。

――女子高生っぽくはないですね(笑)。

豊嶋 そうですよね。でも、フルーツも好きです。父がふるさと納税をしていて、シャインマスカットが定期的に届いて、めっちゃおいしいです。

――林太郎とつき合うことになって、「デートしてみる?」というくだりもありましたが、豊嶋さんは理想のデートコースはありますか?

豊嶋 王道の遊園地も楽しそうですけど、共通の趣味があって、たとえばお互いにギターが好きなら、一緒に楽器店を回ったり、スタジオを借りて2人で弾くのもいいですよね。絵が好きな同士だったら、お互いを描き合ったり。小さなことでも、趣味を共有できるデートは楽しいと思います。

人のことを考えられて自分がなおざりに

――うみは余命100日に関して「死ぬのもいやだけど、私が死んだらたろーが泣いちゃうから」と言ってました。100日ってそんなに長くない中で、深刻さがズレている感じもしますが、うみはどう受け止めているのでしょう?

豊嶋 私はうみと性格は似てないけど、考え方の本質はちょっと近いなと思いました。自分のことより、大切な人が悲しんでいる。だから、一緒に余命を伸ばすために頑張るうみちゃんが素敵だし、私でもそうする気が若干しています。

――心配させないように取り繕っているわけでもなく。

豊嶋 そうですね。うみちゃんは人のことをすごく考えられる分、自分がなおざりになってしまう部分があって。そこは私とは違うと思っていましたけど、私にもそういうところもあるかなと。

――原作だと、後半はシリアスな展開になっていきます。

豊嶋 前半は結構笑いがありますけど、後半はジーンときます。

――“もだキュン”を謳うドラマですが、そういう展開もあるから、演技力の高い豊嶋さんがキャスティングされたようにも思います。

豊嶋 ただの胸キュンものではないんですよね。余命が見えるという題材的には重いところで、あえて明るく描いていて。それが逆に、後半の寂しさ、切なさに繋がっていくのが、この作品の魅力だと感じます。

必死な2人が素敵に映ればいいなと

――撮影で、恋愛ドラマならではと感じることもありますか?

豊嶋 あります。キスシーンもあって、私もこういう作品を撮るときが来たかと、ドキドキしました。たろーはうみの余命を伸ばすために頑張っていて、うみは自分のことを想ってくれるたろーを大切にしている。その2人の必死で一生懸命な姿が、皆さんに素敵に映ればいいなと思っています。本人たちが自覚しないで、面白いことになっていたりもしますけど(笑)。

――1話では並んで腹筋をしていたり。

豊嶋 98、99、100、ハーッ……という感じなんですけど、監督が「じゃあ、5からいこうか」とか(笑)、明るい現場です。でも、やっぱり後半になると、目を向けたくないようなところもあって。そこで自分の最大限を出して、楽しんでいただけるようにします。

――最後まで目を離せません。

豊嶋 クリスマスの日が最終回なんです。カップルの方が一緒に1日を過ごして、25時前から観てホッコリしてもらえたら幸せです。

クリスマスに最終回を親友と観たいです

――豊嶋さん自身はクリスマスは例年、どんなふうに過ごすんですか?

豊嶋 行事ごとは好きで、友だちとパーティーをしたり、自分用にプレゼントを買ったり、母からもらったりはしていました。

――特に思い出のクリスマスはありますか?

豊嶋 ロマンチックなことは全然ないですけど(笑)、プレゼントで唯一覚えているのが、小学校に上がる前にもらった、プーさんのぬいぐるみです。すごく大きくて、頭を押すと「ハチミツ食べたいなー」とかしゃべるんです。今も家の納戸にあるかもしれません。

――まだちょっと先ですが、今年の予定はありますか?

豊嶋 ドラマのオンエアを1人で観るのは寂しいから、友だちとお泊り会ができたらいいなと思っています。憧れは流行りのホカンス。親友とクリスマスにできたら理想なので、相談してみます。

――自分の出ているドラマを友だちと観るんですか?

豊嶋 全然抵抗ないです。映画に出たときも「連れてって」と言われますから。

――今回はかわいい演技もしていて。

豊嶋 テレますけど、イジってもらえるので、気は楽ですね(笑)。

スターダストプロモーション提供
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かわいらしいだけの女の子ではないので

――『君が死ぬまであと100日』でうみ役をまっとうしたら、豊嶋さん的にも充実の1年の良い締めになりそうですね。

豊嶋 そうですね。このもだキュンで2023年がキュッと締まるかなと思います。

――改めて、今後のうみにはどんな見どころがありますか?

豊嶋 最初はただたろーが大好きなかわいらしい女の子でいいと思いますけど、それだけではないんです。人のことを第一に考えるから、自分を苦しめているところがあって。そこが魅力として伝わればいいなと。

――かわいいだけではないにせよ、うみがかわいいところも見せ場ですよね。

豊嶋 ここまで“THEヒロイン”という役は初めてなので、かわいく映っていればいいんですけど(笑)。新境地で、放送が始まってからも不安はあります。でも、今後のシーンも大切にして、自分でも完成が楽しみになるくらい頑張っていきます。

Profile

豊嶋花(とよしま・はな)

2007年3月27日生まれ、東京都出身。

2012年に映画『外事警察 その男に騙されるな』でデビュー。主な出演作はドラマ『ごちそうさん』、『トットちゃん!』、『大豆田とわ子と三人の元夫』、『教祖のムスメ』、『どうする家康』、『ばらかもん』、映画『真夏の方程式』、『都会のトム&ソーヤ』、『ちひろさん』など。ドラマ『君が死ぬまであと100日』(日本テレビ)に出演中。

『君が死ぬまであと100日』

日本テレビ/月曜24:59~

公式HP

(C)右腹/集英社・「君が死ぬまであと100日」製作委員会
(C)右腹/集英社・「君が死ぬまであと100日」製作委員会

芸能ライター/編集者

埼玉県朝霞市出身。オリコンで雑誌『weekly oricon』、『月刊De-view』編集部などを経てフリーライター&編集者に。女優、アイドル、声優のインタビューや評論をエンタメサイトや雑誌で執筆中。監修本に『アイドル冬の時代 今こそ振り返るその光と影』『女性声優アーティストディスクガイド』(シンコーミュージック刊)など。取材・執筆の『井上喜久子17才です「おいおい!」』、『勝平大百科 50キャラで見る僕の声優史』、『90歳現役声優 元気をつくる「声」の話』(イマジカインフォス刊)が発売中。

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