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ダム放流 台風前の川の増水に注意

斎藤秀俊水難学者/工学者 長岡技術科学大学大学院教授
(写真:イメージマート)

キャンプ中の男性が川で行方不明 台風に備え上流ダムで放流 三重テレビ朝日系(ANN)最終更新:8/13(日) 12:29

 三重県熊野市のキャンプ場で遊びに来ていた男性が「増水した川に流された可能性が高い」とされるニュース。川の上流にあるダムが台風に備えて放流を行っていました。まだ台風が来ていないのに川が放流されるものでしょうか。ダムは台風が来る前になぜこのような放流を行うのでしょうか。事前放流ではないものの、ダムの放流によって増水した川で親子の水難事故が過去に発生しています。その報告からは、ダム下流における川遊びの危険性が読み取れます。

◆今年の国内における事前放流の実施状況はどうでしょうか

【速報】対馬市小浦ダムが台風に備えこの後”事前放流”を実施テレビ長崎 8/7(月) 16:34配信

全国1府16県の51ダムで事前放流 国交省が発表日テレNEWS 6/2(金) 15:49配信

◆ダムの事前放流がなぜ行われるのでしょうか

菅前首相 事前放流で水害軽減のダムを視察「梅雨を迎えるにあたり洪水対応を」 熊本 日テレNEWS 最終更新:4/24(月) 21:05

◆事前放流が行われるようになった経緯についてはこちら

ダムの事前放流について (ダム便覧2022

◆過去にはダム放流によって親子が巻き込まれる水難事故も

親子の遊んでいた付近の水位は1時間で74センチにまで上昇新潟県水難事故発生状況

 台風7号の接近に伴い、雨が降っていなくてもダムの放流が行われる可能性が高くなります。これからお盆の期間中に川での水遊びを計画している方は、ダムの放流に関する情報をぜひ集めて、行楽の可否の判断をお願いします。危険性が低いとしても、何があってもすぐに上陸できるように、川での水遊びは膝下までの水深にとどめましょう。

【この記事は、Yahoo!ニュース エキスパート オーサー編集部とオーサーが共同で企画したキュレーション記事です。キュレーション記事は、ひとつのテーマに関連する複数の記事をオーサーが選び、まとめたものです】

水難学者/工学者 長岡技術科学大学大学院教授

ういてまて。救助技術がどんなに優れていても、要救助者が浮いて呼吸を確保できなければ水難からの生還は難しい。要救助側の命を守る考え方が「ういてまて」です。浮き輪を使おうが救命胴衣を着装してようが単純な背浮きであろうが、浮いて呼吸を確保し救助を待てた人が水難事故から生還できます。水難学者であると同時に工学者(材料工学)です。水難事故・偽装事件の解析実績多数。風呂から海まで水や雪氷にまつわる事故・事件、津波大雨災害、船舶事故、工学的要素があればなおさらのこのような話題を実験・現場第一主義に徹し提供していきます。オーサー大賞2021受賞。講演会・取材承ります。連絡先 jimu@uitemate.jp

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