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パンデミックなどに対する投資戦略は分散投資で良いのか

久保田博幸金融アナリスト
(写真:アフロ)

 31日のブルームバーグの記事のなかに、『ダリオ氏、分散投資が最善の戦略-「分からない」新型ウイルスの対策』というものがあった。

 記事のよると、ヘッジファンド会社、ブリッジウォーター・アソシエーツの創業者レイ・ダリオ氏は、パンデミック(病気の世界的大流行)のことになるとよく分からないという。

 非常に素直な意見であると思う。「実際に何が起きているのか、何が起きているのかと人々が考え、それが価格設定にどう反映されているのか、また状況の反転を示唆する指標は何かに注意を払いたい」ともダリオ氏のレポートで記されていたとか。

 まさにその通りとなるが、この価格設定への反応については、ある程度の経験も必要ではなかろうか。過去の未知なるものが起きたときの市場の反応などを直接体験しているとその経験が生きることも多いはずである。

 ダリオ氏は28日付の顧客リポートで「分からない場合、最善の戦略はさまざまな多くの場所や資産クラス、通貨にわたって賢明に投資を分散させることだ」と記したそうである。

 これについては個人的にやや疑問である。ヘッジファンドであれば投資のタームはそれほど長いものではないと思われる。何か未知の材料が市場に投入されると市場は大きく揺れ動くことが予想される。どれがどのように動くのかを事前に予測するのは非常に難しくなる。そうであれば、投資そのものをいったん控え、現金化するのがベストな選択ではないかと考える。

 それに対して短期のタームで望むのであれば、むしろボラティリティの高い相場はディーリングなどにとっては大きなチャンスともいえる。値動きが大きい分、うまく立ち回れば短期間で利益を得ることも可能となる。失敗すると損失が大きくなることも確かであるが。

 ここは勝負時とみるのか、もしそうでない、未知の動きには対応しにくいとみるのであれば、投資は休むべきだと思う。分散投資はリスクを軽減するもののようにみえるが、それぞれの資産の相関関係がバラバラになってしまうと、むしろリスクを膨らませる懸念すらありうると思う。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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