世界でスパム詐欺手口が高度化 FPの我が家も20万円の被害【子供にも教えたいお金を守るための3箇条】
新型コロナウイルスの影響などもあって、在宅ワークや年末年始も自宅で過ごすことが多くなっています。オンラインで在宅にいることを狙いすましたサイバー犯罪も増えています。
警察庁によると、2020年の特殊詐欺による被害額は285億2千万円、認知件数は1万3550件でした。2020年世界の詐欺件数は過去最多を記録し、2019年と比較すると190%も増加をしているというデータも。そんな仲、特に気をつけたいのはフィッシング詐欺やうそ電話詐欺等です。
フィッシング詐欺、うそ電話詐欺とは
フィッシング詐欺とは個人情報を盗むための不正サイトに消費者を誘導したりする手口のこと。送信者を詐称した電子メールを送りつけたり、偽の電子メールから偽のホームページに誘導するなどの方法で、クレジットカード番号、アカウント情報(ユーザID、パスワードなど)等の個人情報を盗み出す行為です。
うそ電話詐欺とは警察官や郵便局等の職員、企業のテクニカルサポート等を装って被害者に電話をかけて、キャッシュカードやクレジットカードが不正に利用されているなどの名目でキャッシュカードやクレジットカードを準備させた上で情報を引き出して決済をさせるという手口などです。なりすまし詐欺とも言われているようです。
MessengerやLINEの乗っ取り等も未だに多く、乗っ取られた友達や家族のアカウントからなりすましの連絡がきて、電話番号とSNSの認証コードを聞き出す、コンビニでプリペイドカードを買わせる等の詐欺も横行しているようです。
カスタマーサポートを装った詐欺が世界でも急増(我が家の20万円被害の実例)
海外では1日に何回も世界中からうそ電話がかかり続けています。我が家も在宅ワークで会議続きの夫が、疲れ果てて休憩をしていた時に不意打ちの電話がかかってきました。彼が反射的に電話を取ってしまったところ、大手ECサイトのカスタマーサービスと名乗る者で、「あなたのECサイトがハッキングされている」と言うのです。彼が急いでサイトを見ると、見に覚えのないパソコン(10万円相当)が買われています。キャンセルをするにはカードの情報を確認しなければならないと言うのです。
犯人はECサイトに登録されているクレジットカードの番号を読み上げ、これで間違いがないかと聞きます(しかし、実際には下4桁など、見えない部分は巧妙にこちらから聞き出してきたのです)。更に巧妙に誘導をして、カードの裏柄に書いてある3桁のCSV、続いてワンタイムパスワードも聞き出します。彼もハッキングによって高額なパソコンを購入をされているので、恐怖で平常心を失なってしまっていたようです。非常に長く複雑なパスワード(使いまわしではない)を使用していたのでショックは大きかったようです。
加えて私が外出をしていたという不幸が重なりました。私が自宅に帰ると、何やら荒々しい英語のインド人と電話でやり取りをしているので明らかにおかしいと感じました。しかし、私もトレーニング帰りで疲れていたので自分の部屋に行ってしまいました。しばらくすると、彼がやってきて、「詐欺に遭ってしまったかもしれない」と告げられたのです。
私は状況をすぐに把握して、犯人に伝えたカードを全て教えてもらいました。そして順番にカード会社や銀行に電話をしていき、カードを止めて再発行をする手続きをとりました。被害を最小限でおさえたかったからです。金融機関のバックオフィスの仕事をしていた時のように淡々と急いで作業を行いました。
次にECサイトにも連絡をし、アカウントの解約をしました。最後に銀行側が警察の被害届がないと捜査ができないということで近所の警察にも行き被害届をもらい、銀行に提出しました。新しいカードは2日後くらいに届きましたが、デビットカードから引き落とされており、クレジットカードにも記録されていました。振り込み詐欺やカードの不正使用なども特殊な条件下ではお金が戻ってくる場合もあるようですが、ワンタイムパスワードで買い物をされた場合はかなり難しいと言われました。
それから約3週間が経ち、大晦日とお正月にそれぞれの銀行から電話がかかってきました。海外のサポートは年末年始も動いていてちょっと感心しました。彼が銀行と話した結果、お金は戻らないということでした。総額20万円でした。年のために保険会社にも電話をしてみましたが、今回の件は対象外ということでした。
かなり手痛い金額だったのですが、学習機会として、今回のことは7歳の子供にも全て使えました。そして読者の皆様にも勇気を出してお伝えすることにしました。少しでも被害が減ることを望むからです。
この教訓から我が家が学んだことは次の3つです。
1.ECサイトに複数のカードを登録しない
万一ハッキングされた場合に備えて、ECサイトに登録するカードは1枚に絞るほうがよいでしょう。できれば限度額は低いカード(上限までしか買い物はされないから)でショッピング等の保険がついているカードが望ましいでしょう。
カード番号等の個人情報、CSV、ワンタイムパスワード等を他人に伝えてはいけません。しかし、どれか一つでも伝えていない情報があれば防げる場合もあります。うそ電話で途中で気づいた場合も挽回が聞く場合もあるのであきらめないことが重要です。
海外では第二外国語の人を狙った詐欺が後を絶たないようです。日本語ではおかしいと思うことでも、第二外国語であると気づけない場合もあるからでしょう。また、日本のように企業も手厚くサポートしてくれないので完全に自己責任の世界です。
パスワードの管理(使いまわしはしない)、パソコンの環境設定(最新のウィルス対応)などはもちろんしたほうがよいですが、それでも我が家のようにハッキングされるリスクはゼロではありません。
2.万一の際には躊躇なくカードを再発行する
カードを落とした、情報が漏れたなどの心配が少しでもある場合、躊躇なくカードを再発行をすると安心です。もちろん、インターネット上に登録をしているカードを変更しなければならないので多少の手間はかかります。しかし、不必要な支出を見直せる機会にもなりますし、安心安全です。
ハッキングされたECサイト等の会員登録も一度解約をして、もう一度登録をし直すなども重要です。私は普段から複数のサイトに個人情報を置かないようにしています。SNSを乗っ取られた場合はSNSに直ちに連絡をして対応を教えてもらいましょう。
3.家族の様子がおかしいと感じたら迷わずに声をかける
家族の様子が少しでもおかしいと感じたら周りが声をかけるようにしましょう。以前に私がうそ電話を取ってしまったことがありました。海外に来たばかりの頃です。大手運送会社を装った電話で、見に覚えのない荷物が届いていて、その中身がパスポートなので違法で警察に行けないといけないという内容でした。
怖くなったので家族にも一緒に聞いてもらったところ、2人で聞くと冷静になれ、「いったん電話を切ってみよう」ということになりました。様子がおかしい電話は一度切ってみるというのも手です。その番号や状況を検索してみると、詐欺などと出て来る場合もあります。
しかし、うそ電話は日進月歩で進化しています。20年以上前に私が初めて日本でうけた、うそ電話と大きな話の構造は同じでしたが。音声ガイダンスではなくて、いきなり生の人間が電話口に出てきたり、事前にハッキングされているなどもあるので本当に恐ろしいです。登録のない電話番号は出ないくらいの気持ちで望むとよいかもしれません。本当に重要な電話の場合、何度もかけ直しがある場合もあるでしょう。
また、日頃から家族のマネーリテラシーも高めておきましょう。特に子供や高齢者を詐欺被害から守りたいものです。一人暮らしの高齢者には注意を図ってください。気づかずにずっと詐欺に遭い続けて、預金残高が減っていっている高齢者もいるようです。相続の時におばあちゃんの銀行残高がないということのないようにしたいものです。
子供にはお金の本で教育をするのも一つでしょう。USBORNE社の『MONEY FOR BEGINNERS』にはお金を盗むことや詐欺(犯罪を犯すとどうなるか)についても言及されています。被害者にも加害者にもならないためにもお金について学んでおくことは大切です。