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喫煙者は2割を切る…米国の喫煙現状を探る

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 日本以上に厳しい目が向けられている米国の喫煙状況は

米国成人全体で喫煙者の割合は18.1%

日本では漸減状態にある喫煙者率。たばこの健康への影響に関しては日本以上に厳しい米国ではどのような状況なのだろうか。公的機関CDC(Centers for Disease Control and Prevention:米疾病予防管理センター)の公開情報から確認していく。

今件における成人とは18歳以上、そして現時点で取得可能な最新データは2014年分。なお全体値では無く属性別動向に関しては、アメリカ合衆国全体としての値が収録されていないため、各州の値を元に加重平均を独自に算出している。

まずは調査時点でたばこを吸っている人の割合、つまり純粋な「現在喫煙率」。全体では18.1%との値が出ている。前年分2013年では19.0%との値が出ており、それから0.9%ポイント減少している。

↑ 現在喫煙率(アメリカ合衆国、18歳以上、2014年、CDC・BRFSS)
↑ 現在喫煙率(アメリカ合衆国、18歳以上、2014年、CDC・BRFSS)

男女別では男性の方が喫煙率が高い。これは納得がいく。興味深いのは他の属性別傾向で、一部イレギュラーなところもあるが、「若年層」「低年収」「低学歴」ほど喫煙率が高い傾向を示している。

「若年層」は若気の至りや健康に対する意識がまだ薄いのが、高めの値を示す要因だろう。「高年収」「高学歴」で喫煙率が低いのは、喫煙が社会的に敬遠されていることもあり「喫煙していると『たばこすら我慢できない』と軽んじられる」結果によるものと考えられる。あるいは年収や学歴が上がり、生活環境が向上すると、たばこ以外の娯楽を選択できる結果かもしれない。見方によっては、そして弊害を考慮しなければ、たばこはもっとも安易で安価な娯楽ともいえるからだ。また、学歴と世帯年収が同じような動きを示しているのは、両属性が多分に連動性を有しているのも一因だろう。

喫煙へはどのような姿勢を示しているか

喫煙動向についてもう少し詳しく見たのが次のグラフ。喫煙しているのならどの程度なのか、喫煙していないのなら「経験無し」か「以前吸っていたが今は止めている」かを答えてもらったもの。非喫煙者のうち大体1/3程度は「昔は吸っていたが、今は禁煙している」状態なのが分かる。

↑ 喫煙動向(アメリカ合衆国、18歳以上、2014年、CDC・BRFSS)
↑ 喫煙動向(アメリカ合衆国、18歳以上、2014年、CDC・BRFSS)

女性は元々たばこを吸わない人が多い一方、男性はたばこを止めた人が多め。また当然ながら高齢者ほど「昔は吸っていたが今は吸わない」人が増え、歳を経るに連れてたばこを止めていく実情がうかがえる。

他方、学歴による「喫煙経験はあるが現在たばこを吸っていない人」の比率にはさほど違いが無い。純粋に「今吸っている人」と「一度も吸ったことが無い人」との違いが、学歴上の差異に現れている。

ちなみに日本の場合は複数の調査結果が示されているが、例えばJTが毎年発表している調査結果の最新版では、全体で19.3%との値が出ている。

↑ 日本の全国喫煙率(~2016年、JT発表)
↑ 日本の全国喫煙率(~2016年、JT発表)

日米で値を比較すると、男女の喫煙率の差がアメリカ合衆国では日本ほど出ていないのが興味深いところではある。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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