NY金9日:FOMC議事録を受けて続落、1,200ドル割れ
COMEX金6月限 前日比9.50ドル安
始値 1,202.60ドル
高値 1,203.30ドル
安値 1,192.40ドル
終値 1,193.60ドル
前日の引け後に発表された米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録(3月17~18日開催分)を受けて、続落した。
この議事録はネガティブだった3月分の雇用統計が発表される前の段階での議論だが、複数の参加者から6月利上げを支持する声も確認されたことが、改めて金価格の上値を圧迫している。それとほぼ同数が2015年後半の利上げを支持しているが、なお最短で6月利上げの可能性も残されていることが示されたことが、米雇用統計を受けての短期リバウンドを期待していた向きにロスカットを迫っている。欧州タイム入り後は原油高を手掛かりに1,200ドル台を回復する場面も見られたが、為替相場が大きくドル高方向に振れる中、引けにかけては改めて売られる展開になっている。
FOMC議事録では、6月から2016年まで利上げ時期の特定を進めることが困難な状況が続いていることが示されている。このため一方的なドル相場高・金相場安のトレンドには発展しづらいが、早ければ2ヶ月後にも利上げが実施される可能性が再認識される中、一段と買いづらい地合になったのは間違いない。同議事録では、利上げ後の短期債売却の可能性についても協議が行われていたことが報告されており、米金融政策正常化プロセスが、金価格の上値を圧迫するフローに変化は見られないだろう。
また、本日発表された新規失業保険申請件数で、4週間平均が約15年ぶりの低水準になったことも、金価格にはネガティブ。1週間分では前週比+1.4万件の28.1万件となったが、市場予測28.3万人には届かなかったこともあり、雇用統計で失われていた米雇用環境に対する信認が僅かながら取り戻されている。
FOMC議事録を受けての反発が回避された以上、今後も米指標や金融当局者の発言などを確認しつつ、緩やかなペースで下値切り下げを打診する展開を想定している。金上場投資信託(ETF)市場からは、雇用統計発表後も資金流出が続いていることも確認しておきたい。