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ウクライナ軍、ロシアで2009年に開発・まだ生産開始してない偵察ドローン「Korsar」試験機を破壊

佐藤仁学術研究員・著述家
破壊されたロシア製の監視・偵察ドローン「Korsar」(ウクライナ軍提供)

ロシア製偵察ドローン「Orlan-10」は開発と生産が追い付いていないのか

2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。また民生用ドローンも監視・偵察のために両軍によって多く使用されている。そして両軍でドローンの撃墜が繰り返されている。

ロシア軍は主にロシア製の偵察ドローン「Orlan-10」で上空からウクライナの監視・偵察を行っている。たまに「Eleron-3」でも偵察を行っている。11月に入ってからは「Granat-4」という偵察ドローンも検知されて破壊された。またロシア製の攻撃ドローン「KUB-BLA」や「ZALA KYB」で攻撃を行っている。これらのドローンが撃破された残骸の写真はよく公開されているので頻繁に見かける。

2022年11月にはウクライナ軍が破壊したロシア製の監視・偵察ドローン「Korsar(Корсар)」の写真を公開した。地元のメディアによると「Korsar」は2009年に開発を開始して試験機しか製造していないし、ロシア軍でも実用化されていない。2015年に試験飛行を実施しただけでロシア軍が介入したシリアでの内戦でも使用されなかった。製造開始は2025年を予定していたようだ。2011年8月の航空ショーで披露されたことがあった。それ以来まったくお披露目されなかったロシアの偵察ドローン「Korsar」の試験機がウクライナ軍に迎撃された。

ロシア軍は最近イラン製軍事ドローンを多用して攻撃しているが、偵察ドローンではロシア製の「Orlan-10」を用いることが多い。だが、このような試験機しか製造されていない偵察ドローン「Korsar」までウクライナ紛争に導入している。「Orlan-10」など従来の偵察ドローンがウクライナ軍によって破壊されてしまい開発と生産が追い付かずに品不足なのかもしれない。

ロシア軍はもっぱら偵察ドローン「Orlan-10」を使用して監視・偵察を行ってきた。そしてウクライナ軍も多くの「Orlan-10」を破壊してSNSで写真を公開してきた。2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻してから既にロシア軍のドローンを1400機以上破壊しているので、もはや「Orlan-10」が破壊されたくらいではニュース性はなくなってしまっている。だが「Eleron-3」「Granat-4」「Korsar」が破壊されるのは珍しいので、地元メディアでもニュースで多く取り上げられやすい。

▼ウクライナ軍によって破壊されたロシア製の監視・偵察ドローン「Korsar」

▼ロシア製の監視・偵察ドローン「Korsar」

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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